英米人の採用は面白い (2) | 翻訳かけこみ寺

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翻訳会社を経営する筆者が翻訳のことを自分の体験も含めよろずや的に語る

ある男性の面接と試験は問題もなく、採用が決まりました。そしていつから出社を始めるかと打合せが始まりました。ところがその後に次のようなメールが来たのです。

I'm sorry to inform you, but I have been offered my job back from my old employer. They were able to find a last-minute contract for me to enter.
(申し訳ないのですが、前の雇用主から戻ってこいと誘いを受けました。土壇場で契約することになったのです)

日本人なら「都合により、今回はご辞退させていただきます」と簡単に断ってきますよね。それが「前の雇用主から戻ってこいと言われた」と断ってくるのが私にはとても面白く、また不思議に感じました。ですが、このように具体的に言って来たりするために、また後で図々しく(?)、連絡が出来たりするのでしょうね。

今度は私のほうから図々しい提案をした話です。ある女性と面接をしました。この女性はキビキビしていてとても好感を持てました。ところがテストがあっという間に終わったのには良い意味で驚いたのですが、良い所と悪い所がありました。相手が日本人ならこんなことはしませんが、茶目っ気を出した私は次のようにメールを書きました。
After I checked your test, there is something I am not sure. It’s difficult to judge your skill. In order to find out more, I decided to employ you as a trial, so I can easily know your skill. Are you interested?
(あなたの試験問題チェックしたのですが、どうも良くわからないんですよ。あなたのスキルを判定することが出来ないんです。そこで私は決断しました、あなたを試しに雇用してみたいんです。実際に仕事をして貰えればすぐにあなたのスキルはわかりますよね。ご興味はありますか)

「あなたのスキルを判定することが出来ないんです」とは私も随分ですよね。相手が日本人なら「あなた試験官でしょ」と言われそうです。また「あなたを試しに雇用してみたいんです」も失礼な言い方です。日本人にはこのような言い方は出来ません。

ところが直ぐに返事が来ました。
Thank you very much for your feedback. I am very interested. Please let me know what you need me to do.
(フィードバックありがとうございます。はい、興味があります。どうしたら良いかご連絡ください)

Thank you very much for your feedback. (フィードバックありがとうございます)とは面白いです。Feedbackとはこのような時にも使える英語なのですね。話は戻ってこの人はトライアル的な仕事をしに来てくれました。

やはり、仕事は早いんですよ。そして仕事が早い人にありがちなそそっかしさがあるんですね。ただし、それは注意すれば直りました。結局、この人は採用して戦力になりました。

このような採用試験の構図、日本人には絶対にないですよね。英米人の採用のやり方は日本人と異なるやり方に変えたほうが面白いだけでなく、効果があります。