まずは、川崎Club Cittaで見田村千晴。6月22日発売の初アルバム「いつかのように」の購入者特典で、アルバムの帯を持っていけば無料で聞けるフリーライブby TOWER RECORDSだ。LISTEN UPというグループのアルバム購入特典とのカップリング企画で、見田村千晴はその前座的な出番(ゲストという名目)だった。
お客さんの大半は彼らが目当てで、女性客がぞろぞろ。そのおかげであの広いチッタの客席(着席)は一杯になり後方には立ち見客も多数。大箱ライブは珍しい見田村千晴も、多くのお客さんの前で気持ちよく歌えたようだ。
広いチッタの会場に彼女の歌が響き渡る。彼女の魅力はなんといってもその声。深く澄み、清流のごとくきれいに、とうとうと迸る。明るい陽射しというより、しっとりした陰影が歌に奥行きを与えて、引き込まれる。そして何より力強い。ああ、今日はいつにも増していい声だ。
Listen Upのお客さんが彼女の歌にどんな反応をするのか、少し心配で周囲を見回す。何の前触れも紹介もなくステージ中央に立ち、見田村千晴が歌い出すと、その声に魅せられたかのように、食い入るようにステージを見つめ、曲に合わせて体を揺らし、大きな拍手でたたえるお客さんの姿が多数見られた。
前から彼女の歌は女性にも受けると思っていたが、その通りだったのではないか。ライブ後の物販には初めてのお客さんも来てくれたよう。彼女の歌をより多くの人に聞いてもらいたい。聞く価値は十分あると思う。こうした機会をとらえて、どんどん新しいファンを広げられるといいね。
ライブは、塩ちゃん、瞬ちゃんとのトリオ編成。ドラムセットがステージの上に一段と高く据え付けられ、客席を見下ろすよう。あそこで叩いたら、気持ち良かろう。そのドラムとベースに支えられ、彼女のギター弾き語りも引き立つ。
1曲目の「渋谷駅東口歩道橋」で、社会に抗いながら若者が未来へ立ち向かっていく光景が浮かびあがり、様々な思い出の琴線に触れる。「青」はWeatherNewsの梅雨の時期のテーマソングになった曲だが、離れてしまった相手を思いやる気持ちが切なく伝わる。いい曲だ。
何より今日楽しかったのは「お喋リズム」。まだライブではあまり演奏したことがない曲で、昔からの見田村千晴ファンでもこうして聞けて嬉しい限り。バンドでにぎやかにやるには、もってこいで、これからの彼女のライブを彩っていく曲になるのだろうと思う。
しかし、本日、個人的に一番響いたのは「始まり」。照明が落ちて、隣の席も見えなくなる中でわずかなライトがあたる見田村千晴が静かに、ほぼアカペラで歌いだすと、彼女の声が暗い空間に波紋のように広がっていく。会場のお客さんの呼吸までが、彼女とシンクロしていくような緊張感。彼女の声を強く印象付ける良い演出だ。声に魅力のないアーティストがこれをやると、逆に雰囲気が壊れるが、今夜、もっとも美しい瞬間だった。彼女の魅力を再認識した。
1)渋谷駅東口歩道橋
2)ナイト
3)青
4)おしゃべりずむ
5)始まり
歌ったのは5曲だけで、やや物足りず。いずれ、この規模のライブハウスを一人だけの力で満員にする日が遠からずくるだろう。その時はフルに2時間くらい、歌いまくって欲しいなあ。その日が訪れるのが極めて楽しみだな。
見田村千晴のステージが終るや否や飛び出し、電車に飛び乗る。行き先は田町駅。京浜東北線で17分程度だ。駅から徒歩10分程度とやや遠い、海岸通沿いのライブハウス、芝浦Cube 326 ARKでこの日、FM世田谷の音楽番組「BIG TIME Plus sum~渋谷めぐみのDeepな夜」の公開収録ライブが開かれているのだ。
収録の模様はUstreamで中継されており、電車の中で見ていたのだが、田町駅着いたところで前のバンド、careの演奏が終ってしまった。雨も降っており、渋谷めぐみの出番に歩きだと間に合いそうにないのでタクシーに乗る。会場に滑り込むと、調度、渋谷めぐみがステージ袖でスタンバっている所。
さあ、渋谷めぐみの出番だ。
この日は前日に引き続きロックバージョン。エレキギター高田さん、キーボード松浦さん、ドラム西川さんのサポート陣も音楽をよく理解している。それだけに、ロックな演奏にも華やかさと賑わいがあり、楽しい。
セットリスト
1)magic
2)夏
3)真実の花
4)eternally
5)Deep
まず「magic」で一気にテンションを高める。激し目のリズムと、粘っこくリードラインを響かすギターの音色がいい。渋谷めぐみの声も今日はよく出ており、調子も良さそう。これは期待できる。
昨夏作って、それ以来歌っていなかった「夏」が珍しい。続いて原曲は暗い「真実の花」を、ロックアレンジで演奏して、ぐいとつかむと、後は定番のeternallyとDeepというロックなナンバーで突っ走る。Cube326 ARKも広いライブステージだが、その広さに引けをとらない好演。いい感じだ。
MCさせると締りがなくなるが、歌っていれば迫力がある。これだけで魅力あるのだが、まだまだ物足りない。採点したら何点くらいだろうか。
何が物足りないのか考えてみる。
ステージ中に楽譜などに目を落とさず、堂々と、ふてぶてしいまでに自信たっぷりに歌い上げれるようになるとプラス5点。
客席に視線を送り、お客さんとコミュニケーションとれるようになれば、さらにプラス5点。
ステージ中央でじっと動かないのではなく、所狭しと動き回り、音楽と同様に勢いあるステージを作り出せれば、さらにプラス5点。
お客さんを煽ったり、一緒に歌わせられるようになれば、さらにプラス10点。
そして、ファッションから音楽、トークまで統一した世界観を構築し、お客さんを魅了できるようになればプラス15点。
それ位はまだ加算の余地がありそうだから、現在の評点はまだ50点台というところかなあ。ちょっと厳しすぎるかな。逆に言えば、まだまだ伸びしろはあると思うのだ。こういうことを一つ一つできるようにしていけば、きっと、どんどんファンも増えるだろうと思う。今はようやく、何とかトークが少しできるようになっただけで、まだまだライブを通じてお客さんとコミュニケーションを十分取れていない。
前向きに努力して欲しいんだけどなあ。
さて、今夜のもう一つの楽しみが、荒牧リョウだ。
今夜の収録ライブに渋谷めぐみの対バンで荒牧リョウが出てくれると聞いて、どんなに嬉しかったことか。この二人の演奏を聞き比べ、楽しみで仕方なかった。
シブメグがバンドで出た後に、オオトリの荒牧リョウが広いステージに一人きりで登場。アコギ一本の弾き語りだ。だが、なめちゃいけない。彼女はそれで十分、大迫力のステージを見せてくれるのだ。
「こんばんわー、荒牧リョウでーす」と元気一杯に登場し、その笑顔とともにお客さんの心をあっという間につかむ。こういう所、さすがだよね。そして最近定番の「輝いて」。アカペラで


そこからは、怒涛の迫力あるロックナンバー。先日発売した初アルバム「Colorfull」からの曲たちだ。ギター一本とはとても思えない分厚い音と、卓越したリズム感でグルーヴたっぷり。立ち上がって踊りだしたい気分。会場のお客さんも手拍子で応える。
ややバラードっぽいtears in the earthでさえも、そのグルーヴが途切れることはない。一人でアコギで、これだけのノリノリの舞台を作れるアーティストはそういない。見田村千晴は路線が違うが、彼女でも無理だろう。Rihwaなら、また違った明るさでノリノリの舞台にしてしまうだろうが。ストリートなどで鍛え上げた圧倒的なパフォーマンスが彼女の強みだ。
ラストは最近の決め歌である「I just say」。うーん、いい曲だあ。何度も何度もCD繰り返し聞いてしまう。彼女の魅力を存分に引き出している。この元気さと、大胆さ、オープンマインドネス、たた一人でこの世界に穴を開けてやろうという突貫力、その一方で女性らしい繊細さとやさしさ。人間的な魅力たっぷりなんだよなあ。
1)輝いて
2)What is my life?
3)tears in the earth
4)Last Chance
5)I just say
en. タカラモノ
FM世田谷「BIG TIME Plus sum」のパーソナリティに渋谷めぐみがなって6ヶ月目で最後の公開収録ライブだった。彼女が歌う回は、例え堀江淳が出ても、渋谷めぐみがトリだった。その彼女のFM世田谷最後のライブで、トリは荒牧リョウに譲った。ふふふ、どういう事だろうね(笑)
奔流でさえも、力強く遡っていく鮭のように、荒牧リョウがこれからどこまで昇っていくのか、とっても楽しみ。彼女もまた偉大な才能であると確信しているから。
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