指定されたレストランに行くと、

依頼人38歳女性のほかにもう一人女性が座っていた。

彼女も38歳独身、

着ている服の雰囲気から

依頼人を白猫さん、

もうひと方を黒カラスさんと(仮)に呼ぶとしよう。

 

俺の鑑定スタイルはちょっと変わっている。

 

普通、占い師は自分の事務所を持っていて

そこで鑑定を行うか

占いの館や、デパート、ショッピングモールなどに

ブースがあって、そこで待機しているが

 

俺のスタイルは、

俺のほうから指定された場所にお伺いし、

何人占っても、鑑定料は10000円

(交通費は別途だけど)

 

なので、

友達や知り合いを集めて、

鑑定料を割り勘する利用者はしょっちゅうである。

 

依頼人の白猫さんが

「ともだちを連れてきちゃいました。ご迷惑でしたか?」

と聞いたが、こちらはウエルカムである。

 

と、いつもならそう言うところであるが、

今回は、ちょっと違った。

 

『うん。迷惑だから、コーヒーを飲んだら帰ってもらって』

 

にっこり言うけど、これも作戦のうちである。

 

 

 

 

 

 

案の定、一瞬だったけど、黒カラスさんが本性を出した。

白猫さんが

「ごめんね。ごめんね」を繰り返す。

 

俺にではない。黒カラスさんに向かって

俺が失礼なことを言って怒らせてごめんね。というわけだ。

白猫さんは黒カラスさんの機嫌を直すことに一生懸命で

俺など眼中にない。

 

(ま、そのすきにアイスカフェオレを注文)

 

 

 

「わたしはこの子のことが心配で、ただの付き添いだから

占ってもらわなくていいんですけど・・・

っていうか、占いとか嫌いですし・・・」

『だったら、とっとと飲んで、さっさと帰れば』

 

凍り付いた黒カラスさんの表情に

白猫さんの「ごめんねごめんね」が止まらない。

 

とっとと飲んでと俺に言われたものだから、

時間稼ぎにちびちびと飲んでいたコーヒーを

飲まざる得なくなった黒カラスさんは

俺に聞かれないように

「いいから、30分後に他の場所で会おう。

LINEする」

と言って、コーヒーを飲み干し、席を立とうとした。

 

『おや、いいの? 白猫さんが心配でついてきたんだろ?』

とさらに意地悪な追い打ちをかける。

『俺が悪徳占い師だったらどうするの?(笑)』

 

 

(だーーーははは!!!!!\(^o^)/)

 

 

青い顔をして怒りを殺している黒カラスさんは座りなおした。

 

そこにカフェオレが運ばれてくる。

(白黒つけないカフェオーレ♪)

 

『うんじゃ、占いますかね』と一応手相を確認する。

 

『うん、結婚できない。男もいない。

見つける方法もわからない。

どうしたらいいですか?

ってそういう、相談だろ?』

 

白猫さんは、そうなんです。と素直に反応をみせるが

黒カラスさんは、

「そんなの占いじゃない。若い女の子が占いに相談に来たら

それしかないでしょ」と、

悪徳占い師を見破ったとしてやったりって顔をしている。

 

『その通りさ』と俺。

すんなり認めるもんだから、黒カラスさんも驚く。

 

ま、若い女性が占いに来る理由など、

恋愛がうまくいってないか?

金運をよくするにはどうしたらいいか

人間関係に悩んでるかの

全部のっけ盛りである。

 

 

『ま、占い嫌いがついてきたということは、

どっちみち俺は悪徳占い師決定なのさ。

「結婚できますよ~」と言っても

それはリップサービス、金をもらってるから  ってことにされ

「結婚できない」って言われれば、あんな占い師、当たるわけないわよと

白猫さんを慰めてやるんだろ?』

 

 

図星で面くらっている二人をよそに

 

『ま、俺の今回の仕事は、白猫さんを結婚させることのようだ。

ふたりが俺のことをどう思おうと、俺の仕事じゃないから、

そこはさらっとスルーさせてもらうけど、

 

白猫さんが結婚できる作戦としては、

今後、二人は会わないようにして。

白猫さんが結婚するまで、黒カラスさんは会わないであげて』

 

とお願いしてみた。

 

「えーーーー!そんなことできません」と白猫さん

黒カラスさんに飛びついた。

「わたしにとっては親友で、大事な友達なんです。

って、わたしはそう思っているけど、それでいいよね?」

と黒カラスさんに確認し、

「今日だって心配で、わざわざついてきてくれたし・・・

ありがとうね」

と感謝の言葉を述べる。

 

 

 

『だからだよ。そんなんで男と付き合えるわけないだろ?』(^。^)

 

 

 

 

白猫さんは、ぱにくって、わかってないようだが

黒カラスさんは、とっさに理解できている。

「わたしが悪いと」

『悪いとは言わん。ただ、白猫さんが結婚するまで会わないでやれ。

LINEもメールも電話も一切なしね』

「そんなの嫌です!」と白猫さんは半泣きである。

 

 

『じゃあ、結婚はムリ。あきらめて、そこ二人で結婚したら?』(笑)(^。^)

 

 

(・・・)

 

 

 

「女同士で結婚できるわけないじゃないですか!」

(バカじゃないといいたげに黒カラスさんが言う)

 

『法律上、今のとこ日本では無理ってだけで、

この先、法律が変わるかも』

「常識で考えてください」

『そうだよ。女同士で「結婚できないねえ~」って

嘆いていたって、結婚できるわけないじゃん』

 

だめだ、こいつ。

という顔をされる。

 

 

『黒カラスさん、結婚する気がないなら、

白猫さんといっしょに暮らせば?』

「いっしょに暮らすのはいいかもしれないけどぉ~」と

白猫さんはチラッと黒カラスさんを伺う。

 

絶対そうするとわかっている黒カラスさんは、

間髪入れず、

「いっしょに暮らすなんて絶対嫌!。ありえない」と言い

「そうよね。ありえないよね」と白猫さんは続くが

そう思われていることに、がっかり感が半端ない。

 

『そ。だったら、今後ふたりは会わない』

「どうしてですか!」

『決まってるだろ。黒カラスさんに会っている

暇とお金があるなら、男に出会うために使ったほうがいい。』

「そんな出会い、ないですもの!」

『黒カラスさん、結婚できそうな男友達を紹介してくれるの?』

「できませんよ。あたし友達いないし」

『だろ?』

「え?」

『黒カラスさんと会っているだけ、時間と気力と金の無駄なんさ。

今日だって、ここへ来る電車賃、飲食代でいくら使ってる?』

「そんなに使ってませんよ・・・」と白猫さんが言いかけて、あ!と声を上げる。

 

ま、今回、俺のところに来てくれた以上、

鑑定料を無駄にした。ドブに捨てたと思われたくないからね(^。^)

 

 

 

『会っている人が、毎度黒カラスさんなら

100%男と出会えない。常識どころのはなしじゃねえべ』

「そうですけどぉ~。ほんと、ごめんね」

と白猫さん、黒カラスさんにあやまった。

 

 

白猫さん、最後まで、俺を見ることはなかった。

自分の気持ちや言葉ではなく、

その場にいる人間の反応のフィルターをとおしてから

その場にいる人の反応に合わせることばかりしている。

 

 

ろくすっぽ俺のことを知ろうとしてないし、

友達の機嫌をとるのに忙しくて、

自分の意見がない、つまらない女の子に見える。

 

結婚するのは誰?

って、問い詰めたくなるが

それをやってしまうと、白猫さんは、ぱにくって

何もできなくなってしまう。

 

相手が強引な男性で、無理やり結婚できたとしても

その場を支配する人の機嫌を取ることばかりすることになれば

夫の言いなりとか、他人のせいに隠れて、

いつまでも、自分の理性を使うことができない。

自分に自信がない。ほんとうの自分がわからない。

自分を信じられないというわけだ。

 

医学的には、病気ではないだろうが、

占いで言えば、呪われて、心理的に支配されている。

19世紀にはじまった心理学以上に

6000年の歴史を持つ占いには、

当たる、当たらないとした占いの技術だけでなく、

鑑定例という知恵が残っているのである。

師から弟子に、生きた知恵を引き継ぎ、

どうしたら問題を解決できるのか?

研究をし続けているのである。

 

白黒つけないカフェオ~レ♪

 

 

 

後日談。

 

鑑定が終わって、ふたりで飲みなおしたそうだ。

黒カラスさんは、俺の悪口を酒の肴に

いつになく上機嫌だったそうだが、

依頼人の白猫さんは、はたっと思ったようである。

 

 

百歩さん、そんな悪い人だったかなあ~

 

 

他の占い師さんのところにも何度か行ったことがある。

結婚できる、できないときっぱりと言ってくれる先生の時は

「できるって言ったのに、まだできてないじゃない!」

「できないって言われた。ひど~い」と泣いたものである。

 

かといって、あいまいにごまかされれば

「わたしの努力が足りないんだ」と、自分を責めただけで

何か改善行動をしたわけでもなく、いつもどおり暮らしている。

そんなんで、出会いがあるわけがない。それはわかっている。

 

 

しばらくは、これまで通り、黒カラスさんと付き合って

飲みに行ったり、LINEでやりとりをしてた。

いつもより、黒カラスさんのほうがしつこく誘ってくるようになった。

でも、中身はいつもいっしょ。

誰かの悪口である。

 

 

百歩さんのいうとおり、

黒カラスさんに会わなければ、その分、お金は浮く。

 

 

飲みに誘われても、ごめんねと断った。

最初は、ひどく怒られそうで断れないと思っていたが、

いっしょに暮らすわけでもなく、

結婚する相手でもない

と思うと、

悪口を聞かされるために

飲み屋に連れていかれ、金を使うなんて、

何の得にもならないと気が付いた。

 

LINEもこれまでは、即既読していたが、

やめてみることにした。

 

 

遊びに行っていた時間を家でひとりで過ごしているうちに

おうちの掃除をこまめにするようになった。

心に余裕ができ、ゆったりと自由に、

誰気兼ねなく過ごすことにも慣れ

ストレスが減って、体調も整いだした。

 

同窓会で、20代の最初に付き合っていた元カレと再会。

その日のうちに、再びお付きあいすることになり、

半年後、結婚した。

その報告とお礼のメールをいただいたので

許可をもらって、書いている。

 

披露宴で再会したときに、

黒カラスさんの第一声が

「あんな男、どこがいいの?」だったそうで、

 

( ̄▽ ̄;)

(おめでとうのひとつも言えねえのかよ)

 

 

その後もずーっと、

「こんな男と結婚して大丈夫なの?」と

披露宴に招いたほかの客にも言いふらしていたそうだ。

 

白猫さんは

もう二度と会うもんか!と心に固く誓ったそうである(笑)(^。^)