米国をオーバーウエイトして高成長のアジアはアンダーウエイトする世界株インデックス
■足元で世界株インデックスに占める米国株のウエイトは約63.8%に上ります(2024年3月末時点)。一方、世界経済に占める米国経済のウエイト(名目GDP)は約26.8%に過ぎません(2022年末時点)。こうして見ると、世界株インデックスは「世界経済への投資」というよりも、「米国経済への重点投資」といった方が実態に近いようです(図表1)。

■もちろん、こうした米国への集中も、米国経済の成長スピードが世界経済を上回っていれば大きな問題とはならないかもしれません。しかし、残念なことに2000年以降の約22年間の経済成長率を見ると、米国は約151%にとどまり、世界経済の同約202%を下回っています(図表2)。

■ここもとの世界経済の成長は、主に新興国の急拡大に支えられていて、同期間の新興国経済の成長率は実に約569%に達しています。中でも、中国、インド、東南アジアなどのアジア新興国の成長率は約793%に達し、「世界の成長センター」と呼ばれています。しかし、世界経済の約29.7%を占めるアジア新興国の株式は、世界株インデックスには約7.8%しか組み入れられていません。このように、成長地域への投資がGDP比で極端に小さい世界株インデックスについて、「世界経済の成長に投資できる」とする解説は、かなり「盛った話」といえそうです。

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だそうですが

 

[■ここもとの世界経済の成長は]って何と打ち間違えたんでしょう?


それはともかく、高成長だから儲かるわけではありません

例えば「ある会社の成長率が高かったとしても、その会社に投資しても、ライバル企業に投資するより儲かるとは限りません」何故なら、ライバルよりも成長率の高い「ある会社」には「高い成長率に見合う高値」がついていて、ライバル企業には「低い成長率に見合う低値」がついてるので、現時点でどちらに投資した方が儲かるかは、投資家の見立ての違いでしかないからです

これは国への投資でも同じで、成長地域の株式には、その成長率に見合った(売り手と買い手の合意が成立した)価格がついてるため「成長率の高い地域に投資すれば世界株よりも儲かる」とする解説は「良い株式を選べば悪い株式を含むインデックスよりも儲かる」という嘘と同じ程度に、かなり「盛った話」といえそうです

実際、過去30年、20年、15年、10年、5年、3年、1年、6か月、3か月、年初来の新興国と世界株のトータルリターンを比べてみると

 

 

 


直近3か月を除く、過去30年、20年、15年、10年、5年、3年、1年、6か月、年初来のトータルリターンは新興国株<世界株になってました

過去22年の新興国の成長率が約569%、対する世界株の成長率が約202%だったとしても、過去20年の新興国株リターンが9.8%<世界株リターンが10.6%(過去30年で新興国株7.2%<世界株9.8%)なら、世界株に投資したほうが儲かったことになります