本気の本読み:あなたの伝える力を伸ばすグループ運営書評サイト -523ページ目

【書籍】問題解決プロフェッショナル「思考と技術」


書評一言まとめ




「問題解決のための基本的な考え方「思考」と効果的・効率的な「技術」を学べる」







問題解決プロフェッショナル「思考と技術」/齋藤 嘉則










◆読書・購入の目的




コンサルタントを目指す人間必読の書と紹介されていたのを見つけたから。


つまり、コンサル的問題解決の手法が学べるのでは?と考えた。






◆書評


この本を読むスタンスは「学ぶ」ではないかと思います。




経済学部の大学生がマクロ経済学や金融論を学ぶように、ビジネスマン(特にコンサルタント職)が問題解決の基本的手法を学ぶ。




そのための「教科書」として考えてしまえばよいのではないでしょうか?




本のスタイル上、書評が書きづらいため、自分なりに内容をまとめて感想を付加したものを記事としました。




参考になれば幸いです。








◆内容の分類と目次




■思考編




○ゼロベース思考




○仮説思考




■技術編




○MECE(ミッシー)




○ロジックツリー




■実践編




○ソリューションシステム









◆内容のまとめと意見・感想




※記事の読み方に関する注意


・本に記載されている事実など=それ以外すべて


 




■思考編より




○ゼロベース思考




ゼロベース思考とは、既成の枠組みを外して考え、問題のすべてをありのまま捉えて考えること。


しかし、人間はどうしても既成枠にとらわれて考えてしまうもの。




その点を解決する具体的な方法として、とにかく「顧客視点」で考え抜くことが重要とある。




ビジネスにおいては、捉え方次第ですべてにおいて顧客は発生する。




顧客とは、自分の行動の影響のある他人とみなして考えれそうだ。




商品なら消費者、経理なら社内の関係者、上司なら部下、など。






○仮説思考




仮説思考とは、常に現状に結論を付けてアクションを起こす考え方である。




ビジネスではスピードが命なので、「巧遅より拙速」が重要。




つまり、じっくり考えた「ベスト」な案より、素早くできあがった「ベター」な案が良い。




なぜなら、激動の社会の中では、じっくり考えている間に、ベストな案を満たす状況が去ってしまい、手遅れになる可能性のほうが高いからである。




社内で「ベター」案の欠陥を指摘・批判されスピードを活かせない場合は、批判してきた人間にその場でより優秀な代案を出してもらう形で黙らせればよい。




結論付けるための具体的な方法は、現状に対して「SO WHAT(だから何なの?)」を繰り返すこと。


この方法でより具体的な案へと掘り下げていき、具体的な行動(つまりアクション)を起こせる結論へと導く。




また、この仮説思考に基づくアクションは、多少のズレは仕方ないとし、とにかく仮説から検証の繰り返しにより、精度を高めていくことに意味がある。




GE社ジャック・ウェルチ氏の言う、ビジネスは「走りながら解決する」もこの考え方。




動いてみないことには何も見えないし、何もわからない。


行動しか経験値にならず、何も生み出さない。


百聞は一見にしかず。百の評論より一の具体案。










■技術編より




技術編は、思考編を用いることが前提となっている。




○MECE




Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive の頭文字をとったもの。




日本語訳では「それぞれが重複することなく、全体集合としてはモレがない」という意味。




「モレ」がなく、「ダブり」もない状況とする。




物事をもっとも効率よく考える基準となる考え方。




また、課題に対する時に的外れがないようにするために重要な考え方でもある。






モレについて:課題に対する本質も見落としが無いようにする。




モレがないかは、前述のゼロベース思考を用いることである程度回避できる。




ダブりについて:ダブりとは、単純に非効率の部分である。






最後に、MECEを用いる場合には、優先順位をつけることが非常に重要。




なぜなら、投入できる各種資源には限りがあるかれである。




モレなくダブりない状況を作りだしても、すべての要素に定量に分配しては、競合との資源格差ですべての部位で敗北する可能性がある。




戦争を例にとると分かりやすい





すべての攻撃・守備地域に戦法上モレなくダブりなく部隊をそろえても、戦力の絶対数が少なくては、各地域での戦力差が生まれ、勝てない。


資源の優先的な分配方法が重要なのだ。




著者も


「ビジネス書に戦争の例が多いのは、各前線への戦力分配が、要するに戦略だからである。」


と書いている。




世の中の多くのフレームワークと呼ばれているものは、たいがいこのMECEの考え方の応用である。




例:3C分析、ビジネスシステム、マーケティングの4P、BCGの事業ポートフォリオ、など






○ロジックツリー




ロジックツリーは、問題の原因の深堀・解決策の具体化に用いる。




・原因の深堀り




主題に対して、「WHY?(どうして?)」の自問自答を繰り返す。




階層はMECEの考え方を導入し、モレなくダブりなくの要素に分けることがポイント。




その上で、因果関係をはっきりしながらつなげていく




・解決策の具体化




主題に対して、「SO HOW?(だからどうする?)」を繰り返す。




階層についてはMECEを。






ロジックツリーそのものが主題に対してのフレームワークとなっていくはず。




一度で完成させようとせず、日を置いたり、他人に見てもらったりして、トライアンドエラーを繰り返して完成に近づける。




ただし、もともとは限られた時間の中でより効率的・効果的にアクションに移すために浮き彫り化するための方法であることを忘れない。(つまり、ロジックツリーの完成を目的としない)






個人レベルでの使用方法




①お金(給料やボーナス)の使い方についてのロジックツリーを作ってみる




②時間の使い方についてロジックツリーを作って見直してみる。(1週間単位が良い?)






個人レベルでの応用法は、すぐに使えそうです。


お金も時間も、重要な資源。


効率的・効果的を求めた手法なので、個人に使えば、効率的・効果的な生活を導き出せるといえるのでは?


また、ロジックツリーを書くことで仮説思考・ゼロベース思考・物事を因果関係をはっきりさせて捉える力が鍛えられるとも思います。


実践したい項目です。










■実践編




思考編と技術編の手法を利用したソリューションシステムについて書かれている。




ソリューションシステムの基本的な流れは




課題の設定 → 解決策の仮説 → 解決策の検証と評価 → 解決策の実施




である。




加えて、著者が実際にソリューションシステムを使って問題を解決した実例が書かれており、具体的に現実の問題をどのように解決していったのかが理解できるようになっている。








◆著者プロフィール




齋藤 嘉則(さいとう よしのり)

(株)ビジネスコラボレーション代表。1979年東京大学工学部卒業、大手建設会社勤務の後、英国ロンドン大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)校にて経済学修士(MSc)を取得。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーの経営コンサルタント、92年米国大手家庭用品メーカー日本法人のゼネラル・ディレクターを経て、96年より現職。大手企業を中心に経営戦略やマーケティング戦略のコンサルティング、企業の戦略プラットフォーム強化のための戦略スキル開発、新規事業開発のためのナビゲーション、幹部教育や問題解決技法トレーニングなどの指導を行う。