「人間翻訳者」ってなんやねん | 翻訳なんて...

「人間翻訳者」ってなんやねん

まる1年、0.6人分 x 4 の仕事をこなしてきた。今は一時的に x 3 になっている。それもあって、ほったらかしていたブログを最近書いてるわけ。ということで今日も物申しちゃうぞ!

たまに目にする「人間翻訳者」という言葉。「機械翻訳」を聞き慣れている業界の人には「人間翻訳」者だとわかるだろう。しかし、そうでなければどうだろう?「人間」翻訳者ととらえて違和感を覚えるはずだ。human translatorは理解できる。必ずしも or (er) = humanではないから。しかし「者」=人間だから、それにわざわざ「人間」を付けるってどういうこと?となる。

というわけで使わないほうがいい。そういう配慮がないのは、皮肉にも機械翻訳的だから。何の疑問も持たずにそういう言葉を使っていると「なんかエラっそうに機械とは違うとか言ってるけど口だけなのね」と思われてしまうだろう。

代案としては…考えてみるとたしかに難しい。けど、なにも当たり前のことをアピールせず「翻訳者」でいいのでは?「者」でマシンでないのは明らかだし、翻訳者の仕事の仕方としても現状はそっちが主流なはずで、そうでない少数派におもねることなく自分たちは「翻訳者」、外道?どもを「機械翻訳に頼る翻訳者」と呼べばよろしいんじゃないでしょうか。「機械翻訳に頼る翻訳者」は「翻訳」がくどいが、「機械」だけだとPCは?支援ソフトは?という話になるだろう。「腐れ外道翻訳者」はさすがに言いすぎでしょ爆  笑

ただし、これはあくまで「現状」の話。たかが知れている今の機械翻訳には頼らないのが当たり前であっても、将来的には「翻訳支援ソフトと同様の(または統合された)ツール」として頼るのが当たり前になるかもしれない。そうなれば「翻訳者」=「機械翻訳をツールとして使う翻訳者」となり、使ってない時代遅れの連中は「旧式翻訳者」となるかもしれない。それは機械の進化の程度と仕方、そして求められる翻訳の変容次第だろう。

ついでに言っておくと、よく宣伝文句なんかで見かける「翻訳で儲ける」というフレーズ。これも語句選択で翻訳センスのなさを露呈してしまっている。

「儲ける」「儲かる」というのは商売や不労所得に使う言葉で、作業や労働の対価が大きいことに使うのはおかしい。翻訳という労働中の労働に使うなら「稼げる」だろう。まあまあ、それこそ機械翻訳をそのまま納品するとか、あるいは出版翻訳で数十刷も増版を重ねた場合には使えるかもしれないけど。

というわけで、「大事な宣伝文句でさえ文言にこだわる気も能力もありません」と宣言するのは、宣伝としてむしろ逆効果だ。あ、でも、そんなのに釣られる人たちは気づかないだろうから別にいいのか。

 

D君の訳

Liz Truss, Britain’s new prime minister, is now implementing Reaganomics in Britain, again creating dissonance in economic policy.

英国の新首相リズ・トラスは、英国でレーガノミクスを実施中で、再び経済政策に不協和音を生じさせている。

 

はい違いま~す

 

G君の訳

A lie is no less a lie because it is a thousand years old.

千年も前からあるから嘘も嘘ではない。

 

はいぜんぜん違いま~す爆  笑

(念のため言っておきますが翻訳学校の受講生ではありませんのであしからず。機械のD君とG君です)