我ながら自分らしくない選択とは思いつつ、金曜夜は冷たい風の中、足は渋谷eggmanへ。
いつもなら玉城ちはるや小林未郁を聞きにいく所だが、逗子のOTODAMAスタジオが東京のライブハウス初進出ということで、アイドル&メジャーな出演者ながら気まぐれチェック。
トップの南波志帆は残念ながらちゃんと聞けず。まあ、僕の守備範囲から大きくはずれてるアニメ声、アキバ系なので残念ではありませんが。熱狂的なファンもいて、オールスタンディングの会場は大いに盛り上がっていた。
2番手が、本日のお目当ての甲斐奈都。いわずと知れた甲斐バンド、甲斐よしひろの次女。しかし、2世と侮るなかれ。実力備えた、格好良い27歳のシンガーソングライターだ。
キーボード一つ抱え、地元の下北沢で路上していたインディーズだったのは5年前。その頃、この日最後に登場したRHYTHEMが、下北で彼女に声をかけた事があったらしい。今日は双方がその話をMCで話してた。
彼女は歌が、なかなかいいのですよ。まさに正統派ポップス。キーボード弾き語りで、この日はギターのサポートと2人でのステージ。「愛GIRL夢GIRL」のようなアップな曲で盛り上げて、「同じ空を見上げてる」といったバラードはしっとりと歌い上げた。「カテドラル」とか、いい曲です。
特に「同じ空~」を歌う前のMCでは、最近2週間NYで過ごしており、9.11.の日にはセントラルパークでお弁当食べながら、多くの友人知人とあの惨劇についてメールで話した、上空に視界を遮るものない公園の広場からは大きな青空が、ああ今こうして9.11に思いを馳せているメールの先のみんなもこの空の下で繋がってるのだと痛切に感じた。そんな話を披露してから歌い、曲の感動もひとしおだった。
彼女のこうした感受性や社会意識の高さ、おおいに好感。音楽にも大人らしさがあり、子供の音楽とは根底から違う赴き。NYでは色々吸収してきたという。おおいに音楽の幅と深さを広げて欲しいな。
また、音楽的な素養も体系だって学んでないかもしれないけど、体に染み付いてることが歌い方から分かる。小さい頃からピアノはやっていたというし、家庭でも音楽は溢れてただろう。しかも、本物のアーティストが醸し出すステージでの迫力の胆も分かってる。それが彼女のステージからも、客席に伝わってくる。
わざわざ札幌からなっちゃんのライブ見に来たというお客さんも。生の彼女のステージを見るためならその価値がある、と思わせる何かを甲斐名都は持っているのだ。
比較されるのは嫌かもしれないが、なっちゃんも矢沢洋子も、恵まれた音楽環境の中で育ち、意識を高く持ち、現在いいライブをやっている。七光りに頼るのではなく、ジュニアの恵みを素直に受け止め、それを自分の音楽に生かしている。僕らお客さんは、楽しませてくれるアーティストがこうして続々と登場し、活躍してくれるだけで十分嬉しいのです。ひがみなどない。頑張って。
さてラストはRHYTHEM。女性Duo。アップテンポな曲、歌唱力ある2人の掛け合い、チャーミングなルックス。会場も盛り上がりました。
それぞれキーボードとギターを弾き、コーラスや掛け合いの息も合っている。小学校から大学までずっと一緒だったというから、それも頷ける。お互いを理解しあってる事は2人の話からも分かるし、それがステージにも安定感をもたらしてる。
同じ女性Duoと比べると、花月の先日のステージは、会話などの呼吸がちぐはぐで魅力を削いでいた。タイニーサンは姉妹ユニットだけにピタッと合っていて、微笑ましく、音楽に一体感がある。てまりはRHYTHEMと同様、学生時代からの親友どうしで、お互いへの信頼感が滲み、安心感がある。SpringRollは役割分担ができていて、よくセルフプロデュースしてるから楽しめる。
バトルで魅せられる男性Duoに対し、女性Duoには息の合ったハーモニーで優しい気持ちにしてもらいたいもの。唄奴とかはバトルしてるけど(笑)
RHYTHEMのステージには、確かな相互への信頼感と性格の強さの微妙なズレが、目を惹く。グループごとの個性は当然あり、2人の関係性に興味がひかれるのもDuoの面白さ。それだけに、RHYTHEMの今後は気になるね。
そんなこんなで「音霊」楽しめたね。また彼らの企画あれば、行きたいものです。