さて今夜の大黒さんは、ちょっと意表をつくセットリスト。冒頭1曲以外はみなカバー

うーん、でもやはりオリジナルを聞きに来てる訳で。自作曲をもっと増やそうよ。今のところ大黒美和子としてのオリジナルは、先日発売したアルバム収録曲やシングルの2曲、まだ音源がない4~5曲で十数曲か。30分のライブで6~7曲歌うとすると、頻繁にライブしてると、その都度変化つけるには20曲以上欲しいね。
とまれ、今夜はこんな感じ。
1)行方知れず
2)始まりはいつも雨(CHAGE&飛鳥)
3)悲しみにさよなら(安全地帯)
4)民謡「貝殻節」(彼女の地元、鳥取県米子市に伝わる)
5)無縁坂(さだまさし)
6)歩いて帰ろう(斎藤和義)
伴奏はピアノのみ、またまたヨッシー。彼はPOPの伴奏多いけど、実に繊細で、バラードなどを綺麗に弾けるピアニスト。そこを美和子ちゃんが気に入ってる様子。ただ、あまりそこに重点置くと、大黒美和子の持つドラマ性を失いかねないと認識したのが、今日のライブ。
カバーの2)3)は、オリジナルではもっとドラマチックな曲なのだが、大黒バージョンではややスローで、デリケートな作りに。ヨッシーの伴奏は美しい音色で、美和子ちゃんは抑え気味にきれいに、さらっと歌う。うーん、物足らん

逆に良かったのが、民謡。故郷の話をMCで話す流れで歌ったのだが(それでもかなり唐突感あったが)、さすが。勿論、最近は民謡歌ってないので(唄に入る心構えも違うだろうし)、出来映えはさほどでもなかったろうが、それでも昔取った何とやら。イージーリスニング的なカラオケの後だけに、ひときわ迫力ありました。
そう、実力があるだけに、こういう気合の入った曲こそ大黒美和子の魅力が現れる。普段の「暗い」ステージでも、彼女の歌はとてもドラマチックで力が入っている。つられて泣ける。そこが、聞く側にもカタルシスなのだ。そんな歌をどしどし歌って欲しいなあ。
ちなみにさだまさしは合ってたけど、「歩いて帰ろう」は似合わない。お客さんに立ってもらって手拍子促しノリノリ感演出しようとしたが、美和子ちゃん自身に何かが足りないため、若干の違和感が。その「何か」を言葉にするのは難しいのだが、人生を楽しむ余裕、みたいなものかな。でも、いずれ自然にこうしたノリを作り出せるアーティストになれると思うよ。
さて、この日は一番手がレコリック、二番がhatsumi、三番に大黒美和子、トリが伊達恵子の順。レコリックと伊達恵子のライブはどちらも二度目なのだが、やはり僕の趣味ではないと再確認。なのでコメントは割愛。特筆したいのはhatsumiだ。
hatsumiは、ギター弾き語り。どんなキャリアがあるのか、年齢も含め分からないのだけど、女性SSWの1つの王道にいる。かわいらしい声、それでいながら気合い入った媚びないボーカル、女性の心情とらえた詞、伸びやかで心地よいメロディー。
なかなかのアーティストです。ただ癖の無さが心に引っ掛かりづらいか。曲だけ聞いて、これはhatsumiだと分からないかな。独自の音楽世界を今後構築できるかが課題のような気がしますね。
最も独自という点でいえば、レコリックや伊達恵子は持っているのだけど、それが合わない人もでてくる(僕のように)訳で。
多くの人に受け入れてもらえる、個性の構築はなかなか難しいものです。大手音楽事務所やレコード会社が、路線決めて売り出した新人がこける事が多いことからも、作為的に人気を作り出す困難さは押して知るべし。
それだけにインディーズでライブを繰り返し、お客さんの反応を見ながら磨かれた独自性を持つ歌手は強い。トライ&エラーの繰り返しこそマーケティングの要訣。何十何百のライブで意識して積み上げれば、それはアーティストにとって貴重な財産になるはず。意識しないで歌いたいように歌うばかりでは、成長スピードも遅くなるだけに、もったいない。
ギター弾き語りでいうなら、メジャーになった歌手は何人もいるよね。拝郷メイコやあずままどかなどなど多数いるし。hatsumiさんにも頑張ってもらいたいね。