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翻訳者にはベーシックインカムが必要

いやーフリーランスってキツい。16年目にして気づいたこの事実に、最近ようやく真剣に向き合い始めた。

正直、翻訳で食べていくのはそう難しいことじゃない。自分一人だけなら。これが結婚したり、子供をつくったり、犬を飼ったりといったフリーランスにあるまじき(余計な?)ことをしでかしてしまうと、なかなかに厳しい。ボーナスも出ないので、税金も考慮すればぶっちゃけ毎月60万のハードルは跳び越えないと赤になる。僕の場合は住宅ローンを組んだりリゾートマンションを買ったりと輪を掛けて分不相応なことをしてきたから、一般より高めかもしれないけど。

そんなの大したことない?まだまだ青いね~キミ。僕は4年や5年の話をしているんじゃないんだ。金融危機以降、世界の景気は概ね好況だったし、日本経済も震災後は低成長ながら伸び続けている。僕のキャリアの間には世界的な大不況もあったし、震災不況もあった。そういう時期を経ながら20年近く跳び越え続けてきたんだ。110mハードルとかでなく、マラソンハードルのようなものだよ。老後まで考えたら単にクリアすればいいってもんでもないし。

と偉そうなこと言ってるけど、僕にそれができたのは実力ばかりじゃない。必達ノルマ60万のうち半分強は計算できた。途切れることなく常に存在する仕事からの収入。今思えば、ベーシックインカムみたいなものだった。ハードルの前に毎回台が置いてあって、高さが半分になるというイメージ。そんな、今思えばラッキーな仕事にありつけていた。

ところが常にあると思っていた仕事は、そうではなかった。全ては無常なんだよ~キミ。踏み台を外されてからも1年半近くどうにかゼロから跳んできたけど、歳もとったしおじさんそろそろ限界さ。なり振り構わず、翻訳という仕事にもこだわらず、「ノマド」とかではなく外にも出てみたけどね。

で考えたのが、「ベーシックインカムアゲイン」作戦。「なり振り構わず」とか言いながら、新しい取引先を増やす気にはならなかったんだけど、十年ぶりぐらいにネットで仕事を探してトライアルでも受けてみようかしら。でもそんな都合良く、安定した収入源が見つかるだろうか。もうちょっと早く動けばよかったなと後悔。。

もっと手っ取り早い方法がある。何らかの給料にありつくことだ。外で仕事をすることに抵抗はなくなった。この話を仲間にしたら「フリーランス魂を売りやがって!」みたいな反応も一部ではされたけど、まあまあ全部売るわけではないし。分かってくれ。今の状態では、「毎月のハードルをヒーヒー言いながら越えるのがやっと」という状態では、思い切った挑戦もできない。フリーランスにとって一番必要なもの、「夢」も持てないのだよ。

というわけで給料獲得大作戦が始まったわけだけど、思うほど簡単にはいかなかったんだよ、これが。その話はまた次回。