本澤二郎の「日本の風景」(5034)

<二重(やくざ・核汚染ごみ)三重苦(原子力マフィア)の房総半島(袖ヶ浦市・君津市など)>

2024年は大波乱の幕開けか。11に能登半島地震と続く羽田空港日航機衝突炎上事故と天災と人災が列島を押しつぶした。房総半島は大丈夫か?千葉県の、特に核汚染ごみ不法投棄事件で大揺れの袖ヶ浦市、宇都宮市の311汚染ごみ投棄の君津市の大型産廃場、油断すると木更津市の山間部も、やくざ系産廃業者に狙われていることも判ってきた。危うい房総半島はどうなる!沈黙しやくざの共犯者となる住民と、潔く声を挙げる勇気ある君津郡市住民との亀裂も生まれているのだろうか?

 

房総半島は「首都圏のオアシス」と呼ばれ、海と山のコントラストは、50年以上前の房総半島に生きる人々に安らぎを与えてくれた。東京湾と太平洋の海沿いを鉄道が走り、乗客のすべてを美しい自然が癒してくれた。東京湾沿いでは、海苔漁に使用されるべか船が房総半島の風物詩そのものだった。そこが埋め立てられ、工場の黒い煙りが自然を奪った。山々が削り取られ、ダンプが道路という道路を占拠した。そのあとにダンプが首都圏の産業廃棄物を運び込み、ごみ溜めの半島と化した。

その後にも山という山の樹木がはぎとられて、痛々しい赤茶けた地肌に芝生が貼り付けられ、そこに大量の薬剤が撒かれ、汚染されてゆく。一部の有産者向けのゴルフ場である。悪しきアメリカ化と呼ぶ者もいる。自然豊かな房総の大地は、まさに利権の巣そのものとなった。

当時の様子を書いた本が「腐臭列島 房総半島の闇」(データハウス)。財閥にひれ伏す千葉県そのものだった。そのための強引な暴力で押し切るやくざが、大きく台頭する。

「やくざが跋扈する房総半島・千葉県」の民度の低さは、地方議員から国会議員まで、やくざ議員を輩出させた。「入れ墨やくざ・暴力団が仕切る千葉県政と地方議会」は、いまや公然の秘密だ。

 

「木更津レイプ殺人事件」(2014年)はそこで起きた。やくざはカルト教団の冠をかぶっていた。殺害された美人栄養士も同じ教団仲間だった。被害者の戦争遺児K・T子さんを、やくざ浜名が経営する介護施設「かけはし」に連れ込んだヘルパーの吉田ふみえは、昨年ガンで亡くなった。1か月ほど前、吉田の友人が教えてくれた。因果応報なのか。

この殺人事件の告発状を木更津署は理由もなく、告発人に突っ返した。「やくざと警察はグル」という新たな事実を突き付けられて数年経った。

 

<ひそひそ話の秋田県出身老人の真相開示に頷く>

K・T子さんは、まじめすぎる栄養士で、3人の子育てを秋田県本庄市で見事に果たした。3人とも戦争未亡人の助産婦が取り上げた。筆者もそうしてこの世に生まれた。ざっと3000人を取り上げた彼女は、本来であれば木更津市の名誉市民に違いない。彼女の恩に報いる市民は生まれるのか?

 

子育てを終えた彼女は、老いた母親の介護をしながら君津市の山の手病院で10年間、栄養士として働いた。この病院の院長は客家、中国の台湾人。彼女は父親が侵略戦争の地で軍務についた中国を愛した。戦後50年の1995年に南京・盧溝橋への平和友好の旅を計画すると、朝日新聞の千葉支局記者が大きく報じてくれたことから、総勢50人の団員で見事な成果を上げることができた。彼女は二女とその恋人も参加させた。二女の夫は、現在政党機関紙幹部。

 

話しを変える。昨年の暮れに、自宅前の農道を散歩する老人が声をかけてきた。「秋田県出身でもうここにきて40年」と紹介するものだから、K・T子さんの悲劇について話した。するとどうだろう、彼は急にひそひそ話で「やくざとやくざの配下のような市会議員の話」を話し始めるではないか。

あっけにとられて聞き耳を立てていると、いずれも頷けるような大事件の存在に納得するほかなかった。なんということか。ここに50年前に300万円借金して建て、生活の拠点として生きていたはずの、自身の知らない黒く、闇の世界が少しずつ見えてきた。その深刻なやくざ事件が警察に通報されずに、闇に葬られてきた事件の数々に「やっぱりそうか」と頷くほかなかった。

 

「木更津レイプ殺人事件」の被害者のK・T子さんも、自身の強姦事件を110番通報をしなかった。試しに、この界隈で福祉施設を立ち上げ、見事な実績のある同級生に「あなたならどうする」と尋ねてみた。「とても一人では行動できない」といって口をつぐんだ。

女性にとって警察は「頼りにならない」、特に千葉県警と木更津署はひどいのである。

 

「何か地元で山を削る、埋め立てるという場合には、必ず地元民は反対する。すると即座にやくざが連日電話で脅してくる。ある水利組合長は脅されて命を落とした」。

殺傷武器を使わなくてもやくざは相手の致命傷をドーカツすることで、被害者は突発性の大動脈りゅう破裂で即死する。「木更津レイプ殺人事件」を徹底して取材すると、そのことが理解できる。強姦映像を流されたら、女性は生きることができない。やくざにレイプされたら、女性は100%性奴隷にされる。やくざは覚せい剤を使用することで、それを容易にすることができる。やくざは人間の屑、悪魔である。

 

その点で、TBS強姦魔の被害者・伊藤詩織さんは偉い。麻布署に被害届を出した。強姦魔逮捕寸前に安倍側近だった犯人を警視庁刑事部長が逮捕を阻止した。中村格はそうして警察庁長官に格上げされた。安倍晋三と菅義偉の重大犯罪事件である。誰もが知っている。

 

<「木更津レイプ殺人事件」だけか。自宅近くでのダンプ道路建設に警戒?>

秋田県出身の老人は、地元のやくざ代議士秘書から市会議員になった悪党市議の支援者から、現在は手を切って自由の身という。「妻の関係が幸いした」という。やくざがらみの後援会員は、一度関係ができると逃げることができない、ということも知った。確かに同じようなことを、元労相の千葉三郎秘書に聞いたことがある。「選挙で票が出ないため田畑を売り払った有権者」というものだ。

 

いま近くの高速道路の建設会社の山すそにダンプ道路が出来ている。筆者も気付いたばかりだ。地元の区長に警戒するよう伝えたばかりだが、彼は知っていた。ダンプが動くと大変なことになると予告してくれた。

 

<樋高剛・青木愛・日景省吾・関巌・御園豊の声は止まらない>

ここにきて声を挙げる勇気ある政治家や市民運動家や元宏池会議員秘書の雄叫びを聞く機会が多くなった。房総半島にいい変化を招き寄せている。筆者にも勇気を与えてくれている。

 

「沈黙は金」という言葉を清和会の創立者の福田赳夫はよく口にしたが、「沈黙は犯罪の共犯者」「沈黙は犯罪」である。ロシアは言うまでもなく、イスラエルでも声を挙げる市民が目下、急増している。むろん、命がけの声である。それが君津安房郡市の千葉12区で聞こえてきた。樋高剛である。背後には参院議員の青木愛や秘書の日景省吾、木更津市議の安藤順子らの勇気と正義の声も。JR駅頭で早朝から声を挙げている樋高は、すでに衆院3期のベテランだ。国会では環境問題の専門家として知られて、君津市や袖ヶ浦市の核汚染ごみ事件にも取り組んでいる。「防弾チョッキも用意した」という早稲田OBの行動力に地域の評判が高い。

 

君津郡市の水と空気の問題に実績のある元木更津高校教師の戦争遺児・関巌のもとには、まじめな市民活動家が集まって御園豊と共演している。「やくざに屈してなるものか」という雄叫びが房総半島にこだましている。

中央では鉄壁を誇った極右・清和会の牙城は崩壊した。房総半島の夜明けも見えてきたのかもしれない。警察と行政にも勇気ある公僕が必ず生まれるに違いない。

2024年1月4日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)