2012/3/6 杉恵ゆりか、中前伶音、篠原佳奈子@高田馬場 | 音楽偏遊

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「すぎえのラブレター2通目~ホワイトデーも近いことじゃし!」@高田馬場Cafe mono
出演:oa工藤昌之 →篠原佳奈子from The Characters →中前伶音 →杉恵ゆりか
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春の日差しでにわかに気温が上がったこの日、杉恵ゆりかプレゼンツ「二通目のラブレター」、行ってきました。

場所は高田馬場にある、こじんまりしたLive Cafe mono。ステージから全てのお客さんの顔が分かる近さと狭さが逆に魅力といる箱。そこに今夜はなんとmax80人のお客さんが詰め掛け、席はぎゅうぎゅう、立ち見もゾロゾロ。おのずと室内は熱気ムンムンの満員御礼状態。もう、それだけで企画は成功したようなもの。さらにこの日の出演者4組が皆、まっすぐで上手いPOPSうたいばかりで、最初から最後まで楽しいイベントでした。

それもひとえに杉恵ゆりかが、小っちゃい体だけど、おっきな人間的魅力とその音楽で、人を惹きつけているからに他ならないのだな。アンコールが終わった後に、素直にそう思えた愛のある一夜だった。

イベントのトップを飾ったのが、本日唯一の男性、工藤昌之くん。まだ20歳だって。若けーなー。しかし、だからといってボーカリストとして未熟かといったら、そんなことはない。若さはあるけど、歌はうまいし、いい声を出すんだ。見た目はそこらの何も考えてない学生風なんだが、歌声は優しく、高音まできれいに割れたり、ひっくり返ったりすることなく響かせられるなかなかの実力。彼は結構、将来が楽しみな歌い手だった。

オープニングアクトを彼が努めている間に、お客さんの数も続々と増え、この時点で後方は立ち見客がずらり。転換中に前の方の空席をいくつか、それらの客が埋めたが、それでも最後まで立ち見がいなくなることはなく、終盤にかけて数は増えるばかりだった。

工藤くんのステージが終わったところで、杉恵ゆりかが登場し挨拶。ほんと、かわいい。そこでせっかく素敵な出演者が揃ったのだからと、まずは4人でセッション。出演者を順番に呼び込むが、3人が並ぶと大中小。それぞれが違う存在感を滲ませている。

セッション曲は福耳「星のかけらを探しに行こう」。おいらが大好きな名曲で、すっかりテンション上がりまくり。しかも、佳奈子も伶音も工藤くんに劣らずというかそれ以上に、いい声で歌うねー。本編の予告編としては、期待感を十分盛り上げる効果大。会場もかなり盛り上がり、いい空気に満ちていた。


メインの歌姫3人の先頭をきって登場したのが、篠原佳奈子。The Charactersではステージを見たことあるが、彼女のソロは初めて。まずは、一人でギター弾き語りで2曲。「猫じゃらし」と昨年イギリスに留学した大親友のために作ったという新曲「キャンバス」。声がいい。張りがあって、明るくて、洋楽っぽいテイストもある。王道のポップスを歌うのに正しい声があるとすれば、こんな声かもと思わせる。

この日のステージのテーマは「伝える」こととのこと。1曲1曲、フレーズごとに大切に、今目の前にいるお客さんに伝えたいと力。確かに、まっすぐな歌いっぷりに、想いが伝わってくる。

3曲目からはバンドがサポート。The Charactersのベーシスト佐川大志に、パーカッション松野祐太、アコースティックギターJOJO?の3人が入り、佳奈子はハンドマイクに。そこからはアップテンポにお客さんを楽しませる。定番の「何度でも君に恋をする」から、なんと先日見たライブで刺激を受けたと久保田利伸という展開。この久保田がなかなかダンサブルで、グルーブも出ていて、やるなあ。

さらに、その後に歌った「holiday」がまたブラックな感じで、Quincy Jonesを思い浮かべてしまった。こういうテイストの曲は似合っている。

そして、仲良しの杉恵を呼び込み、彼女のキーボードで「transparence」をしっとりと、これまたホイットニー・ヒューストンのようなノリで、歌い上げる。声に力があり、音がしっかりしているから、バラードも聴き応えある。

最後はソロのギター弾き語りで、自分のバースデーイベントのために数年前に作ったという「旅路」を、今夜は4日前に誕生日を迎えた杉恵のために、大切に。うーん、いいねえ。

【セットリスト】
1)猫じゃらし
2)キャンバス
3)何度でも君に恋をする
4)la la la love song (久保田利伸カバー)
5)holiday
6)transparence
7)旅路


続いて登場したのが中前伶音。

パーカッションに加瀬友美、キーボードに藤澤有沙の女性2人を従えて、まずはリオンちゃんはハンドマイクで。これがいい。自由に歌えるからか、彼女の天性のすばらしい声がのびのびと広がっていく。彼女の魅力は、きれいな発声からよく通る声だね。

最初はそうでもなかったが、2曲目のシャインニングガールのキャッチーなメロディラインを歌っている辺りから、ぐいぐい魅力的になってきた。古くて皆知らないかもしれないが、昔大好きだった須藤薫という素敵なポップシンガーを思い出した。須藤薫がそうだが、中前伶音の歌からも、楽しさがあふれてくる。

余談だが、僕のオススメの須藤薫の曲は「RAINY DAY HELLO」と「涙のステップ」。懐かしき1970~80年代のポップス黄金期を彩ってた歌い手の一人だ。佐野元春、大瀧詠一、杉真理、門あさ美とか結構好きだったなあ。

閑話休題。リオンちゃんのステージ、3曲目に歌ったミュージカルのような「僕たちのユートピア」に、がつーんとやられた。すらっとした姿態で、腹の底から空に抜けるような声を響かせ、歌うほどにスケールが大きくなっていく。これは素晴らしい。彼女ならミュージカル女優にもなれるのではないか。

音譜I found my way yesterday,you find your way yesterday~音譜というサビがまた格好良い。

続いてバラード「最高ハニー」をぐっと抑えた歌い出しで、そこからじわじわとドラマを作っていく。今夜の彼女のステージでは、この曲が一番ぐっときた。

最後の3曲はピアノ弾き語り。彼女のオリジナルなプレイスタイルなのだが、ハンドマイクで歌った前半の方が個人的にはすごく良かった。演奏しないで歌だけに集中できるから、やはり声の伸びとかが全然違ってくる。彼女がまたハンドマイクで歌うときがあったら、ぜひ聞きたいな。

【セットリスト】
1)Fly me to you
2)Shining Girl
3)僕たちのユートピア
4)最高ハニー
------key弾き語りsolo-------
5)片恋
6)インフルエンザ
7)From Now On
 

トリは当然、杉恵ゆりか。

キーボード弾き語りで、サポートはいつものイケメンベーシスト西塚真吾に、パーカッション&コーラスの彼女(名前失念すまん)。3人で作り出す音は、どこか親しみやすく、すっと心に入ってくる。それは、メロディーメーカーとして卓越したセンスをじわじわ発揮しつつある、杉恵ゆりかならではの魅力なのだ。

初めて聞く人は、杉恵はアニソン系なのかと先入観を持ちかねない、かわいい声をしている。また、彼女のポップな楽曲たちは、アイドル系とも思える軽妙さを持っている。しかし、しっかり彼女のステージを見ていると、そんな作られた歌手ではない。しっかり地に足がついたシンガーソングライターで、そのポップスの音楽性の高さや深さを思い知る。特にバラード系が絶品なんだよね。

今夜は自らの企画ライブであり、しかも会場を埋め尽くすお客さんの暖かい声援を受けて、いつにもまして力が入っている様子。1曲目の「ふゆ唄」から、熱唱で一気にステージを盛り上げていく。

バラードとアッパーな曲をうまく交えたセットリストがいい。しっとり聞かせたら、ぱあーっと盛り上げて、ステージの中に変化をつけていく。確かに彼女の声質は、どの曲でも似てしまいがちなのだが、「あなたはあたしに嘘をつく」みたいな曲で、心を揺さぶっておいて、明るく「ていたらくSexy Lady」でアゲアゲにする。そのが絶妙。

しかも、そのアッパーな曲が楽しいんだ。

【セットリスト】
1)ふゆ唄
2)お好きにどうぞ
3)あなたはあたしに嘘をつく
4)早く会いたい?
5)なんてね。
6)ていたらくSexy Lady
7)会いたくて
8)風になりたい
en1)花びらのラブレター
en2)ユメに、キミに(出演者全員で)

アンコールは企画のタイトルにもなっている、彼女の代表曲「花びらのラブレター」。この明るく始まりながら、サビにかけてきゅんと切なくなるメロディと歌詞は、なかなか書けるものではない。才能ある。

最後は、出演者全員で杉恵ゆりかのもう一つの代表曲といえる「ユメに、キミに」。みんな上手くて、聞かせる。個人的には工藤くんの声が結構気に入ったなあ。

いやいや、楽しいイベントでした。杉恵ちゃん、改めてお誕生日おめでとう!な夜でした。