「ぴんぽーん」と、
インターホンが私を呼んだ。
「窓閉めて」と一言言って、
彼は定位置に戻った。
とりあえず窓を閉める。
「ぴんぽーん」
インターホンが催促する。
イライラしながらも、
愛想のいい顔をつくる。
「なんでしょうか?」とドアを開けた。
黒いスーツに黒いネクタイ。
姿格好に似合わない、
笑顔を貼り付けた男が2人。
目線を下げるとドアのチェーンが、
宙吊りになっている。
急いでドアを閉めようとした。
が。
大きな黒い靴がドアに挟まれている。
仕方なく顔を上げる。
桜並木と電線がかこんだ空の向こうでは、
長い長い飛行機雲が消えかけ始めていた。