電通総研が発表した「情報メディア白書2010」。
今朝の日経新聞によると、同白書は日本のコンテンツ市場のマイナス成長に
歯止めがかからない状況が続いていると書いているらしい。
特に音楽ソフト販売が深刻だ。
11年連続のマイナス成長の典型的な「右肩下がり」市場に陥っている。
2009年は過去30年で最低を更新するとか。
音楽ソフト低迷は世界的な動向だ。
2009年の数字はまだ発表されていないようだが、
RIAA(全米レコード協会)の2008年の数字を見ると、
音楽CDやDVDなどの売上高は27%減だ。
一方でパソコンなどへの楽曲ダウンロードは3割程度伸びている。
ではプラスマイナスが相殺するかというと、そうはいかない。
CDやDVDの方が単価が高いからだ。
さらにダウンロードで主に購入されているのは単価の安いシングルだ。
日本でも携帯電話の楽曲ダウンロードが一気に普及してしまったことで、
やはりシングル購入こそ伸びているが、全体では市場沈下が止まらない。
アーティストの全てを知りたいというファンは実はそう多くなく、
今はやっている曲だけ欲しいと思うのはうなずける。
ダウンロード販売で、それが手軽にできるようになったことも背景にあるだろう。
たからダウンロード販売の強化は、もはや不可避なのだが、そのことで
音楽業界のパイが拡大することは難しいのだ。
レコード会社などにとって、アルバムは、実はシングルより利益率が高い。
アーティストらの制作の手間はアルバムの方がはるかにかかるのだが、
コスト面を分析するとアーティストや制作スタッフに支払われる費用はシングルとアルバムでそう大きく変わらない。計数十万円から百万円程度だろうか。
それより大量プリント、販促、流通コストなどの比率がはるかに大きく、元手を回収するには、
より高額のアルバムを売った方がレコード会社は儲かる。
もちろん、枚数を売らないと利益は出ないが、昨今は個人で3000円近いアルバムを
数十万枚と売れる歌手はほんの一握り。
ベスト盤なら、売り上げが伸びるので、ベスト盤発売が相次いでいる。
ニールセンの調査では米国の2009年アルバムトップ3の売り上げは以下の通り。
1.テイラー・スウィフト『Fearless』(321万7,000枚)
2.スーザン・ボイル『I Dreamed A Dream』(310万4,000枚)
3.マイケル・ジャクソン『Number Ones』(235万5,000枚)
すごいね。ミリオンではなくトリプルミリオン!
一方で、日本のトップ3はオリコンによると、
1.嵐「All the BEST! 1999-2009」(143万2781枚)
2.Mr.Children「SUPERMARKET FANTASY」(123万1148枚)
3.GreeeeN「塩、コショウ」(100万127枚)
上位3枚がミリオン達成です。
ただ50万枚以上は7枚(それでも多い方か)で、30万枚以上は21枚。
50万枚以上のアーティストはトップ3以外にEXILE、絢香、ドリカム。
これにレミオ、Superfly、コブクロ、福山、B'z、いきものがかり、幸田が続く。
こうして見ると常連中心。スーパーフライといきものがかりのメジャー化が目立ちますね。
逆に言えば、知名度の高いアーティストに販売が集中し、すそ野は枯れ木の山。
荒涼としたツンドラ大地が耕されず広がっているような状況なわけです。
レコード会社も利益が上がっていないから、売れない歌手は次々と切ってしまう。
もしくは、自分で勝手にやって、とプロモーションに費用をかけない。
そんな余裕が無くなってしまったわけです。
メジャーを目指すものにとっては、つらい時代。
だからこそ、今はしっかり自分の歌世界を練り上げ、オリジナル曲を増やし、
こつこつと活動して固定ファンを広げていく。
そして歌うことが好きなのだと、これに人生かけても悔いないと、
噛み締めて覚悟していくことが重要なのでしょう。
そして可能性を持つアーティストを応援したいという人は間違いなくいるのだから。
自分も含めてね。
そうした