6――結論

預貯金などリスクのない運用商品、もしくは資産分散の手段としてのバランス型に投資すればリスクを低減できて安心してしまいがちである。バランス良く投資するという語感も良い。しかし、老後のための資金を形成するための確定拠出年金(DC)においては、投資期間が長い若い人は、資産固定型バランス運用より、外国株式といった成長力がある株式インデックスにもっと投資すべきであると考えている。もちろん、株式インデックスに長期投資する場合も注意すべき点はある。株価暴落とかのニュースが流れて、資産の時価残高が大きく減少しても、慌てて元本確保型商品などに入れ替え、損失を確定すべきではないということである。一時的に元本が大きく毀損しても、長期的には高い収益率を獲得できるからである。元本確保型商品などに入れ替えて損失を確定してしまうと、高い収益率を獲得する機会を失うことになる。

一方、年齢が上がるにつれ、残る投資期間が短くなり、株価が回復するまで待っていられなくなる。残る投資期間が短くなるにつれ、資産分散により短期的リスクを抑える重要性が増えるので、少しずつバランス型に移行するなど、リスクの低いポートフォリオに移行した方が良い。また、資産運用の結果、十分に満足できる老後のための資産形成ができたなら、思い切って全額を元本確保型にするのも良いと思う。しかし、まずは若いうちに、外国株式などといった成長力が高い資産クラスにより多く投資することで、十分な資産を形成することが先決である。今一度ご自身の確定拠出年金の拠出金割合や運用内容を見直してみてはどうだろうか。

なお、確定拠出年金制度は積み立てるときに、個人が拠出する月々の掛け金は全額所得控除の対象となり、運用期間中、運用益が非課税となる税制優遇措置がある。まだ加入していない人は、是非加入を検討してほしい。

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だそうですが

この手の「過去のリスク&リターン」を参考にして、今後の投資方針を(まるで未来が過去の延長であるかのような仮定の元に)判断するのは、どれほど精緻で長期間の信頼できるデータであろうと、間違いだと思います

どこかが凹めば、どこかが凸出するのが市場なので、過去から現在までのどの投資先の最終積立金額、リターンの最大・最少、75%範囲、元本割れ期間と元本最大棄損率、がどうだろうと、あくまで参考指標として「ふーん」と流す程度の意味しかありません

例えば、過去10年のパフォーマンス実績は
・FTSE 全世界指数 (All-World) (円):+12%
・MSCI コクサイ・インデックス (KOKUSAI) (円):+13%
・MSCI 北米 (North America) (円):+15.2%
だったので、過去10年ならば全世界よりも先進国、先進国よりも北米に投資した方がパフォーマンス実績は高かったのは事実ですが

だからといって「今後も北米に投資した方が、先進国よりも、全世界よりも、儲かるはずだ」と考える人は「去年優秀な成績を残したアクティブファンドを、その成績が発表されてから、急いで買う人」と同じ思考です

今後の投資先を決めるにあたっては、頼るべきは「過去のリスク&リターン」ではなく、投資方針「長期・分散・低コスト」に照らして合致した商品か?だと思います(;'∀')