10/8/8 木下直子 鈴木友美@「夏歌娘」風知空知 | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

日曜というのに(しかもお盆ビックリマーク)、深夜まで仕事だー、と嘆きつつツイッターを見ていたら、午後に木下直子が歌うとつぶやき。忘れてた。夜は絶対抜け出せないが、昼なら何とかなるぞ、と仕事の合間に下北沢へ。

会場はカフェ「風知空知」。ビルの4階、テラス席が空へと開かれていて、空気が美味しい。今日は雨がパラツキ、過ごしやすい気温で心地よい。

ふかぶかとしたソファーに沈み込み、はあーっと一息。癒されます。そこに一番手で木下直子ちゃん登場。ああ、彼女の暖かい歌を、疲れた体が求めてたのだと実感。先々週のワンマンを逃してしまい残念に思ってたが、日曜昼下りのライブはアットホームで暖かかったよ。

というのも、他の出演者との共作×2あり、お母さん登場ありと、幾重もの人と人の繋がりが感じられる内容。また、最近のライブであまりやらない懐かしい曲もあり、ノスタルジックな風情も。そんな一つ一つが優しい空気を生んでいく。

さて内容はこんな感じ。
1)雨ふり
2)落書き?
3)夢の終わり、そして始まり
4)この夏を忘れない(共作・シミズリエ作詞、木下直子作曲)
5)ピアスとオレンジ
6)私を守るもの
7)愛の大きさ

この日はギター洋平君をサポートに、2人でアコースティックな演奏。「雨が降るから歌ってなかったこの曲を、久し振りに歌おうと思ったら、やはり雨になりました」と1曲目の「雨ふり」。確かに恐るべし雨乞いパワー(笑)。でも、この曲けっこう好きなんだよね。聞けて良かった。

2)3)は昔、彼と2人で活動してたころ、よく歌ってたという。生は初めて聞いたかも。アコギの音が生きていて、若さを感じる。洋様のギターがいいねえ。特にチュイーンとコードをスライドさせる音が、綺麗に決まっていて。さらに若々しい力に充ちていたのが、次の共作の4)だ。

直子ちゃんの曲に、シミリエが歌詞を乗っけたのだが、その内容はズバリ甲子園。マウンドに立つ君は、目指す高みにたどり着けなかったけど、約束の地に連れてきてくれたこの時を忘れない、時がたち離れ離れになった今でも――といった内容。タッチの世界だな。汗と青春。木下直子にはない世界観で、レパートリーに加えたら面白いね。

逆に彼女らしいのが6)。当然、お母さんの話に。この日もステージ横の一段高く客席を見渡せるカウンター席にお母さん鎮座。木下直子もやりにくそうだが、母親話をするとお母さん、高々と手をあげて、客席から大きな拍手をもらい楽しそう。ファンキーな母ありて、この娘あり。そんな母への愛情たっぷりに「私を守るもの」を熱唱。子どもの頃繋いだ母の手はいつも温かくて、私だけのためにあると思ってた、という歌詞で、空想の情景を普段は想い浮かべるのだが、この日は目の前にお母さん。妙にリアルなイメージが浮かぶ。

親を目の前にして、感謝の念を歌える心境にはオレは達してないなあ。仲良い母娘なのだろう。でも、そんなところも、木下直子に安心感を抱く理由なのだろうな。

最後は楽しく、明るく、「愛の大きさ」で、後の2人につないだ。告知では、新CDの発売や、まだまだ続くライブの案内など、実に意欲的。11月にはワンマンもあるそうで、今度は聞けるといいなあ。


さて、2番手は鈴木友美。ライブ聞くの初めてかな。そろそろ仕事に戻らねばと、そわそわしながら、結局最後まで彼女のステージ見届ける。なんというか、色々な表情を持ってるアーティストだね。曲ごとにテーストが変わるから、つい次はどうなるかな、と最後まで聞いてしまった。

どの曲も初めて聞くので、曲名などよく分からないが、聞き取った感じでは以下。
1)ちっぽきな気持ち
2)Don't Look Back
3)かげろう
4)Vision
5)飛べない鳥(共作詩木下直子、曲鈴木友美)
6)I Believe In Miracle
7)?

1曲目ではかわいい声で、独特の雰囲気を醸し出す人だなあと、思っていたが、その後にいろんな彩で楽しませてくれる。伊藤サチコ風だなあ、と思ったら次はヒメノアキラ風。はたまた英語で格好よく決める。なんだろう、マルチな才能というのだろうか。アーティスティックな感性を感じるなあ。

そして、一番気に入ったのが最後の曲。最後にきてまた芸風が変わって、オルタナティブとでも言ったらよいのか。もう抜け出せない、大好きなものばかりの空間から~みたいな歌詞が印象的。声の感じがこんどは清家千晶に似ていて、不思議な多面体を見ているような存在だね。


ここで時間切れ、職場に復帰へ。ラストのシミリエの前にスペシャルゲストでchamiも登場したようだが、これも聞けず残念だあ。シミエリは、木下直子や戸城佳南江、谷口深雪、佐藤ひろこなど聞くようになって、よく名前が出てくるから一度聞きたいと思っているのだが、いつも今回のようにニアミス。明日は笹生実久を聞きに行くというのに(笑)。chamiも路上で何度か見かけたが、実はまだライブでは見たことないなあ。英語でソウルフルに歌っていて、一度はライブでもと思い続けて、いまだ実現せず。まあ、近いうちに見る機会もあると確信してるけど。