「うたうたいのうた」@北参道strobe cafe
出演:保刈あかね →伊藤サチコ
-------------------------------
今夜は、保刈あかねと伊藤サチコのツーマン。いい組合わせ!他にも色々行きたいライブあったが、この2人を一緒にたっぷり聞けるという魅力には抗えず。
先攻は保刈あかね。
歌い出した途端に、空気が変わる。まさかこんな強く艶やかな声とは、って初めての人はみな驚く。予想値を軽く超越し、舞い上がるのだ。声だけで一瞬にしてこれだけの驚きを与えてくれる歌手は、そう多くない。ヒグチアイとか、清家千晶とか、見田村千晴とか、後誰がいるかな?関取花もすごいか。郁彩もそうなれる可能性を感じるが。
その声で、音楽はブルージー。格好いいんだ、これが!凛として、攻撃的で、背筋が伸びる。ピーンと空気が張りつめ、息を飲んで聞き入ってしまう。堂々とした声が、しっかりと腹筋で支えられ、音程を外すことなく、どこまでも伸びていく。世界が拡がっていく。このスケール感の大きさといったら!
そんな歌いっぷりでありながら、今夜は真っ白いおしゃれなstrobe cafeを意識したのか、ラブソングで押してきた。最近、作る曲がみなラブソングになるって話してたが、
そのどれもが珠玉。言葉が突き刺さってくる。
どうしたら、ああいう曲を書けるのだろう。いい恋愛しているのかな。でも同じ曲を歌唱力もしくは魅力的な声質がない歌手がうたうと、きっと平板でつまらない曲にしてしまうだろう。これらの曲を歌うのは、彼女でなくてはならないのだ。
例えば「あいのかたち」。歌い出しは


と始まるが、このなんてことない歌詞を彼女が歌うと、感動的に聞こえるのだから凄い!特に最初の「ティー」だけで引き込まれる。歌い出しが一番重要とよく聴くけど、これだけキャッチーに歌えるひとはそういない。上手い!
個人的に一番気に入ってるのが、最後に歌った「君の声」。そのスケール感の大きさは、随一では。見田村千晴の「始まり」の朝焼けの情景も素晴らしいが、君の声で浮かび上がる大自然のイメージは広大。直接、自然を歌ってる訳じゃないのにね。不思議。
1)ラブレター
2)いつでも君と
3)あいのかたち
4)赤ちゃんのうた
5)嘘つきと言った相手は自分だった
6)迷い犬
7)朝焼けセンチメンタル
8)君の声
今年はもっと彼女のライブを聞きにいきたいと思う。
後攻は伊藤サチコ。彼女の声を聞きたいなあと調度思ってたところに、保刈あかねとツーマンと聞き、これは行くしかないと思ってた。
さっちゃんは、ライブにより明るかったり、暗かったり、その格差が大きいと思うのだが、今夜はとても軽妙。ショートカットがお似合いで、笑顔が素敵で可愛らしい雰囲気。引き込まれ、楽しい気分になる。デビュー10年を超すが、いつでもチャーミングだなあ。
最近はサポートミュージシャンと一緒だったり、キーボードでのライブが多かったとか。今夜はグランドピアノの一人弾き語りなので、ちょっと懐かしい曲や、意表をついたカバーを交えた嬉しいセットリスト。特に1,2,3は今も昔も、少し気分を上げたい時に聞く好きな曲で、前奏が始まった瞬間にウキウキした気分になり、ライブが始まった。
strobeはグランドピアノなのだが、譜面たての上にトイピアノが置いてある。どうするのだろうと思ってたら、MCで友達とカラオケにいく話を始める。「サチコの曲はいつになったらカラオケに入るの?」と
いつも言われるそうで、いつか必ずと思ってたとか。
それが、パンパカパーン、ついにJOYSOUNDに入りました!と大喜びでご報告。「僕は変わった」が歌えるようになったそうだ。みんな歌ってくれー、とほんと嬉しそう。良かったね。
そこで今夜はカラオケ風にと、トイピアノの伴奏でなんと松田聖子の「赤いスイートピー」をカバーだ!さっちゃんの聖子ちゃん、これは貴重。ピンピンとかわいらしく響くトイピアノの音にのせて、アイドルっぽく歌う姿は、いつもの伊藤サチコよりかなりかわいい(笑)
続いて、そのカラオケに入った「僕は変わった」。


歌詞の意味を考えてしまうと、気楽にカラオケで歌いずらい重さ。この鋭い歌詞を、どこか物悲しく、それでいて明るく歌うところに伊藤サチコの真骨頂がある。ぐっとくる。すごい詞のセンスだと思う。
1)1,2,3
2)ポラロイド
3)あなたは僕を知らない
4)ハチミツ
5)赤いスイートピー
6)僕は変わった
7)心心と
8)赤い魚
en. 帰ろう
「心心と」も久し振りにライブできけた。じんわりとしながら、心の奥が騒ぐ。
保刈あかねは、聞くものに真剣勝負のような緊張感を与えてくれるが、さっちゃんの曲は怠惰な自分の奥の方に火をつけてくれる。持ち味は違うが、どちらも自らの存在理由が問われ、そして突き動かされる。これぞ音楽の力、これぞ本物の証だ。
客席との距離が近いstrobe cafe ならではの、素敵なツーマンだった。