コンビニみらびい店から
歩いて2分ほどのところにある
マンションに
やべちゃんは住んでいる。










仕事前
サンドイッチや
おにぎりを買いにきたり




氷結の9%の缶チューハイと
つまみの惣菜を買いにきたり




週末
プルームテックの
キャビンのタバコを
買いにきたりと




時間帯や曜日にかかわらず
頻繁に来店。




我がコンビニ店では
知られた顔で




日勤・夕勤・夜勤を問わず

やべちゃんを知らない
従業員はいない。








入店時
「いらっしゃいませー」
ではなく


「お帰りなさ~~い」
と声が掛かるお客さんは
他にも何人かいるけれど








その中でもやべちゃんは
ダントツで濃い存在感を放つ
「超」の付くお得意さまだ。



















やべちゃんは46歳の独身男。






月イチで実家
帰っているらしい。


しかも
車で片道2時間かけて
千葉県の南部まで。







40代の男性にしては
あまりに頻繁だよなー
帰らなければならない事情が
何かあるのかなぶー


よくよく話を聞くと
やべちゃんには年の離れた妹がいて


その妹が数年前に赤ちゃんを産んだ。


小さな姪っ子が
とにかく可愛くて仕方なくて

それで頻繁に
会いに行ってるんだって。






「もうね、なんでも買って
あげたくなっちゃう笑」






姪っ子の話をするときの
やべちゃんは
ものすごくだらしない顔になる。



















やべちゃんは
じぶんで会社を経営していて


いわゆる
社長さんだ。


お金もどうやら
たくさん持っているっぽい。









そしてものすごく頭がいい。

会話の端々から
隠しきれない
知的センスが滲み出ていて

レジ越しする短い会話が
ものすごく楽しかったりする。

オチも完ぺき。









人を笑わせるのが
めちゃくちゃ得意だから


やべちゃんが入店すると
従業員は積極的に
彼に声を掛ける。








イケメンではないけど
ブ男じゃない。



明るくて優しくて
大きな口を開けて
豪快に笑うナイスガイ。




従業員はみな
やべちゃんのことが、大好き。

























やべちゃんは
めちゃくちゃ
太っている。





ぽっちゃり

なんて表現の仕方をしたら
ぽっちゃりさんに火を吹く勢いで
怒られそうなくらいの

ガチなデブだ。








身長は?と聞くと

笑って175と答えるけど

でもありゃ間違いなく
165センチがいいとこ。





体重は120キロを
超えるという。





6~7年前
何を思ったのか


当時
CMで世間を賑わしていたアノ
ライザ○ップに突然通い出した。








ライザ○ップは食事制限にも
かなりうるさいらしく

サラダチキンとか
素焼きのアーモンド
みたいなものばかりを
買うようになった。



「見て見て。体重15キロ減ったよ」



お腹のせり出した部分に
手を当てて
身体を横に向けて見せてくれる。



嬉しそうに報告してくれるけど



ごめんね。
あんまり変化がわからないや。



結局ライザ○ップは
1年ちょっとで挫折した。



体重はあっという間に元に戻り
三桁近くのお金をドブに捨てた。


















そんなやべちゃんだけど
結婚願望は人一倍つよい。





「彼女欲しいなー
早く結婚したいなー」





やべちゃんはとうとう
婚活パーティー
通い出した。







初期は王道の婚活パーティー。

毎週末のように
どこかに出掛けては
お相手探し。








でも世の中は
デブにそんなに甘くない。

誰からも相手にされなくて

辛酸を舐めつくし
現実を知るやべちゃん。






「やっぱりデブはダメなのか~」












しばらくすると


「安心感溢れる
太った男子が好き💕」


とゆー趣味嗜好の女子たちが集う
デブ専の婚活パーティーに
通い出した。








そこでやべちゃんは
ある女性と出会う
ことになる───


















のちに
やべちゃんの恋人となるその女性は
Yちゃん(30代半ば)。






デブ専パーティーで出会い
マッチングしてラインを交換。

後日

ふたりだけで
ランチに行くことになったんだけど

その時のデートで
めちゃくちゃ意気投合して
いい雰囲気に。


さらに後日
今度はディナーの約束もとれた!











この時点でやべちゃんの
テンションは最高潮キラキラキラキラ






今度のデートで
Yちゃんに付き合って下さい
って言ってみるわ、オレ!!


大量の汗をかきながら
顔を真っ赤にして
鼻息荒く語るやべちゃん。









デート当日

お高いレストランで
ディナーを済ませた後
意を決してYちゃんにこう伝えた。





よかったら
正式に付き合って
もらえませんか?











たぶん

その時のやべちゃんは
緊張と興奮から
相当量の汗を顔から全身から
ポタポタ
垂れ流していたんだとおもう。

しかも
心拍数も上がって

(;´Д`)ハァハァ···!!

な状態だったんだとおもう。


デブが鼻息荒く
全身汗だくになりながら
渾身の告白───









Yちゃんの答えは、もちろんこうだ。









「よろしくお願いします♡」














かくして
ふたりの付き合いはスタートした。






週末になると
どこかにふたりで出掛け



今日はふたりで映画観てきたよ。

今日は水族館に行ってきたよ。



いちいち報告してくる
やべちゃん。







コンビニみらびい店にも
何度かYちゃんを連れてきた。
素朴な雰囲気の可愛い子だった。











やべちゃんは楽しそうに
過ごしているけど

なんかつまんないな~。

婚活に通って
鼻息荒くしてた頃のやべちゃんの方が
面白かったのになーぶー


















相変わらず
デート帰りに
コンビニみらびい店に寄って
「本日のデート」の中身を
詳しく披露するやべちゃんだけど









ある時


ふと気づいたことがあった────










デートにしては
帰宅時間が早いんじゃね?










来店時刻───

日曜の20:30。










「お付き合い」を始めて
2年近く経ったある日曜の夜

デート帰りだというやべちゃんが
買い物かごに缶チューを
数本入れてレジにやってきたので


念のため聞いてみた。








ねーねー
まだ20時よ?
デートにしては
帰りが早くない?







すると
やべちゃんの口から
驚くべき言葉が不安








まあ、・・・ね?
だって時々手を繋ぐくらいで
まだチューもしてないしね?

















・・・えっニヤニヤガーン!!マジ!?





思わず言葉を失うみらびい。










デートはするものの2年間
チュー無しエッチ無し。





19:00には
彼女を自宅まで送り届け

またね♡

となるらしい。











・・・中学生かっ( ;`Д´)





なになに
そんなんでいいの(`ロ´;)!
彼女はそれでオッケーなの!?
つーかさー( ;`Д´)
結婚を前提に付き合ってるんでしょ
お互い子どもじゃないんだから
男としてもっとこう・・・
強引に唇奪っちゃうとか
無理矢理押し倒しちゃうとか
そーゆことしなくちゃ
いつまで経っても
進展しないんじゃないのっ( ;`Д´)

てか
それってそもそもさぁ




「彼女」って
いえんの( ;`Д´)?!











いや、オレもそう思ってさー笑

一応ムード作りしてそれっぽい
雰囲気になるように
仕向けるんだけど

「まだ、いいかな」
って断られちゃうんだよね笑
無理矢理はよくないじゃん?笑









・・・ニヤニヤガーン・・・その通りですね












けど
やべちゃんも決して彼女との
チューを諦めたわけではない。






虎視眈々と
初チューに向けて準備を進めていた。







部屋に温泉♨️のついた
ホテルを予約したよ!
Yちゃんと一泊してくる!






しかも

「飼っているが心配だから
泊まりの旅行はちょっと・・・
一緒に行けるなら考えるけど」


と言うYちゃんのために
愛犬も一緒に泊まれて
犬用御膳もオプションで
つけられるとゆーホテルを
見つけて予約したとひらめきキラキラ








スゴいじゃん!やべちゃん!
やったね!!
やっとチューできるね!!







やべちゃんとグータッチをかわす。

Yちゃんとの初のお泊まり。
上手くいくといいねーーー♡




















数日後

Yちゃんとの
一泊温泉旅行を
終えて帰ってきた
やべちゃん。






ねえ、どうだった?!

矢も盾もたまらず聞いてみる。
すると










楽しかったけどねーー


うーん、楽しかったけどさーー


温泉入ってご飯食べて
ふたりしてほろ酔いで
イイ感じになってさー

いよいよ寝ようってなって
布団に潜りこんだところで
Yちゃんにったんだけどさーー







犬が見てる前でするの?


って言われて萎えた。笑













・・・ニヤニヤガーン・・・







Yちゃんよ・・・








そもそも
抱かれる気がないんですねニヤニヤガーン






















先週の日曜の夜───

チルド飲料の前出しをしていると
やべちゃんがやって来た。







お帰り~。
今日もデートだったのー?







ただいまー。
今日は山梨まで行ってきて
帰りが遅くなっちゃった。
見て。桃狩りに行ってきたよ。







美味しそうな桃のパフェと
ぶどうのパフェの
写真を見せてくれた。

ふたりでお揃いの
白いスニーカーを履いて
行ってきたんだって。







大きな紫外線対策の帽子をかぶって
ピースをしながら笑顔を見せる
Yちゃんの写真もある。








今日は少しだけ手繋いだよ。笑笑


ふたりの距離感は
相変わらずのようだ。








付き合いはじめて3年あまり。








今後このふたりの関係が


進展するのか
後退していくのか
はたまた
現状維持なのか


どうなるのかは
誰にもわからない。







結婚?
そうねえ
とりあえず今は一緒に
いれるだけでいいのかな笑










うん、やべちゃん

わたしさ
最近こう、思うようになった。








愛のかたちって
人それぞれ違うんだね。













でもチューだけは
さっさとしちゃいなさいっニヤニヤ