10/5/13 cocolo note @渋谷ソングライン | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

誰にも教えたくない隠れ家的な飲み屋。そこに行けば、ほっとして、必ず癒される。そんな店を1つは欲しいもの。

僕にとって、そんなアーティストにcocolo note がなると、聞いていて確信した。cocolo noteは峰村泉さんの個人プロジェクト名。それだけに彼女の人柄が滲むのだ。

マリアが思いっきり暖めた会場。自信ないアーティストだったらやりづらいものだろう。しかし、ボーカルの峰村泉にとって、大切なのはお客さんの笑顔。自分のやり方で、みんなに笑ってもらえるという確信めいた姿勢が、聴く側にも安心感を広げる。町の誰にも愛されるスナックのママのような(誰?笑)感じだ。

一つ一つのフレーズが「ねっ、」という語りかけで始まる1曲目。そのたびにお客さん1人ひとりにピタッと目を合わせ、満面の笑みで語りかける。人間、そんなにバカじゃない。作り笑いには無意識に嫌悪感が湧くものだが、泉さんのコミュニケーション力に好感。

それなりに人生のベテランであることは、見れば分かる。別に彼女もそれ隠してはいない。「30越えて、随分」と。しかし、その笑顔は眩しい。魅力的な女性なのだ。多分、同性からも好感される人だと思う。

そして、人と人を紡ぐ素敵な歌詞の数々。彼女が自分の音楽で志向していることは、タイトルからも分かる。セットリスト以下

1)僕の手は君とつなぐために
2)君がいて、僕がいる
3)幸せの住みか
4)また会うその時まで
5)思い出ほろほろ
6)同じ満月の下で
7)泣いても笑っても

彼女はライブがいい。音源も楽しめるが、そこには彼女の笑顔がない。昭和50年代ごろの歌謡曲のテーストを盛り込んだ曲調はどこかノスタルジック。ある曲の説明では、山口百恵の「いい日旅立ち」のようなを曲作ろうと思ったら、暗い歌になってしまった、と話してた。ほかに庄野真代や大橋貴子のような要素も感じる。馴染む。初めて聞きながら、曲の展開が予測通りで、我が青春の時代に戻ったようで落ち着く。

そうした曲を、優しく心込めて歌う。アコギ、ベース、キーボードのサポート。歌唱力はかなり高いと思われ、それを七割位に抑えて聴く側の心地好さを大切にしている。似ているアーティストを探せば、初田悦子の優しさで、玉城ちはるのように一人一人に向き合うような感じ。それに年の功を加えたような(ごめん)

元々はジャズ歌手。学生のような気分で歌う若いPOP歌手とは、ステージの捉え方が違うのだ。

なぜ彼女がPOPに転向したのかは分からない。1つ言えるのは、この日歌ったような歌詞はジャズに合わないという事。またスタンダード中心のジャズでは、思うように自作曲は歌えない。聞く方も、歌う方も共通認識があり、それが楽しいのがジャズともいえる。だからこそ即興の驚きが新鮮なのだ。

一番気に入ったのは、しっとりとした6)の満月かな。夜空を見上げ、遠くの人を思いながら、ウイスキーを飲みたくなった。

また癒されにきたいアーティストです。