先日、易の先生に
伝染病の易占をリクエストしたら
こんな占例を紹介された。


高島嘉右衛門(たかしま かえもん)
横浜の発展に貢献した
明治期に活躍した実業家である。

若い頃に入獄した時
古い畳の下から出てきた易経の本を暗記して
出所後 嘉右衛門と改名し
普段から日常的に易を使っていた。

木材から始まって、
旅館業
鉄道
ガス会社
翻訳家の養成学校
などの事業で成功し

隠居後は易の研究に専念して
今でも『高島易断』として
正月には書店に並んでいる。

占いは売らない

って名言が残っている。


実業家で金持ちだったから
お金には困っていないし、
困っている人をたびたび占いで助けていて
カッコいいなあ、
俺も言ってみたい。


その嘉右衛門のところに
実業家仲間の藤田という人が
奥さんが流行病のコレラに罹ったので
治るかどうか? 占いにきた。
奥様は3日前から隔離されていて
容態もわからない。

占いの結果は

沢風大過→火雷ぜいこう

易をやる人なら、一目でわかるが
病気が進んで残念ながらの結果である。

嘉右衛門も
「すでに棺に納められただろうから
早く帰って、葬式をあげなさい」
と友人を送り出した。

あとでわかったことだが

ちょうど占い終わった
その時間に
まさに遺体を棺に収めたところだった。

という話である。

この時代、
疫病で亡くなられた方は
感染防止のために
家族に会わせることもなく
すぐに火葬され、遺骨も地中深く埋められる。

藤田氏はすぐにお坊さんと家族を連れて
向かった。
到着した時、
ちょうど薪の上に棺が納められて
あとは火をつけるだけのところだった。

死顔を拝んでからお経をあげてもらい
形ばかりの葬式をあげることができ
のちに感謝の言葉を嘉右衛門に送っている。