ふわふわな卵の甘い匂いがする。
後はお皿の上で待っている、
ケチャップごはんたちに着せるだけ。
愛情はたくさん詰め込んだ。

それでも彼は何も言わずに、
ただ黙々とご飯を食べるはず。
我が家では普通のことなんだけど、
やっぱり少し寂しい。


「今日はね 会社 早帰りだったの」
「ふーん そうかい お疲れ様」
「もう、話聞いてよねー」

そんなやりとりすらできない。


私の日常は他人にとっての非日常で、
他人の日常は私にとっての非日常。


当たり前のことだけど、
なんだか胸の奥がキュッとしまる。
でも、そんなことにはもう慣れっこだから、
頬を両手で挟んで、
いつものように笑顔で…。
泣きそうになることもあるけど、
彼と居て幸せなのも事実で。

彼はきっと、
私の想いに気づいていると願って、
「ご飯できたよー」と、
明るい声で彼の隣に座るのです。

日当たりの悪い家の中を、
ふんわりとオレンジの色が包んでゆく。