占いに来た、20代そこそこの若くチャライ女の子は

席に着く直前まで、携帯を離さなかった。

ストラップが、山のようについているということだけで、

相談の内容は、ほとんどわかる。


「こないだ別れたばっかで、次の彼氏ができたんだけど

メールをくれないんだよね~。もう、終わりかな?」


という相談だ。


結論は、「そうだね(笑)」だが、それでは、お金をもらえないので、

もっともらしく、どんな男性か?とか、なれそれとかを軽く聞く。


「ふ~ん。それで、いつからメールくれないの?」

「3時間前かな?まだこないよ」


といって、携帯を開く。


「彼氏、社会人だろ?まだ、仕事中じゃん。」

「だって、これから会うってのに、くれないと困るぅ」

「もう、待ち合わせ場所とか、決まってるの?」

「これから・・・」

「どっちが決めるの?君、彼氏?」

「わっかんなぃ~。そういうの、決めてほしいんだよね」

「占いで?」

「そう。占いで」


そういうのは、風水を使えば、決まるので、

スマホのアプリを取り出す。

入力している最中に、

依頼人は、どっかにメールを送っている。


「誰にメールしてるの?彼氏?」

「うんん。ほかの友達」

「男?」

「うん。まあ、ただの友達だし、関係はしてないんだけど」

「そこまで聞いてないよ」

「でも、ほんと、ただの友達」

「あ、そ」


と、会話をしている最中に、今日のデートの場所を割り出す。



「今夜、テイクアウトしてもらう方向と、

結婚に結びつくような方向が違うんだよね。

寝たいけど、結婚はいいやってなら、このホテル。

彼と将来を考えたいというのなら、このあたりの和食の店がいいんだけど」

「ふ~ん」


そんなこと、占いにきたんじゃないんだよねぇ~

と言いながら、

「わたしの恋愛、うまくいきますか?」

「うまくいくって?」

「・・・」

「いっしょに寝たいってなら、まあ、そういう手を打つけど、

結婚したいなら、ほかの方法だよ。結婚を考えているの?」

「いづれはしたいけど、彼とかどうかは、まだわっかんなぃ」

「まあ、結婚はないね。このままだと」

「この恋愛、うまくいかないってこと?」

「この恋愛じゃなくて、このさきすべての恋愛は、うまくいかないね(笑)」

「え!!!」と絶句して凍り付いている


「そりゃそうだよ。ケイタイにストラップを山ほどつけているやつは

優柔不断。しかも、薄汚れているやつや、

何年も前に流行ったもの、あきらかに好きでもないものまで

つけているようでは、いくらでも恋愛をして、結婚相手が決まらない。

恋愛していても、結婚相手はほかにいるかもしれないと思うし、

結婚が決まっても、昔の男のほうを愛しているとかいって悩むし、

そもそも、君と遊んだら楽しいかもしれないけど、

その場限りだし、嫁にしても、いいことないもん。」

「あたしって、そんな軽い女に見えますか?」

あきらかに怒っているのはわかるが、澄ました顔で

「俺なら、楽しかったよ。じゃあね。と別れて、

ほかの女性を妻にするね。

君、家事も育児もできないし、

金ばかりかかって、セックスマンネリだし、

男が飽きたのを察して、

君のほうから、先にこの男なんか捨ててやる!っていうだろうし」

と、にんまりする(笑)(^。^)


「ずいぶん、失礼な占い師ですね」

「うん。占わなくてもわかることだからね(笑)

社会人の彼氏の仕事のじゃまを考えるような彼女なんか、

彼氏にとっては、迷惑なだけだし、

今日のデートも、約束がないってことは、

相手は、最初からする気なしってことさ。

本命なら、きちんと予約するし、

そうでなくても、気軽なものなら、駅前などで待ち合わせ場所を作っておく。

どうせ、「残業でいけない」ってメールが届くさ。

それ、君もうすうすわかってるから、

男友達をキープしようとしてメール出してるんだろ?

捕まえたか?」

「・・・・」

「そんなんで、恋愛が長続きするわけねえべ。」


そこで、依頼人のケイタイのベルが鳴る。

お待ちかねのメールが届いたらしい。

顔色が蒼くなっているところを見ても、

どうやら、俺の言ったことは図星らしい。


彼女は、鑑定料は払って行ってくれた\(^o^)/

毎度アリぃ<(_ _)>



あんな占い師!と怒らせて、運を変えることができる。

おおいに、占い師のせいにして、恋愛に失敗してくれていい(笑)


おそらく、彼女の中で、しばらくは、俺の指摘が

胸を刺し続けるだろう。

いろんな異性と付き合えるのも、いいことばかりではない。

だが、少なくとも、人付き合いをしているという点では、

俺は、この娘はがんばっていると思う。

あとは、好きになったその人を、その人ときちんと見て

ひとりの人間として、ご縁として、

きちんと向き合えることをしないとならない。

恋愛は、遊びもあるが、

結婚は、遊びではできないからだ(笑)



リア充という言葉は

やはり、仮想空間があってこその言葉になっている。

つい、メールだからと、深夜に送ったり、

半日しても帰ってこないのは、

何かあったのか?と不安になったりするようになった。

でも、まあ、こういう経験は、

自分で試行錯誤したほうが、身に着くものだ。

恋愛も、特別な経験ではなく、

人から好かれたり、嫌われたする、

コミュニケーションの塊なのである。





この話を占い師仲間にしたら、

いるいるぅ~こういう人増えたよねえ\(^o^)/と盛り上がる


「あたしのところに来た人は、1時間だったよ(笑)

彼氏からメールが来ないと泣きながらきたから、

びっくりしちゃったけど、

鑑定したら、恋愛はうまくいくって出てたんだよね。

いつから来てないの?と聞いたら、一時間前だって(^_^;)」

「不安になるのが、早すぎるよなあ~」と俺。


「いや、でも、百歩さんは、メールの返事が遅すぎて

不安になるよ。返してくれないときもあるし、仕事の話だけは

早く返事してくれよ!」だって(^_^;)


あらら(^_^;)