とにかく見ていて楽しい。単に歌とピアノが上手いだけではない。透るきれいな声にも魅了されるが、さらに彼女はたぐい希なエンターテイナーなのだ。そう、まるでミュージカルだ

何よりいいのは彼女自身がとても愉しそうなこと。いつもニコニコ。特に鍵盤の上に覆い被さるように弾く独特のスタイルの時、鍵盤を愛おしげに微笑む。つられてこっちも笑顔だ。
しかも、曲中に突然間を開け、客席をいたずら小僧のようにニヤッと見て、わざと調子っぱずれに歌い出したり、奇抜な掛け声入れお客さんの反応伺ったり。
その何れも綿密に効果を考えつくして、試行錯誤した結果なのだろう。外さない。思わず引き込まれ爆笑。その溢れるサービス精神や客を楽しませる事への意欲が嬉しくて、思わずニヤッとしてしまう。
基礎がしっかりしてるから効果的なんだ。絶対音感を持ち、三歳から毎日何時間もピアノを弾かなければ落ち着かないという人生送ってきたという。クラシックやジャズ(?)の素養がしっかりある。ピアノ演奏は色々仕掛けながらも正確無比。歌の音程は一音も外れない。だから、わざと外すとスゴく際立つ。
本物のアーティストに出会うと、僕は思わずにやけてしまう。一夜のライブで4、5組出演していても、にやけさせてくれるアーティストは一組いるかどうかが普通。それがこの日は、矢野絢子といいくぼ2人もいて、大ハッピーだ。
曲順は
1)眠れぬ夜のシンフォニー
2)ベランダでゴー
3)光
4)かすみ草
5)CHU
6)叫び
7)向日葵
1は名曲だね。2の言葉遊びは秀逸!


その後のMCで、いきなりヤンキース松井の自叙伝「不動心」読んだ人手を挙げて~ 白ワイシャツにピンク水玉の白ネクタイというボーイッシュな出で立ちとはいえ、松井「不動心」はギャップ有り過ぎ(笑)
体を大きく動かしながら演奏するいいくぼと、バッターボックスで不動の松井。重なりませーん。
言いたかったのは、本番前は不安になるものだが、小さな変化を楽しもう。楽しめるには、納得いくまで日々練習しなければならない。という言葉を心に刻んだということ。
かすみ草、叫び、向日葵はライブ音源で作ったアルバム「いいくボンバー」の1&2にも収録されてるけど、音源ライブでも、やはり断然生がいい。彼女のくるくる変わる表情や動きが、楽曲をエンターテイメントに昇華しており、それは会場で目撃しないと伝わらない。ライブへ足を運ばせるアーティストだね。
さてトリは、年の功なのかどうか分かりませんが斎藤花さん。雰囲気のある素敵な美人。これでジャズやカントリー、ボサなどを柔らかく歌うらしいから、たまらないだろう。
ただこの日は1週間風邪で寝込んでいて、前日まで声も出ない状態。若干回復したといってもしんどそう。声もかすれ、立っているのもつらそう。半分ぐらいは座って歌ったが、常に努めてにこやか。
いずれチャンスあれば、元気な花さんライブ聞きに行きます。絶対、素敵な時間を作れる人だと思う。