長い夏休みが終わり、10月に近づいた頃。後期の授業、2nd semesterの始まりです。


今度はイギリスについての勉強が始まりました。

イギリスについてのうんちくは、わりと得意な僕。まず考えたのは、ロンドンパンクのこと。これはインパクト強いんじゃないかな、と。好きなジャンル的にはDeep Purple、Led Zeppelin辺りになるんですが、これは好きな人でなければなかなか理解しづらいということで、Sex pistolsに白羽の矢を立てました。


けっこう調べました。パンクファッションもそうですが、少しくらいは英文科らしく、言語学的な見地から、歌詞の分析をしてみました。

ピストルズの代表曲の1つ、GOD SAVE THE QUEENの一節


she isn't no human being


これはエリザベス女王を風刺したもので、日本語訳としては、

「あんな女は人間じゃないぜ!」くらいになります。

ところがよく見てみると、isn't noと、否定を示す語が2つ連なっています。いわゆる二重否定の形です。日本語もそうですが、二重否定=肯定と習っているはずです。


その原則で訳をするならば、

彼女が人間ではない、なんてことはない。=彼女こそ人間だ!

とならなきゃいけないところですが、日本語訳も否定の形になっている。さて、何故だろう?


これが気になり、いろいろ調べました。学内にいる留学生をつかまえて片っ端から聞いてみたり、それこそ夜中までやってるアメリカンバーに乗り込んで、騒いでるアメリカ人に質問するなんて荒業も試みたのですが。

彼らの見解は概ね、「Johnny Rotten(Vo)にしろ、Sid Vicious(B)にしろ、学がなかっただけじゃない?」というものでした。確かに、ジョニーもシドも、学があるとは言えないかもしれないが、だとしても英語のネイティブ。本当にそれだけなのか?日本人だって、彼女は人間じゃない!と言いたい時に、仮に学がなくても、彼女は人間だ!って間違えて言ってしまうなんてあり得るか?

頭の中で、思考がグルグル、グルグル。

そんな中で、図書館に籠って調べていると、ついに見つけました。スラングが起源とされる表現で、「否定語の後にno、nothingなど、それ一語で否定表現になる語が続く場合、強い否定となることがある。」

スラング表現で、という点では、バーにいた連中の話も完全に間違いとは言えませんが、やはり彼らは意図して、エリザベス女王への怒りをこの表現で表していたのです。


自分の発表当日、ピストルズのCDをかけながら、she isn't no human beingについて言及した時は、先生も引いてましたけど(笑)

文学より言語学に興味をもつきっかけになりました。