テレビ大阪に「能登半島地震へのエール短歌」を取り上げていただきました | 高田ほのか 短歌

テレビ大阪に「能登半島地震へのエール短歌」を取り上げていただきました







能登半島地震3か月。

テレビ大阪の「やさしいニュース」で、

短歌教室ひつじの「能登半島地震へのエール短歌」のことを取り上げていただきました


短歌教室ひつじでは今までにも「贈る短歌」として、コロナ禍の飲食店や、医療従事者の方々へ、伝えたい想いを短歌に詠んできました。


ダイレクトな応援メッセージというのは、押しつけがましくなってしまうのではという懸念がある。

現場を経験していない自分が軽々しくエールなんてとても送れない。


けれども短歌は、どのように読み解くかは、読んだひと次第。捉え方は決まっていない。

31音という短い中に100文字分、それ以上の想いをぎゅっと込めることができる短歌は、一人ひとりが感じるままに、自由に受けとめることができる。


生徒さんたちの作品から、短歌が「エール」として、こんなにもすぐれた表現手段なんだということを、改めて感じさせてもらいました。


生徒さんたちからは、こんなお言葉がありました。

「短歌にすることで、被災地のことを深く考えるきっかけになった」

「応援するということは忘れないでいること。詠むことで、能登へ馳せる想いが残ることがわかった」

「短歌を詠みながら、自分自身が癒されました。自分自身がエールをもらったような気持ちです」


記録としても強度の高い、日本語が最も美しく輝くこの五七五七七のメッセージが、

能登半島地震3か月のいま、そして時を経た時代にまで、届いていくことを願います。


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ぶたさんの中から吾子が募金する一番大きなひかる硬貨 坂木志穂


哀しみを抱えて生きる人々に哀しみを置く椅子をください 祝 京子


珠洲市正院町飯塚

生きる方へ転がり落ちた妹の話す「ほやけど星がきれいで」 龍田憲兒


堅固なる輪島漆器の欠けるとも金にて継ぐも人の業なり 前田


天使が息を吹きかけて雪は希望という名のスノードロップに 鴻池知子


やがて来るあなたのそばに桃色のほっぺで笑う柔らかい春 鴻池舞香


くろゆりはその土の味を蓄えて意識の端に咲いているはず 中山裕貴


泥まみれの九谷のコップこの夏に買ってくれたんですよ娘が 小山佳也


石川の干菓子なんですほぉあぁ~つながらぬ地をつないで梅よ 大久保惠


あえて言う今は頑張る時じゃない「頑張らないを頑張る時だ」 大山城治


全力であなたの声を届けたい空の相棒ワイドスターで 大山城治


見つけたで「買って応援」セールのコーナーの氷見の酒 宮崎秀人


また泣いてそれでもきっと笑うでしょうあなたの春はなんどもめぐる 清水恵里


いつか手に触れる器の中に見るゆらいだ記憶確かな形 政木わこ


この春の桜は能登から咲くでしょうどこより早く届け春風 佐伯かおる


能登の地にただ信じてる春待つ息吹 微かでも微かでもと今 岡部友紀


北風の枯野に一つ光るのは水仙の白春届けたし 石井早絵子


学級で知ったはずの語、その生身「いのち」を叫ぶアナウンサーより 原田直樹


イヌワシはあけぼの色の風を受く二メートルの翼を広げて 山本高之


わだつみよおきなおうなののどのおくのききませききませたすけませ 尾崎節子


深呼吸できていますか奥能登の鮨屋の女将へそっと福寿草  折目文恵


避難所に豆まきの声響かずも能登に春来い、早く来い、来い 尾上とも子


卒業の式に出ること叶わずも君の時間はここから始まる ふじたみなこ


天気予報大阪10℃能登はどう?お日様どうかあたたかな日を 遠藤友子


セロファンの厚みしかないコトバたち でもかさねてかさねてかさねたい 杉本亜希子


珠洲市から来ましたという少年にまろき字で出す仮受験票 浦綾乃


がれきに立つ杜氏のかかげるダンボール酒造建設予定地とあり 楠泰明


意味のない夜を灯りにする夜を正しく踊り狂おうよ 春  小澤美玖


言葉にはしがたき痛み 「無力でも微力ながら」と小さくつぶやく 佐藤さおり


年頭の福寿草咲く雪の下凍る道の先三寒四温 佐藤さおり  佐藤さおり


待ち望む能登鉄道この春も桜のトンネルゆるりと走れ いろは


あかねさす能登鉄道よこの春も桜のトンネルゆるりと走れ 


透明な涙を流す私たち夜が明けたら春はすぐそこ めぐみ


スマホ押す指にぐうっと祈りを込め さとふる→輪島市→返礼なし カワフジユミコ


生きていた!テレビの向こうで告げる人生命力に励まされわれ にしのあいこ


なゐ震りて床に撒かるる図書本は子らの手により元の棚へと ふじたみなこ


春を待つ能登さくら駅 被災地の時は殊更ゆっくり流れ いろは


寒い中歌をまた詠み送る先「漂流ポスト」能登にもあれば 佐藤さおり


手をさすりながら詠んだよ届くかな「漂流ポスト」能登にもあれば


能登のことが話されなくなるだろう日に忘れな草を土手に植えよう 楠泰明


タクシーの運転手さんは抜けた歯で「わしの実家も全壊だよ」と 浦 綾乃


春の夜ここにいるよと見附島天河に包まれ空つたう星 遠藤友子


 21世紀美術館にて

君と私は繋がっているからあの日の「ブルー・プラネット・スカイ」 めぐみ


【能登半島地震へのエール短歌 2回目】


見つけたで!【買って応援】コーナーに大漁旗の氷見の曙 宮崎秀人


ぶたさんの中から取り出し小さき手に一番大きなひかる硬貨を 坂木志穂


明日きみが遠いところに向かってもフードの裏に犬鷲の羽 中山裕貴


「こちらきのう届いたんです」ほぉあぁ~加賀の干菓子を見つむ100の眼 大久保惠


いつか手に触れる器の中に見るゆらいだ記憶確かな形 政木わこ


折ることは祈ることですたくさんの小さき指からとりどりの鶴 高田ほのか