日本の大企業には、「社員は課長に直接ものを言ってはいけません」という不思議なルールがある。

 

「だからね、本読みさん、うごうご」

?わかりません。

「それがそれしたら、いや、にゃごにゃご」

わかりません!

「だからなにがなにして、ごにょごにょ」

課長のお話が、まったく理解できません!

 

ある年ある時、「新潟の工場の近くでスキー合宿をしよう」という話がもちあがった。

スキーができない人は、皆スキーをしている間まったりと温泉につかるだけ、というまことに結構なツアー。

「本読みさん、行く?」幹事の鈴木君(仮名)が尋ねてきた。

「えっと、どうしようかな」スキー、できないんだよな。

「退屈かもしれないけど、でも行く」。

 

ところが数日後、工場の田中君(仮名)から電話があって尋ねられた。

「本読みさん、合宿に来ないんだって?」

「えっ!わたし、『行く』って返事したよ!!」

楽しみにして、準備もしていたのに!

 

「どゆこと?」と鈴木君を問い詰めると、

「いやあ本読みさん、言いよどんでいたから、これは本当は『行きたくない』というのの大人の表現かと(笑)。」

合宿当日の飲み会の夜、しこたま飲んだわたしが鈴木君を締め上げたのは言うまでもない。

 

よく、「前書きを読めば、その本のだいたいの中身がわかる」と言うが、この本の要旨は前書きに書かれている。

 

「失敗しても何度でもチャレンジできるシステムが必要。それが当たり前になれば、権力や組織にしがみつき、自分を殺して生きていくことなんてしなくて済む」はず。

 

「忖度」とは。

「モリカケ事件」で有名になった。

「首相は国有地の超安価購入に口利きをしたのか?」の問いに対し、「忖度をしたということでしょう」。

 

あほか。

これは、「そうです」と言っているのと同じではないか。

 

後半、「自分の生き方を人に決めさせてはいけない」。

「できないだろうと思ってやってあげた」

「こういう意味だろうと解釈した」

こういう風に考えるのは楽だけれど、それでは話がややこしくなるだけである。

 

「だからね、つまり、にゃむにゃむ」

課長、忖度しないでーっ!

誰に忖度しているんですか、わかるように日本語で話してーっ!