10/6/24 森恵 矢沢洋子 naturalism@LOOP | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

この日の代官山ループと矢沢洋子の共催イベント「Naturalism」の10回目もいよいよ佳境に。(前半出演のmarina、倉沢桃子、初田悦子については前日のブログ参照)

4番手に登場したのが森恵だ。ギター弾き語り。初田悦子がキーボードとドラムのサポートを得て、大きめな仕草で客席とコミュニケーション取っていた後だけに、1人きりのステージは寂しいが、どうして森恵は堂々のパフォーマンス。こなれたギターと、力のある伸びやかなボーカルで、冒頭から惹き付ける。

歌唱力やギター技術は前からあったが、ボーカルのテクニックが増して、クオリティが高くなった感じ。人気歌手らしい歌い方するようになって、彼女を初めて聞く人も、取りつきやすくなったと思う。

それもそのはず。いよいよ七夕の7月7日にメジャーデビューだ。広島から上京、こつこつと路上やライブハウスでファンを増やしてきた彼女。最近はエイベックスの音楽学校の特待生にもなっていた。満を持してのメジャー、もちろんavexからシングルリリースだ。

この日、5曲目の最後に歌った「キミ」がその曲。カプリングの「日はまた昇り」も披露。どちらの曲も力強く訴えかけてきた。

セットリスト
1)?
2)?
3)恋の電車
4)日はまた昇り
5)キミ

キミ、なかなか聞かせるよ。

気になるのは、プロデューサーの指示やボイストレーナーの教え方もあるだろうが、個性がなくなった感じがする点。まあ元来、森恵って、路上出身にもかかわらず発声や節回しがとても整っていて、クセの少ないアーティストだった。

だから、より歌唱力が増したことで、逆に主張が強くなったともいえる。何かの弾みに諸々の歯車がピタッと合えば、森恵プロジェクトもうまく転がり出すかもしれないぞ。ポスト大塚愛とか、狙ってみますか(笑)ああ、大塚愛は結婚しただけで活動は止めないけど。

さあ、そして大トリは企画主催者の矢沢洋子だ。とても魅力的なアーティストで、親の七光りなんて全く無くてもファンを虜にするチャーミングさに溢れてる。でも音楽は芯が通っていてヤワじゃない。ロックが似合う歌姫だ。

なのだが、全ての状況があって今の自分があるのだから、何を隠す必要があるの?という帰国子女らしいおおらかさで彼女自身が普通に話してるので紹介しよう。そう、彼女は矢沢栄吉の娘なのだ。

ロサンゼルスで育ち、親の職業もあり、幼いころから、最高のロックやソウル、ブルース、カントリーなどを濃密に浴びて育ったのだろう。自然に呼吸するように、彼女はそうした音楽のエッセンスを体で理解している。それが、彼女のボーカルの端々に現れ、聞くものを喜ばせてくれる。

1)?
2)Yesterday Oncemore
3)君に会いたい
4)Fade Away
5)月光

例えば、Yesterday Oncemoreだ。カーペンターズを聞いて育った自分には、この曲を歌うならある水準は必ず満たして欲しい、と期待がある。矢沢洋子は、その水準は軽くクリアし、さらに彼女ならではの魅力を加えてくれる。彼女にそこまで感情込めてあの日に戻れたら、と歌わせる思い出って何だろう、と想像の翼を羽ばたかせてくれるのだ。

この日の会場はLOOPなので、基本的にはアコースティックだ。彼女の選曲もそれがベースにあったが、それでも後半歌った曲は、ドライブ感、グルーヴ感あふれる絶妙のボーカルで会場はノリノリ。手拍子も大きい。最後には100人程度に膨れ上がったお客さんの半分はスタンディングで、踊り出しそうな勢いだった。

何故かスパッとステージを断ち切り、アンコールも無かったのが不思議。充実の5組の演奏で時間切れだったか。それにしても矢沢洋子。いいアーティストだ。
来月のNaturalismも楽しそうな出演者揃い。cossamiも出るし、聞きにきたいが予定が…。何とかなるかな。

また矢沢洋子が現在レコーディング中のアルバムもこの夏発売になるって。こちらもゲットするしかないね。楽しみです。