歳を重ねると男性は下手に、女性は上手になる

 金先協会が行った実態調査では、昨年(2017年)の損益について、性別・年齢別・職業別・世帯年収別の回答も公表されている。これを紐解いていくと、いくつかおもしろい傾向が見つかった。ひとつは、性と年齢と利益の関係だ。

 この表を見ると、男性は加齢とともに利益の人が減る傾向にあることがわかる。ところが反対に、女性は加齢とともに利益の人が増えていく。歳を重ねると男性は下手になり、女性は上手になる人が多いのだ。いったい、どんな背景があるのかまではわからないが、気になる傾向だ。

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だそうですが

こういったデータと比率で傾向が語られているのを見ると、検定・推定にかけてみたくなるのが統計屋です(;'∀')

あるサンプルを取って、その結果が〇50%×50%だったとしても、その試行回数が2回ならその95%信頼区間は0%~100%で、同じ母集団からサンプルを取るのに何の参考にもなりませんが、同じ〇50%×50%だったとしても、その試行回数が100回ならその95%信頼区間は40%~60%、その試行回数が1000回ならその95%信頼区間は47%~53%となるようにサンプル数が少ないと、その比率に母比率に差があるとは言えない程度のばらつきの可能性があるので

 


サンプルの傾向は母比率にも有意な差があるといえるのか(再現性があるのか)確認するために統計学では「母比率の差に関する検定・推定」を行います

 


というわけで統計解析ソフトにデータを入れたところ

「歳を重ねると女性は上手になる人が多い」
女性20-30代と40-50代と60-70代の比較では母比率に有意な差がああるとは言えなかったので、ただの偶然の可能性が捨てきれません

「歳を重ねると男性は下手になる」
男性20-40代と50-70代では有意な差があるといえました、ただし50代と60-70代の比較では有意な差があると言えなかったので。歳をとるほどどんどん下手になるわけではなさそうですが、40代以下と50代以上では差がありそうです

有意な差があった男性40代以下と50代以上で何が要因なのかは検証する価値がありそうなので、男性年齢構成がある項目(投資スタイル、英ポンド、新興国)のデータに男性40代以下と50代以上に大きな崖のような差が無いか眺めていたら

「新興国通貨を取引しているか」に男性40代以下と50代以上で段差がありましたし、女性が年を重ねるほどに新興国通貨の取引が高くなる傾向も(偶然の可能性は捨てられませんでしたが)加齢と共に女性は上手になる=加齢と共に新興国通貨に手を出すと傾向が合致します

この記事の調査が行われた2018年の1年前の2017年は、新興国通貨が儲かった年だったようです

https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/2017/08/irepo170815.pdf

と思って検定・推定にかけてみましたが、新興国通貨の取引比率に男性も女性も年代による差は母比率に有意な差があると言える程ではありませんでした(;'∀')

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ちなみに統計的検証をしたところで、2017年は有意にある傾向があったとしても、もう一度2017年を経験できないかぎり、同じ手段で儲けることは不可能なので、有意な差異が検出されたとしても、それが今後の投資に役立つわけではありません(;'∀')