天性のリーダーってのは、いる。

俺がそうだ。


冒険家の植村直己さんの冒険記の中にこんな話がある。


ひとりで山に入るのだが、途中でパーティと合流することがある。

たいていは、初心者と、経験の浅い人が集まったパーティで、

ガイドをつければいいのに、リーダーの見栄なのか?

金がないのか?それをしない。

見かねて、私(植村さん)が、面倒を見るうちに、

しだいにリーダーになってしまう。

本当は、ひとりでとっとと登ってしまいたのだが、

パーティをほっておいて、事故にでもあっては大変だ。


みんなで協力して、登頂に成功すれば、

下山後、「ありがとうございました」のひとことで終わってしまう。

成功したのは、当然のことのように思われ、

私を置いて、街に繰り出し、打ち上げでもやるのだろう。

もう、わたしはよその人なのだ。


天候が厳しく、これ以上の登山は無理だ。引き返そうと提案すると

とたんに「リーダーでしょう?なんとかしてくださいよ」と言われる。

天候は私のせいではないし、山は逃げないのだから、

再度チャレンジするだけの話なのに、

彼等は失敗を深刻に考え、どうにかして成功させようと躍起になる。

むちゃをするものを止めようとすれば、

好きでリーダーを買って出たわけでもないのに

「リーダーぶらないでください」と言う。


そんなわけで、わたしはひとりで冒険するようになった。


それでも、ひとりでは決して冒険はできない。

北極圏を探検したときは、装備を運ぶヘリがいったし、

冒険する資金を出してくれるスポンサーや

本を買ってくれる読者や、応援してくれる方々の支援

精神的な支えである家族がいる。


占い師も似たような商売だと言える。

天候が運命に

冒険が相談事になっただけだ。


昨日、ひさしぶりにチームで仕事をした。

占われ放題\(^o^)/というイベントの企画、運営のしごとだ。


こう書くと、なんかすごいことを成し遂げたかのように見えるが、

こう書くまで、緊張感もなければ、おもしろいだけが先に立っていた。

リーマンには向いてないと今でも思うが、

こういう仕事が、俺にはできるんだって正直、発見だった。