本澤二郎の「日本の風景」(5041)

<岸田・政治刷新本部の眼目は選挙制度改革にあり>

この30年の小選挙区比例代表制という、民意が反映しない国民の代表選びによって、政治の劣化・腐敗政治が見て取れる。「小選挙区制は腐敗を生む」(エール出版)は的中した。まともな政治の専門家であれば、誰でも理解している。「派閥解消」「企業団体献金禁止」と公約して血税300億円を懐に入れるという大胆な詐欺行為と、あまつさえ世界一の高給議員に声も出ない。

最悪の政治システムに甘んじてきた国民とは?日本崩壊にだれも文句ひとつ言えない。

 

この恩恵に預かった財閥と衆院議員の懐について、今も気付かない日本人がいるだろうか。いないだろう!昨今の極限の政治不信が裏付けている。関与してきた面々の反省も聞こえてこない。断言したい!自民党がなすべき政治改革の本丸は、民意が反映する選挙制度に改める、この一点に尽きる。すこしでも善良で見識のある人材を国政に参画させるのである。小選挙区制は、岸・安倍一族の平和憲法改悪のためであったことを、主権者も今では気付き始めている。小選挙区比例代表制といういかがわしい選挙制度は、直ちに廃止するべきである。

 

<いい加減・でたらめ議員輩出の民意が反映しない金権腐敗の小選挙区制比例代表制を直ちに止めることだ!>

この悪しき制度の悪用の第一人者が、A級戦犯の岸信介の孫である安倍晋三であったことは、あえて言及するまでもない。国際社会からはじき出され、貧困国に落ち込む中で、国民は疲弊し、反対に財閥は血税を独り占めして、懐にためこんだ資金は500兆、600兆円とささやかれている。

 

日本銀行が財閥の株を買い占め、異次元金融緩和と喧伝して、円激安政策を強行したアベノミクスが、隠しようのない証拠である。この悪政を今も継続させている。物価急騰と野菜などの便乗値上げで、国民生活をいたぶり続けている。こうした悪政をひたすらに受け入れて、物言わぬ与野党議員の知的な劣化にこそ、選挙制度にすべてと言っていいぐらいの原因がある。民意が反映する選挙制度に改めて、よりましな国民の代表を選ぶしか、この国に小さな光をともすしかない。

 

<言論の自由を奪う最悪の現行制度>

国会は「言論の府」である。国会議員は地元の声を政治に反映するだけでなく、憲法の指針に沿った立法行為に専念すべきで、カネがらみの犯罪に手を染めることなどもってのほかである。今の与野党の議員にはそれが不足している。全員が沈黙を決め込んでいる。党執行部に対して意見を述べる議員は一人もいない。公認権とカネに縛られていて、言葉を発していない有様だ。

 

およそ民主政治とは無縁の政党と議員ばかりである。沈黙して公認を取れば、脱税も裏金も、利権あさりもやりたい放題と指摘されている。

「国会議員は命がけの仕事」である。過去には右翼・国家主義の戦前派に抗して、日中正常化を実現した大平正芳や田中角栄らは、そうした代表であろう。先日の田中角栄邸炎上事件も、背後に「怨念の角福戦争」が生きていることを裏付けているようだ。警察・検察は本腰を入れる責任がある。日本の民主主義が問われている。

 

<派閥解消は不可能=政党助成金維持で個人・企業団体寄付禁止などすべて反故>

派閥はなくならない。なくしてもすぐに復活する。小選挙区制を強行した時の大義は、まやかしに過ぎなかった。企業団体の寄付も禁止したはずだったが、金集めの派閥のパーティーは恒例行事となっていた。

腐敗議員の背後には、腐敗官僚が存在している。永田町と霞が関も腐敗まみれだ。官僚の腐敗は、この30年の間に進行した。国務に専念して不正を許さない優秀な官僚群が、戦後の日本政治を支えてきたのだが、この10年で官僚からも善人が姿を消した。

 

<刷新本部の二人の最高顧問と事務局長は傷物>

ところで、本日から岸田を本部長とする自民党の「政治刷新本部」なるものが開催される。まやかしもいいところである。疑惑だらけの二人の元首相が最高顧問だという。傷物は事務局長役もそうである。数々の安倍犯罪事件に関与して、首相の座を射止めたものもいるのだから、もう笑い話のような刷新本部との評価が出ている。

朝日新聞は「政治刷新本部メンバーに安倍派が最多10人」と報じた。

こんな布陣では、到底国民を騙すことは出来ないだろう。これに官房機密費をもらって仕事をしている「御用」と名の付く輩を加えても、小選挙区制を廃止して、民意が反映する公正な選挙制度を立ち上げることは無理か。

2024年1月11日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)