第10回は投資で複雑さを避ける「単純化」について解説します。

「決定麻痺」を避けるために
リフレーム、コミットメントに続いて、行動コントロールで重要な技術の三つ目は「単純化」です。これは、複雑さを避けることだと言ってもよいかもしれません。

第6回「決定麻痺のわな」では、いったん投資をすることにしたものの、何をどのくらい投資するかで迷ってしまい、結局投資しなかったという失敗例を挙げました。そこでは多くの情報を受け取ってしまったせいで判断ができなくなり、その結果「決定麻痺」が起こっていました。

「問題が複雑であること」がよくないのであれば、「決定麻痺」を避けるためには、不要な情報・選択肢を減らした方がよいでしょう。

例えば有名な話として、企業型DC(確定拠出年金)で選べる投資信託の数が10以上の企業よりも、2つや3つの投資信託しか選択肢を用意していなかった企業の方が、DCへの平均参加率が高くなる傾向があるという研究結果が米国で知られるようになり、その後の企業年金のユーザーインターフェースデザイン(※1)に大きな影響を与えています。

強引に単純化する
さて、問題を単純化する場合、もともと不要な情報だったなら排除すればよいでしょう。悩ましいのは「正確さを求めると複雑になってしまう」場合です。この問題に対しては、古くから、正確さを犠牲にして「強引に単純化する」という興味深い方法が使われています。この中から2つの例を紹介します。

(1)「100-年齢」をリスク投資に
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一口に「最適な比率で」と言っても、具体的な数字をそれぞれの人に合わせて厳密に決めるのは難しいでしょう。ここで一つの目安となるのが「100-年齢」です。20歳なら80%、50歳なら50%を株式などの「リスク資産」に投資するという考え方は分かりやすく、現在販売されている多くのターゲットデートファンドの内容とも整合しているといえます

(2)「72の法則」を基にした投資

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だそうですが

「単純化」は「決定麻痺のわな」を避けられるかもしれませんが、そこにに潜む「ヒューリスティックバイアス」によって間違った判断を誘発されているかもしれませんし、金融機関はこの「ヒューリスティックバイアス」による「認知の歪み」を利用して、買い手(客)が損して、売り手(金融機関)が儲かる商品を「お買い得」な商品であるかのように誤解させます

行動経済学の発展と共にマーケティングの手法として悪用?されてますが(;'∀')

 


「100-年齢をリスク投資に」の商品設計で「現在販売されている多くのターゲットデートファンド」は、代表性ヒューリスティック(老後には老後向けの運用があるだろう)利用可能性ヒューリスティック(金融機関が紹介する商品は利用可能)係留と調整ヒューリスティック(100-年齢というアンカリング)等によって、まるで「老後に最適な商品」であるかの「認知の歪み」を起こさせてます

割高な継続コスト(信託報酬)や、「ポートフォリオにまで歳をとらせる必要は無い(ウォーレン・バフェット)」や、70歳になって債券70%+株式30%のターゲットデータファンドを保有するなら、インデックスファンド30%と個人向け国債変動10年を買って保有した方がどれほどコストを削減できるかや、「お金は沢山あっても困ることは無い」という現実、等を考えれば、ターゲットデートファンドは「ぼったくり(地雷)商品」と考えられます