洗濯を手伝うということになり審神者部屋に戻った藍姫だったが、動き易い恰好になろうと何時もの袴姿になろうとしたところへ加州清光が部屋を訪ねて来た。

 

  「動いてもいいって薬研から言われたんでしょ?だったら俺の内番着、着てよ」

 

  「……着るのは別にいいんだけど……何?この紙……」

 

 加州から渡された紙には刀剣達の名前が書かれていた。名前の前に数字が書かれているところを見ると何かの順番だとは分かるが……。

 

 

 首を傾げて紙を眺める藍姫に加州は紙を覗き込みながら説明を始めた。

  「俺たちの内番着を着る順番だよ。流石に全員のは無理だから、主の体格に合う奴等だけを募って書いたってわけ。絶対似合わないのとかは外すから安心して」

 笑顔の加州から内番着を差し出される。受け取って、着替えるから部屋から出てもらい、後でどうか見てもらう。

 

 

 

 

 

  「――似合うじゃん主!やっぱり俺のが一番可愛いんじゃない?」

 

  「そ、そう……?」

 

 着替え終わって部屋に加州を招き入れて見てもらったが、加州は嬉しそうにして「似合う」と言うだけだった。前は鶴丸の内番着で白、今度は加州の内番着で赤……うん。紅白で縁起はいい。

 自分では似合うがどうかは分からないが、加州が言うのだからまあ悪くはないのだろう。加州は藍姫の傍に来ると手に自身の手を絡めてくる。

 

  「洗濯場まで行くんでしょ?俺が付き添って連れてってあげる」

 

  「いいの?加州も何か当番とか内番とか……」

 

  「俺は安定と一緒に馬当番だよ。近くまで行くし、ついでだから気にしない気にしない」

 

 加州に取られた右手を引かれ、藍姫は部屋から連れ出される。

 

 

 

  洗濯場に辿り着いた時、たまたま歌仙に用があって来ていたへし切長谷部が藍姫と手を繋ぐ加州を見て鬼の形相になって怒った。

 

 

            ㈥ ショートストーリー   終わり