手相の教室での話である。

「手の形だけでも、それだけの情報がわかるわけで、
これは、手を出してもらわなくても、外から見たらわかるから
便利なんだよね。しっかり、覚えるように」
と言って、締めくくった。

その日は、お店の人が、松の実タルトを用意してくれていて
それを食べながら、
弟子のひとり、現役大学生くんが、おもむろにノートをとりだした。

モテるためにどうしたらいいか?
女心を知るためのノート  

・・・・・(ぷぷっ)(^。^)


「若いなあ~いいなあ~」と、俺がイジると、
となりに座っていた、これまた現役女子大生が、
「わかります!わたしも知りたいから、
mixiのとか読むけど、よくわからないです」
「どうしたら、モテますかね?百歩師匠」

弟子のひとり、四柱推命ののっちくんに振ってみる。
「まあ、俺や、のっちくんぐらい、占いができれば、
手の形を見ただけで、これは、テイクアウトできるなとか、
わかるよね?」
のっちくんも、
「そんなことを、本で研究しているうちは・・・」と
余裕の表情で、軽く笑っている。


「え~!!!恋愛、どうやってやったらいいんですか!?」



「ああ、そんなもん、フライドポテトだよ」


・・・「フライドポテト????」


そりゃあ、意味不明で固まるよな(^_^;)
ということで、やってみることにした。

まず、隣に座っていた女子大生に話しかける。
「フライドポテト、どこのが一番好き?」
彼女は、考えている。その間6秒ほどが過ぎたので
「俺は、モスバーガーだな」
と、こちらからヒントを出す。
そうすると、彼女も、「ああ、どこの?ってそう考えればよかったのね」
と気が付き
「わたしも、モスかなあ~。太いほうが好きですね」
そこで、俺が、現役大学生くんに振る
「お前、どこのが好き」
「自分はフライドポテトは食べませんから。食べたことないんで・・・」



「ははは(笑)、それだから、モテないんだよ(笑)」
と、のっちくんがツッコみを入れ、
「なんでですかぁ~」と、現役大学生くんが、頭を抱えた。



モテるモテないの差は、共感する力にある。
同じものが好きな人を、人は好きになりやすい。
趣味で仲良くなるのも、同じ原理である。


だから、「自分は食べない」ってのは論外なのである。
それは自分のことばかりを話していることになる。
共感するところがないし、共感していいものか?
聞いている方は、気を使ってしまう。

「でも、百歩さんは、モスが好きって言いましたよね?
それって自分の意見でしょ?」
「俺、フライドポテトはどこのが好きですか?って聞いてから、
かなり、間を開けたよね。この間が大事なんだよ。」

この間は、彼女に、考える時間を与えていると同時に、
「わからない」と言わせないために、
その言葉がでる直前で、
「モス」というヒントを出しているのである。
これで、「どこの」というひっかかりが取れるわけだ。
だから、モスでも、マックでも、フッシュネスでも
どこでもいいわけ。(笑)


このときに、彼女が
「渋谷で食べた」とか地名が出てきたら、
それに対応して、話を進めていけばいい。
「代官山に、おいしいところがあるんです」と
店も知らないのにハッタリをかけて
あとで、ネットで探せば、デートに連れ出せるというわけだ。
フライドポテトなら、どこにでもあるメニューだし、
なくても、いい。
代官山という地名だけで、デート気分を味わえるところが大事だ。



「そういうときは、とりあえず、「自分もモスが好きです」と
言っておけばいいんだよ。そのあと、もっとうまい店を知ってます。
と持ち出して、デートに誘うんさ」
「でも、それだと、あとになって、嘘だとばれて困りますよね?」
と女子大生がツッコむ。

「まあ、たまたま店になかった、残念だね。と笑って
食べなければいい。(笑)
代官山まで行って、チェーン店の居酒屋じゃ、デートにならないじゃん。

自分をよく見せたいとして、嘘をついてしまうことは
よくあることだ。
フライドポテトのことで、嘘をつくような人とは付き合えません
って言うような心の狭い人だったら、こっちも付き合いきれないよね(苦笑)」





俺がよく使う手は、嫌いな食べ物を聞く
嫌いっていうものは、好きなものよりも、話が盛り上がりやすい。
共通の敵ができれば、味方は団結しやすいからだ。
共感する力が高くなる。

それに、好きなものを嫌いというより
嫌いなものを好きと嘘をつくほうが、人は楽なのだ。
よく、彼のこと、好きなのか?わからなくなるってのは、
本当に嫌い、生理的にダメなら、
そんな悩みなんか最初からあるはずもないことからもわかる。


なので、現役大学生くんは、
「いやあ~、自分は、フライドポテトがどうも好きになれなくて・・・」
と言って、相手の反応を待てばいいのである。
共感してくれる人がいたら、好意が持てるはずだ。

話しかけるきっかけがなかったら
フライドポテトの話をすればいい。