10/9/29 ヒナタカコ、can'no @代官山LOOP | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

なんか、時間がたってしまい記憶の鮮度が落ちている今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょう?

頭が冴えないのは、実は昨夜記憶が無くなるまで飲んでしまったことが原因でね。いやー、久し振りにあそこまで飲んだなあ。ひどい二日酔いだし、散財したなあ。昨日もライブ行ったんだけど、その記憶さえ飛んでしまいそうだよ。こんなんで、いつになったらレポ追い付くかな。

では、9月29日に代官山LOOPで見たライブ「ともしび」の最後の2人の出演者について。

4番手に現れたのがヒナタカコ。この日の一番のお目当てです。

てっきりトリだと思ってたし、内容的にもトリに相応しかったと思うけど、まあ初めてのライブハウス。仕方ないでしょう。can'noのお客さんも多かったしね。

実家のある福井でいくつかライブして転戦、いいくぼさおりや吉村かおりと合流して大阪と名古屋のライブツアーを終えたばかり。久々に東京で歌うので、聞きたかったのです。

結論。相変わらずいいネー。ヒナタカコならではのうなりと、ずばっと鋭い視線で歌い上げる独特の詞の世界。素晴らしいピアノ伴奏がドラマ性を高める。

1)緋色の涙
2)月
3)時雨通り
4)新曲 (阪名tourの後に完成したばかり。ライブ初披露)
5)何処の空

いきなり、尺八や胡弓音など重層的に打ち込んだ?シンセの激しいカラオケに、キーボードをかぶせて緋色の涙。蘭華が美しい中国の風なら、ヒナタカコは、この曲に関してはエキゾチックジャパンビックリマーク

ちょっとやり過ぎ感が。オケが目立ちすぎ、せっかくの彼女の歌唱力が打ち消されてる。初めての客は、こやつはコケオドシ歌手ではといぶかしんでないか。ちと心配してしまい、周りを見回したが、客席はクールな反応。この曲では引き込まれなかったよう。

しかし、2曲目からは完全に、哀愁と力強さが併存するヒナタカコワールドに突入。キーボード弾き語りのオーソドックススタイルで魅了した。

特に「時雨通り」が秀逸で、客席の集中度が跳ね上がった気配。雨にけぶるシャンゼリゼを舞台に、和風の悲恋が彼女の劇的な詞と、切迫感溢れる歌で目の前に広がる。雨の匂いも、通りをバシャバシャと打つ音も聞こえてくるよう。

ここまできたら、もうアーティストのもの。私もこの年になりますと、友達も結婚してますし、母親も結婚当初の話もしてくれて…とMCで引き付け、新曲へ。結婚がテーマなのだけど、焦点の当て方がヒナタカコらしく毒があって嬉しくなる。

簡単に詞を紹介すると、一番好きな人とは結婚出来ないもの。今日嫁ぐ私は「誰よりも、何よりも、あの人を遠くに捨てましょう」と歌う。一番の男は何よりも遠くに捨てよう、という女の覚悟。日本社会の女の宿命みたいなものさえ漂わす。やるなあ。

こういう視点と、それを劇的な詞に置き換える才能にほれます。小林未郁とかもそうだが、フワフワした夢のような恋愛ごっこではなく、生々しい人間の本性が垂直に立ち上がってくる歌を脳幹を振り絞って産み出す創造力。完全なるオリジナリティ。次元が高いよなあ。

だから好きなんだ、ヒナタカコは。まあ、僕の好みは偏ってるとよく言われますが。だから音楽偏遊なんで、この後に書くことは個人の戯言と聞き流して下さい。

ラストはcan'no。エキゾチックなルックスは雰囲気がある。その点、ヒナタカコはルックスは純日本人的で、音楽で和風エキゾチズムを作り上げてる。

スタイルは同じ1人でのキーボード弾き語り。ただ音楽はこの2人全く異なる。can'noはよく流れてる、ちょっと80年代ぽい王道ポップス。歌詞のキメに英語を持ってくるところも、古めかしい。音符C'mon Baby,What's up Baby音符なんて、笑っちゃうほど使い尽くされたフレーズが出てくる。お客さんには受けてましたが。

こういう少しブラックでR&B入ったような曲調も流行りなのかな。多くのアーティストがこういう楽曲歌ってるから、埋没しないか心配。何かオリジナルな世界観を、今後汗水足らして作り出せればいいのだが。

EMILYとも似てるけど、個人的にはEMILYの楽曲の叙情性や優しさ、名曲をカバーするときの格好良さなどに軍配を上げる。なかなかEMILYのライブ聞けなくて残念だなあ。

それでも、きれいなキャンドルライトに照らされ、5組が出演した「ともしび」、十分に楽しめました。来月もやるそうだよ。ご興味ある方は是非。キャンドルアーティストが装飾した炎の芸術を鑑賞するだけでも、来る価値あるかもよ。