3番手はももちゃん。
ここから俄然、この夜のライブが面白くなった。
あ、その1で名前を寺沢としてしまった。倉沢桃子です。ごめんなさい。
知らなかったけど、彼女は1995年頃から子役として多数のテレビドラマや舞台などに出演していたらしい。芸暦14年か。なのにまだ23歳。若し!
きっとアイドルのように明るく歌うのだろうという先入観があったが、見事に打ち砕かれた。こうした新発見があるから面白い。
彼女は素晴らしいシンガーだった。それも暗い(笑)
最初の曲はなんとなく緩くて、方向性もよく分からず、判断が難しかったのだが、3曲目の「in the wind」辺りからぐおーっと彼女の世界に引き込まれた。4曲目は静かでスローなバラード。これをギター一本で歌う。ちょっとでも声音が弛緩したり、リズム感を乱したり、無音の間が狂うと台無しになる。でかいステージ上で一人、孤立無援で最後まで歌いきるなんて、一般人にできることじゃない。未熟な歌手でも無理だ。彼女は見事に、最後まで客席の気をそらさなかった。歌手としての技量はもちろん、表現者としての芸暦14年は伊達じゃない。ステージの上は彼女の領域だった。
5曲目も暗いぞ。華やかなテレビや舞台の生活、その影で一人部屋でギターを弾き続ける女優。本当の自分を表現できる手段は、音楽だったのだろうか。そんな空想が頭をよぎる。感動が生まれる。彼女のMCはたわいもない内容だったと思うが(あまり印象にない)、歌は強力だった。彼女の生活の中の息遣いが、響いた。