ここで断っておかなければなりませんが、私は、決してイメージすることを全否定しているわけではありません。むしろ、創作活動においてイメージすることは、必要不可欠だと思っています。
ただ、だからといって、それさえ追い求めて行けば良いか?というと、そうではないと言いたいのです。
「イメージ忠実主義」は、制作者自身にとって、決して魅惑的で面白みのある作業とは思わないのです。
確かに確実性があり、即効性のあるやり方ですが、そこにあるのは、すでにできあがった型枠があるだけで、何か新しい発見や感動といったものをそこから見出すのは難しいのではないでしょうか?
創作者が求める悦びとは、そんな所にあるのではないと思います。
言い換えると、イメージ通りに難なくできあがってしまう「平たんな道」よりも、なかなか思い通りにいかなくて、あれこれ迷いながら突き進んで行く「険しい道」を選んだ方が、完成した時の悦びは、数倍大きいと思います。
感動とは、自分という枠組みから一歩越えた所に存在する何かに気づいた時、心の奥から沸き起こる感情の高ぶりです。
「これは、私がつくったのではない。私を越える何かが、私の体を媒体にして、それをつくらしめたのだ!」という感覚が欲しいのです。
多くの創作者は、この自分を越える存在に気づいているはずです。そして、自分を越える存在とのコンタクトを求めて、今日も創作活動に励むのです・・・。