10/11/28 木下直子ワンマン @渋谷O-Crest | 音楽偏遊

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話は日曜夜へ戻る。廻田彩夏と中山由依のツーマンがあった恵比寿天窓スイッチを途中で抜け出し、イルミネーション輝くガーデンプレースを横目に駅へ。目的地は、30分スタートがマワリー達より遅かった木下直子姉のワンマンライブ@渋谷O-Crestだ。


渋谷駅から道玄坂を登り、息をきらせてたどり着けば、最後に5階まで昇る階段が待っている。ヒィヒィ言いながら階段を昇りつめ、なんとかライブ中盤に滑り込む。汗だく。

ふと見ると、案の定、ブルブル愛ちゃんも最後尾に。明日、彼女もここでワンマンだ。仲良しの直子ちゃんのステージに感動しながらも、きっと自分はこのステージでどう動くか、そして最後の重大発表(その詳細はブルブルのライブレポを待てビックリマーク笑)をどんな言葉で語ろうか、頭の中を駆け巡ってたことだろう。

会場は超満員で立ち見も20人以上。彼女はアイドルでも、川嶋あいでも、植村花菜でも、阿部真央でもない。木下直子がいかに少しずつファンを積み上げ、大切にしてきたかよく分かる。その熱気で汗がひかない(笑)

セットリスト(ファンの方のブログ参照させて頂きました)
 1) この手
 2) 夢の島
 3) 私を守るもの
 4) ひまわり
 5) 砂の花
 6) らくがき
 7) 白昼夢
 8) たったひとつの恋
 9) 空中ブランコ
10) 恋のかけら
11) 蜘蛛の糸
12) まほうの手
13) あいたい (with 広沢タダシ)
14) 雷鳴 (with 広沢タダシ)
15) ナナイロナミダ
16) 赤いくつのワルツ
17) 空耳
18) 最後の音符(新曲)
   
<アンコール>
19) メドレー
     硝子細工~ピアスとオレンジ~ヒカリ~雲と嘘
20) 愛の大きさ
21) 生きとし生けるもの

序盤戦で僕の気に入っている「砂の花」「ひまわり」などを歌っていたうえに、名曲「私を守るもの」もこんな早い段階で繰り出すとは驚き。7)辺りで到着したので、残念なことに聞き逃してしまった。惜しい!

その後、ステージは中盤のアコースティックなバラードから徐々に盛り上がり、ゲストにあの寺沢タダシを呼び込み2曲。先日彼女が出したアルバムのサウンドプロデュースを努めた関係。彼も木下直子との共演が楽しげだ。そのアルバムから1曲、寺沢の曲から1曲歌う。さすが活躍中の寺沢タダシだけあり、ブルージーで魅せる演奏で引き込まれる。その寺沢氏とため口で仲良しという直子ちゃん、さすがの貫禄だ(笑)

終盤はバンドでアッパーな分厚い演奏で盛り上げ、お客さんも立ち上がって手拍子状態。基本的にはアコースティックな木下直子のライブでは珍しいが、皆が熱く興奮しており、もう立たずにはいられない状況。舞台と客席が一つになって、フィナーレへ突き進む。素晴らしい雰囲気だ。

ブルブルの愛ちゃんとのコラボでも歌った「赤いくつのワルツ」はやはり盛り上がる。この日のライブはその「赤いくつのワルツ」リリース記念でもある。新曲の「最後の音符」は、木下直子がいかに音楽を愛し、歌うことに捧げているか痛切に伝わってきた。この日のライブの最後の重大発表を聞いた後だけに、彼女のこの歌に込めた想いの深さに涙が出そうだ。

この日の構成は、ステージ中央にキーボードを置き、客席と正対した彼女が、ギター風間洋平、ドラム誇太郎、キーボード&シンセfurani、バイオリンまみちゃんに囲まれるセッティング。時にキーボードを離れ、マイクを持って歌ったり、彼女単独で演奏したり、と出し惜しみなく様々な顔を見せてくれた。他の演奏陣とも、とても息が合っていて、繰り出されるそれぞれの音がイキイキしていて楽しい。

MCでも仲間への愛が溢れており、この日の彼女の隠れテーマは「信頼」だったと思う。バックの洋平や誇太郎ら何度となく彼女をサポートしてきたメンバー達。回数を重ねて練り上げた信頼が、ここぞという時によい音となって現れてくる。また、詰めかけたお客さんは、彼女の包容力と安定したパフォーマンスに全幅の信頼を置いていたのではないか。

終盤にかけてのスタンディングでの盛り上がりも見事だったが、実は本当の圧巻はアンコールからだった。普通1、2曲で終わるアンコールが、20分以上続いたのではないか。演奏も歌も渾身のパフォーマンスで、心を奪われた。

アンコールで再登場して歌い始めたのが「硝子細工」。この曲も大好きな1曲。ここからBメロでさらに盛り上がるぞー、と思っていたらそのまま曲が変化して、「ピアスとオレンジ」に。そして怒とうのメドレーが始まった。魂がこもった歌声で、声帯から血が出そうな濃縮感を醸しながら、歌い継いでいく。

アンコールにメドレーっていいアイデア。えらく得した気分だ。「歌娘ライブ」の最後に出演者9人?の歌をメドレーしていたが、あのライブがヒントになったか。

しかも大拍手でメドレーが終わっても、まだ終わりではなかった。最後に明るくもう1曲と「愛の大きさ」を歌い上げ、割れんばかりの喝采。会場は大感動に包まれた。

一旦退いたが、ダブルアンコールの手拍子が途切れない。もっとずっと聞いていたい、そんな皆の気持ちが高いテンションのまま残っている。声援に応えて彼女が再登場したが、そこで重大発表が。今年に入り突発性難聴になり治療しながら歌ってきたが完治しないこと、そのため2011年はライブの本数を絞りながらの活動になるとの言葉が。詳しくはご本人がブログで語っているので、そちらを参照して欲しい。

しかし、「歌う=生きること」である彼女のようなアーティストには辛いと思う。浜崎あゆみや藤あや子に限らず著名な歌手が発症したと聞くことも多い。爆音による外傷性の場合もあるというが、木下直子さんには、しっかり治療して、思うように歌えるコンディッションをぜひ取り戻して欲しい。

本当の最後の最後に、「生きとし生けるもの」を熱唱。熱い、熱い一夜は大団円を迎えた。

木下直子の大きさ、情熱、音楽性、すべてにおいてひしひしと伝わってくる充実のライブだった。やはり、彼女は素晴らしいアーティスト。これからも、大いにライブシーン盛り上げてほしいね。ガンバレ