10/8/14 Flower Voices scene52@FAB~プロローグ | 音楽偏遊

音楽偏遊

最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

ついに終わってしまった「Flower Voices」。有望女性シンガーソングライターが毎年1人(ないし2人)、ホスト役となり様々な女性アーティストを迎えて、2ヶ月に一回、表参道FABで開催されてきた。足掛け10年近く、計52回に達したが、今夜幕を閉じることになった。残念だなあ。

このイベントが好きで、わざわざ新幹線に乗って遠くから来るファンもいるほど。いつもほぼ満席の人気イベントだが、最後の今回は特にすごく、いつもはフロアの3分の2程度を占める椅子席が、今夜はぎゅうぎゅうに全フロアに配されたが全く足りず。余ったスペースに立ち見が何十人かいて、その後から来た人は入場できないほど。全部で400人近くなったのではないか?

ホストは6代8人が引き継いできた。当初は毎回違う女性アーティストを集めるイベントだったというが、間もなくハセガワミヤコさんが初代ホストに。その後、拝郷メイコ、池田綾子、辻香織、SHUUBI(2年)、玉城ちはる&清家千晶とホストが受け継がれ、今年は清家に代わり松本英子が加わって、玉城とダブルホストだった。

すでに清家千晶がホストを止める時点で、イベント中止は決定済。そのホスト1年ご苦労様の回(2月)に「フラボは終わります」「え~」「でも、あと半年続きます」「お~」「それでは次のホスト紹介します」(ワクワク)「私でーすラブラブ」(???)「あ、玉城が続けるの、ガハハ」みたいなトークがあったなあ。

そのため、6月と8月のラスト2回のゲストには、過去のホスト招き、思い出や思い入れをMCで話す形に。前回ゲストが拝郷メイコと辻香織。今回がSHUUBIと池田綾子だった。

フラボへ沢山の思い出があるのはファンも同じ。出演者と思いを共有しているから、ラストプレイに異様な盛り上がりをみせた。またその空気を、トップバッターのSHUUBIが思いっきりヒートアップしてくれたからね。ライブレポは次の稿で。

フラボ終了には、色々と事情がある様子。そもそも、会場となっていた表参道FABも、今月から吉本みたいなお笑い用ステージとなり、表参道GROUNDに改名。FABが入る建物を所有し、本社を置くワタナベ・エンターテイメントの方針変更があったようだ。ワタナベのアーティスト部門、売れてる歌手があまりいないしね。箱があるなら、有効活用せねばと企業だから考えてもおかしくない。

看板がすでにGROUNDに替わっているから、FABだと思って来るお客さんのために、スタッフがFABとプリントアウトした紙をあちこちに張ってくれていた。特に1階から地下に降りる階段の頭上に張られたFABの文字が印象的だった。ここに並び、ぞろぞろと階段下ってFABに向かう音楽好きたちの何人が、この先、GROUNDに足を運ぶだろうか。多分、あまりいない。つまり、この客もワタナベに切られたということなんだな、なんて少し感傷的になった。

フラボをスポンサードしてきたハイネッケンの意向もあっただろう。フラボでは、ハイネッケン飲むようにしてきたが、さてどれほどのPR効果があったのか。
世界的な消費不振の中で、ビール会社も何らかの経費削減努力を示すことが、株主への責任として求められている事は間違いない。

ただ、これだけ長く続いたイベントだけに、「Flower Voices」という名称は、もう単なる商標ではない。沢山の思いが詰まっており、大人の事情と無関係に、イベント復活を望む声はかなり大きい。

きっと誰かが、もしかしたら玉城やメイコちゃんらが復活させてくれるだろう。ただ彼女たちは元ホスト。同窓会的なイベントはできても、バトンを受け継ぎ、新たなアーティストに飛躍の場を提供し続ける母体は必要だ。ワタナベ&ハイネッケンに望むのは、「Flower Voices」の魂を継承するしっかりした母体が現れたら、快く使わせてあげて欲しいという事だね。

玉城ちはるが最後に叫んでたが、「Flower Voicesは不滅です」と本当になって欲しいもの。Shibuya-Oとか引き継がないかなあ。