本澤二郎の「日本の風景」(5042)

<反省と謝罪をしない三井住友傘下の東芝など日本財閥の人権蹂躙を民主化した韓国最高裁は次々に有罪判決!>

このところ韓国の右派政権と岸田内閣の蜜月状態が注目を集めているが、その一方で韓国の司法は、戦前の日本の植民地支配で起きた従軍慰安婦問題に次いで、強制労働という空前の人権蹂躙の財閥犯罪にきちんと対応した有罪判決を出して、それが次々と確定している。韓国の民主化と比例した好ましい動きであろう。しかし、日本財閥はかたくなにこれを拒否・回避してやり過ごそうとしている。

日本の植民地支配を暴いている韓国の司法の判断を、国際社会は驚愕の目で見つめている。同時に日本財閥の対応を許されざる暴挙だと厳しい目で見つめている。

 

戦前の負の遺産が、この国を暗くさせている。財閥はというと、日本の政府自民党を傀儡政権として操り、既に1965年の日韓基本関係条約で「解決済み」という無謀すぎる立場を、政府・外交当局に押し付けて、恥じない。大義は韓国の被害者遺族と司法当局にある。日本の偏狭なナショナリズムが災いして、両国民の歴史認識(従軍慰安婦問題・強制労働)は今後とも厳しくなるだろう。国連などは、民主化した韓国民と司法の判断に注目している。

 

<日韓正常化の許されざる闇>

1965年の日韓条約の背後で、ワシントンは動いていた。当時の韓国の大統領は、軍人大統領の親日派の独裁者・朴正熙。かたや日本の首相は、佐藤栄作である。「ワシントンのポチ同士による決着」といえるが、佐藤の実兄のA級戦犯の岸信介と朴とは、満州国時代に深くつながっていた。

朴は経済復興のために日本のカネに執着していた。軍人大統領は、日本軍の慰安婦問題や強制労働について関心がなかった。韓国民の政治意識が低かったせいでもある。人々の怒りや憎しみを押しつぶすような不条理な形での国交正常化は、自由と民主主義の時代に入ると爆発することになる。

正常化直後から岸の韓国ソウル地下鉄事件が表面化、反岸の宇都宮徳馬らが厳しく追及していた。

その契機を作った韓国民主派の政治家が、のちに大統領となる金大中だった。日本で拉致された金大中は、朴政権の仕業であった。この時、いち早く救済に当たった日本の政治家が宇都宮。彼は、当時官房副長官だった旧制水戸高の後輩・後藤田正晴に通報した。彼は米軍に連絡し、日本海を北上する船に向かって「殺すな」と指示して、金大中は命拾いした。この秘話は後藤田が、宇都宮葬儀の際、打ち明けたものである。

 

韓国の民主化に比例して、それまで鉄で蓋をされてきた日本植民地支配と侵略戦争時代の蛮行の数々は、断じて許されざる人権蹂躙の最たるものであるが、それゆえに天皇の軍隊である日本侵略軍による従軍慰安婦問題と、財閥による強制労働問題に火が付いた。

 

徹底した反省と謝罪が人の道であったが、財閥は全く違った。人間の顔をした悪魔の集団だった。戦後78年経っても反省と謝罪をしない。その立場を日本政府の外交政策にさせて、今も逃げようとしている。

岸信介の孫の時代になって日韓関係は、振出しに戻ってしまったが、それはA級戦犯の思いと財閥の意思が一体であることを物語っている。

現在は、権力を監視するメディアまでが財閥の代弁者となって、韓国民と司法の大義ある解決にくぎを刺している始末である。

傍観するだけの日本国民に対して「無知は犯罪である」という言葉を贈りたい。ヒトラーの暴走を許したドイツ国民もまた、その共犯者だ。目下のイスラエルのガザ虐殺を黙認するユダヤ人も、国際社会も同様の判断をしている。

 

<東芝医療事故死(2010年)に反省も謝罪もしない財閥病院>

ここで我が家の永遠の悲しみも紹介したい。1日として忘れることができない苦悩である。三井住友傘下の東芝の医療事故死事件である。参考までにいうと、フクシマの東電原発3号機は東芝製で、プルトニウム加工燃料を使用していたため、水素爆発ではなく核爆発を起こして、東北から首都圏の人々の命を今も奪っていると断定できる。

 

財閥・東芝は日本製鉄や三菱重工などと同様に反省も謝罪もしない。悪魔の経営陣が支配する東芝の再生は、従って無理であると断じたい。我が家の東芝製品は消えたはずだったが、数日前に10年前に息子が買った餅つき機が東芝製品だった。普段は兄の家で、兄弟そろって年末に餅つきをするのだが、今年はスーパーで切り餅を買わねばならなかった。ところが、ネット上で「添加物やでんぷんの不良品が出回っている」と報じられていることを知って、やむなく一度しか息子が使用したことがなかった東芝餅つき機を10年ぶりに取り出したのだが、作動させてみると蒸す機能が不良で駄目だった。トップが腐っていると下も腐る。

三井住友傘下の東芝の製品は悪い。車の保険も三井にしたのだが、こちらもドライバーの味方でないことが判明した。機会を見て紹介しよう。ズバリ財閥製品は要注意である。

 

本論に入るが、自宅介護の次男・正文は、2010年4月7日誤嚥性肺炎で大井町の東芝病院に救急搬送された。1週間の入院という診断が出て、無理やり個室に押し込まれた。「もう心配ありません。家族は自宅に帰って結構」というので帰宅したものの、数時間後に痰がのどに詰まって窒息死。カルテを取り寄せて確認すると、看護師が100分も個室に戻らなかった。ために痰がのどに詰まったものだ。徳洲会の病院長が「常識では考えられない重大な看護ミスである」と断じた。

 

病院での看護師不在の孤独死は、空前の医療事故死である。それでも病院は次男に線香を一本も上げようとしなかった。財閥病院は人間性のひとかけらもないことを知った。そうしてみると、強制労働に対して反省も謝罪もしない日本財閥の正体をよく見せつけているではないか。

 

ところで戦前の史実は、侵略戦争を天皇の国家神道によって国民の自由な精神を奪ったうえで、財閥と軍閥が共闘して資源略奪に走ったものである。したがって米国を中心とする占領政策の基本が、国家神道の廃止と財閥と軍閥の解体だったことが裏付けられる。だが、今の神社本庁・財閥に歴史の教訓は全く生かされていないことに気付く。傲慢で人間性が皆無の戦争勢力だったと断罪できるだろう。

 

<戦後初の警視庁刑事告訴を一行も報道しなかった時事・共同・NHK・毎日・読売=電通が防御か>

ついでに日本のマスコミの劣化も指摘しておきたい。財閥病院

に対する戦後初めての刑事告訴に警視庁詰めの社会部記者は、仰天して取材してきた。念のため、記者会見も行った。新聞・テレビ・ラジオが大挙して集まってきた。

それ以前に読売新聞が真っ先に単独で自宅まで押しかけてきた。NHKも。TBSは唯一まともに報道したが、NHKも読売も報道しなかった。電通の株主である時事通信も共同通信も記事を流さなかった。財閥と電通にひれ伏すという信じられない日本マスコミの無様な姿をさらけ出した。朝日新聞と東京新聞は、まるでべた記事扱いだった。

なぜか?日本テレビの政治部長に尋ねると「財閥の東芝批判は広告も関連して無理だったのかも」というあっけらかんな返事だった。新聞記者をしていながら、財閥とメディアの不可解な関係を知らなかったことになる。警視庁への刑事告訴については、事前に元法相の森英介と警察官僚の亀井静香が支援してくれた。だが、警視庁刑事部長の様子はおかしかったし、一応東京地検に書類送検したものの、検事の松本朗は不起訴にした。検事を抑えることなど財閥は簡単なのである。日本の政治の闇は、財閥と政府と司法の三権一体という反民主主義にある。誰も気づかない真実を亡き次男・正文が教えてくれた。命を奪われた次男が、反骨ジャーナリストに勇気と正義を贈ってくれる。感謝するほかない。

朝鮮半島の人たちの苦悩は、わが苦悩でもある。「今だけ自分だけの人間の一生でいいのか」と警鐘を鳴らそう!

2024年1月12日記(反骨ジャーナリスト・政治評論家)