見るからに重そうなタイトルでしょう、これ。

 

ところが、違うんだな。

 

目次を読むと、

 

「第一章:香織のさいごっぺ

第二章:詩織という名で二歳半

第三章:待ちくたびれて

第四章:香織の尻っぽ」等など。

 

プラス。

奥さん以外はほとんど大阪人なので、基本会話は全編大阪弁。

 

これだけでもう・・・(笑)。

 

冒頭、主人公はトラックの運転手で、でも横浜育ちの見栄っ張りの奥さんの希望でゴージャスなマンションに住んでいるのだが、入り口で出会ったのに挨拶もしない住人に「挨拶ぐらいせんか、ワレ!」

 

ああ、嵐の予感。

 

帰宅すると、夫婦げんかで「出てけ!食わしとるんはオレや!」と言った奥さんが本当に出て行ってしまっている・・・

 

のだが、

 

家財一切ない。照明器具まで外して持って行ってしまっている。

 

そして2歳半のまだオムツの取れない娘が残されている。

「フツー、出て行くってゆうたら娘を連れて家財は残していくものじゃろが!」

 

さらに奥さん方が苦情を申し立ててくる。

なんか奥さん、カーテンレールのリングに細工して「幸福のブレスレット」として売りつける商売をしていたようで・・・。

しかしその奥さんがたもまた、「偶然かなんかしらんが、エエことあったからまあええわ。」ゆるい。

 

で、家族を巻き込んでドタバタと追跡を続けるのだが。

 

なんと、最後の20ページに驚愕の「出て行った理由」が明かされた。

「なんでオレに言ってくれなかったんだ・・・」。

「言えるわけなかろが、『誰に食わしてもらっとるんじゃ、嫌なら出てけ!』と威張っている旦那に!」

と諭したのは、さて誰でしょう(読んでみてね)。

 

最後はもちろんハッピーエンドです。

「待っとれ、嫁!みんなで幸せに暮らそうな!」

彼が車を走らせるところで終わりとなる。

 

娘の「シーちゃん」があちこちで狂言回しみたいに可愛らしいことをしてくれるのだが、

「一番辛い思いをしたのはこの子かもしれない」。

 

ところで、はて、なぜ照明器具をはずして行ったのだろう?

その謎は最後まで解けませんでした(笑)。

 

***

 

新しいバイト先は低賃金ですが以前よりずっと感じがよいです。

「なんか、『ワーキングプア化』してる気がするけど、だんだんハッピーになってきています」とイギリス人に言ったら、一言”Good!"と言われました。

 

しかし、1年ちょっと前までは「いつも静かに本を読んでいる癒やし系の本読みさん」だった私が、前のバイト先では「大阪の人かと思った」と言われ、今度のバイト先では「帰国子女ですか?」「それとも、お酒を飲んでいるんですか?」「なんでそんなにいつもハイパーテンションなんですか!」と言われているのはなぜだろう。

 

人間、環境が変わると人格もどうやら変わるようです。