本澤二郎の「日本の風景」(5053)

<清和会裏金疑惑釈明会見=一番の犠牲者・谷川弥一は善人か>

衆院議長に辞職願を出した長崎県の清和会代議士・谷川弥一の記者会見を昨夜見た。パソコンのお陰であるが、彼は自民党清和会議員の中で、一番善良な衆院議員ではなかったのか。それまでテレビの取材に反発する映像を、何度も見せつけられていたものだから、国民の多くは清和会最低の政治屋だと評価してきた。

彼は安倍・清和会を守るための捨て駒・スケープゴート役を押し付けられて、仕方なく議員辞職という一番厳しい椅子に座って、覚悟の金バッジを放棄した。いうなれば清和会98人の中で、一番の勇者ともいえる。そんな印象を抱いた彼の記者会見だった。

 

何もかもが清和会の指示に従っての対応だった。清和会の幹部連は、ずるがしこい世耕や松野、西村、下村、高木ら、そして最大の悪党とみられてきた萩生田など幹部連は、口裏合わせの検事の事情聴取にも、逮捕も起訴もされなかった。

彼らの身代わり役となった谷川は、悔しくて体全体が怒りで興奮していた。「なぜ俺だけが犠牲にならなければならないのか」という疑問に誰一人答えてくれない。苦しい胸の内を理解してくれる身内はいない。普通であれば発狂するだろう」と感じてしまった。

 

<やくざの掟が生きていたA級戦犯の派閥?>

「安倍・清和会の指示でやってきたことだ、事実を証言できない。これはやくざの世界だ。清和会の幹部を守るために自分が犠牲者となる」という表情が記者会見での谷川の胸の内だと気付いた。

派閥記者20年、その後の政治評論家活動を通して、谷川こそが一番の愛すべき派閥人間と評価できる。「数人の仲間がよく決断してくれたと褒めてくれた」とも口走った。その一方で「派閥の悪口はいわない」「自分が悪かった」というばかりだ。政治屋と金庫番の関係が、ここでは清和会と谷川である。「安倍の清和会を守るのは谷川さんだ、頼む頼む」だったのか。

 

笹川良一や児玉誉士夫が暗躍した清和会の掟は、やくざの掟なのだだろうが、それを裏金事件で谷川一人に押し付けて、派閥の幹部は逃げた。「なぜ俺一人が」という悔しさは、生涯彼の精神を破壊し続けることになるだろうか。はたまた「谷川弥一は男でござる!清和会の救世主」なのか。

 

<表情から清和会の生贄にされた無念ありあり>

彼は何を聞かれても「自分が悪かった」と繰り返し、弁解しなかった。やくざ捜査の警察官や検事であれば、こうした被疑者の対応を百も承知のはずだ。

それを、間もなく議員辞職する自民党衆院議員が演じている。演じさせられているのである。しかも、何を聞かれても逃げなかった。記者団の質問がすべて終わるまで、被告人のような椅子から離れなかった。

 

彼の手元には質問に答える資料があったが、彼はそこに目を通さなかった。そして一言正論を吐いた。「閣僚の答弁はメモを読んでいるが、それがいいのか。なぜ自分の言葉でしゃべれないのか」とポロリと口から滑った。記者会見での唯一の怒りの正論だった。

 

国民の多くは、安倍も岸田もやくざ・やくざ系の政治屋を、好んで閣僚や党の要職に就けて、暗に威圧的な布陣で事態を乗り切ろうとしている。以前にもやくざ代議士に防衛省のポストが与えられた。その息子を防衛相に起用した岸田に驚いた。息子も父親の人脈を継承していることが、最近の週刊文春に大きな証拠写真とともに掲載されたのだが。そして、今度は野党対策で活躍を期待している。

ことほど、政治家や政治屋はやくざを怖がるワル集団という背景がある。やくざに支配される国会・立法府に期待することなど何もないだろう。

 

元千葉県警本部長をした反骨の内務官僚・渡辺一太郎は、田中角栄に対して「やくざをそばに置くな」と警鐘を鳴らし続けた。彼は岸信介のA級戦犯派閥との対抗に、元警視総監の秦野章と内務官僚の渡辺の同僚である後藤田正晴の布陣を敷いた。このことを知る政界関係者はいない。

これは、民主的な議会政治の日本?でも、やくざが一定の役割をになっていることを裏付けている。それに屈する野党の無様さにもあきれる。自民党も公明党もやくざ大好き党で知られる。アメリカの議会がギャングやマフィアに牛耳られている?想定さえできないだろう。日本では官僚がメモを作成する。あらかじめ記者や野党の質問を把握しておいて、回答メモを用意する。官僚が仕事などしていないことが理解できるだろう。霞が関は無駄の宝庫なのだ。

 

はっきりと言わねばならない。日本に民主主義は存在しないことが、以上のことでよく理解できるだろう。いずれ谷川が、この場面でやくざ派閥から、どう指示されたのか。清和会の正体を暴くかもしれない?期待したい。

 

<狐か狸の萩生田は八王子市長選勝利後に嘘の釈明会見>

加計森友事件から統一教会国際勝共連合など安倍晋三事件に関与支援してきた関係で、カルト神道政治連盟の森喜朗から、特段の支持を受けてきた東京・八王子の萩生田光一が、ずっと雲隠れしてきたが、ようやく姿を見せた。

1月21日の八王子市長選の勝利をお土産にして釈明会見をした。

事情通は「谷川を説得した人物の一人」と語っている。可能性を否定できない。一部には「小泉純一郎を動かして小池都知事を自公候補の応援団にした」との指摘も。小泉と小池は特別な間柄として知られている。

 

問題の本質は、野党がバラバラ。すなわち自公体制存続の元凶は野党にあるのである。野党を一本化出来るかどうかが、そのうち行われる総選挙でもカギを握っている。野党には諸葛孔明のような参謀がいない。自公体制どころか、やくざ起用の岸田長期政権も視野に入ってきている!

日本の政治分析は、やくざが跋扈する「房総半島から見ないとわからない」と袖ヶ浦市や君津市の友人らが語っている。

2024年1月23日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)