前回は、正方形を例にして、直線の引き方や修正する際の心構えについて触れました。
大事なことは、とことん正確な形を描こうとする気持ちです。
「少しぐらいの誤差はいいだろう?」という安易な気持ちを捨て、時間がかかっても良いから、納得するまで修正を加えながら進めて行くことが大切です。
それでは次のステップに移りましょう。
今回は、フリーハンドで「円を描くワーク」です。
いきなり円の弧を描くわけではありません。
前回描いた一辺10cmの正方形を4等分する十字線を描くところから始めます。
縦の辺、横の辺それぞれの中心に当たるところに印をつけ、前回の直線の引き方と同じように、ソフトタッチであたりの線を重ね引きして行きます。
そして、円の中心が決まったら、そこを通る対角線を2本引き、その対角線上に円と交わるポイントに印を入れます。
そのポイントの位置が適切でないと、綺麗な円周を描くことができません。
円の中心からそのポイントまでの距離が、半径の長さとほぼ同じ長さになっているかを確認しながら、弧を描いて行きます。
要するに、正方形を内接する円を描いて行くのです。
弧を描く時も、直線と同じです。
ソフトタッチで、あたりの線を何本か重ね引きしながら進めて行きます。
あくまでも「あたりの線を重ね引きして、最後に不要な線を消しゴムで消す」という工程が必要なのです。
一発勝負で、綺麗な円を描こうとしてはいけません。
そんな職人的な技を身につけるためにこのデッサンをしている訳ではないのです。
すんなりと思いのままに描いてしまったら、脳の出番がありません。
不器用で良いのです。
むしろ不器用な人の方が良いのです。
何故なら脳トレ・デッサンは、物事をとことんまで、突き詰めて考えることのできる習性を身に付けることを第一の目的にしているからです。
あえて遠回りなやり方でやることで、対象をしっかりと観察しようとし、点検と修正の場面が生まれるのです。
ですから、不器用な人ほど、脳を働かせることになるのです。
大切なのは、謙虚な心と追求していこうとする粘り強さです。
それさえ持ち合わせて居れば、脳トレ・デッサンはやり抜くことができます。
へんな虚栄心にこだわったり、怠惰な方向に流されてしまう人は、今一度、脳トレ・デッサンの目的がなんであるのかを思い出してください。
また、失敗した線をすぐに消しゴムで消す人がいますが、それもいけません。
何故なら最初の振り出しに戻ってしまうからです。
ゼロからのスタートとなってしまうからです。
そうではなくて、失敗した線は、正しい線に導くための必要不可欠な線なのです。
「失敗は成功の元」とはよく言ったものです。
失敗することは無駄ではないのです。
失敗した経験を活かすことで、次の修正する行為に繋がって行くのです。
失敗があるからこそ、脳を働かせる場面が生まれるのです。
「失敗は、脳トレのチャンス!」と思えば良いのです。
ですから、失敗を恥ずかしがらず、すぐに消しゴムで消すことをやめましょう!
この話の続きは、次回にします。
(2020.7.4)