この作家さんも初めて。

 

短編集であるが、夫のことを「あなた」と言ったり、「公衆電話を探して、」と言ったり、

「いつの時代だ」

と思ったら1990年代の話だった。

 

最初の話、『取り憑く』を途中まで読んで、

「イヤミスかな?」

と思ってしまった。

(解説:イヤミス:読後に「イヤーな気持ちになるミステリー」。つまり後味が非常に悪い)

しかし、イヤミスの作家って、女性ばかりのはずだが。

 

と、思っていたら、最後の一段落、

「えーっ!!」

というオチ。

 

起承転結は「転」ももちろん大事だが、「結」、つまり「最後の最後」がピリリと締まるとものすごいインパクトが・・・。

この作家さん、最後の「締め方」が非常にうまい。

 

はっきり言って、男性目線の「女って怖い」という話である。

 

一番強烈だったのは、『預け物』。

冒頭、「娘達の態度や口の利き方がひどくて嫌になる」。

しかし、それから友だちから電話を受けて、他の友だちに預けていた「あれ」を取りに行こうとするとその友だちは既に亡くなっており、

 

それから「あれ」=絵を探して必死で奔走する話と、娘達の態度が悪いのとどう結びつくのだろう?

 

まあ、ここまで必死になって奔走するのは、絵が大事なのではなくて、額縁に何か隠してあるのだろうな・・・

小切手かな・・・犯罪の証拠かな・・・

と、思っていたら、

 

「え?え?え?探していたのって、それっ?」

 

上品な、ごく普通の奥さんだと思っていたのに。

 

で、最後、「見つからなかったわ」と(いや、めでたく見つかって、首尾良く?目的は果たしたらしいのだが)家族に言うと、娘達が馬鹿にして言う言葉遣いを聞いて、

 

(なんとかならないのかしら。ほんと、昔の自分を見ているようで嫌になる)。

 

いや、そういう最後で最初と最後がつながるとは・・・。

 

最後の『旅の会話』もすごい。

女友だち三人で温泉に行くと、一人が「不幸自慢」を強制する。

「逆マウンティング」である。

で、最後の一人がした告白が・・・。

 

これを聞いた後で、

「もちょっと旅をしましょ」

「そうね、明日はどこへ行こうかしら」

になるのがすごい。

 

女って怖い・・・。

 

この作家さん、どこでこういう話を思いついたのだろう。

自分の奥さんを見て、だとしたらとても怖い。

 

3日続けてジムへ行きました。

健康体を取り戻しつつあります。

 

早くまた働きたいような、もう少しゆっくりしていたいような・・・。