本澤二郎の「日本の風景」(5026)

<清和会裏金事件で安倍を擁護するけなげなNHK元女記者>

20年もの間、安倍晋三に寄り添って安倍報道に徹してきたNHK元記者が、目下の安倍・清和会裏金事件について「緊急取材」をしたという。誰もが違和感を抱く不思議な「取材」。「官房長官を女房役という。それよりも身近な人物。清和会のことなら足の底から頭のてっぺんまで知っていたはず。あえて緊急取材など必要がない。それでも緊急取材した結果、安倍は派閥の会長になって初めて裏金のことを知って激怒した」とコメントなのか記事なのか不明だが、安倍擁護に狂奔しているという。

泉下の安倍に代わって「感激する晋三」の様子が見て取れる。戦前戦後を通して最低の元首相ではないか。最近の朝日新聞は、統一教会事件では逃げまくったが、今回の清和会事件では、特ダネを連発しているとネット情報で伝えられている。大歓迎だが、まさNHK元記者の安倍擁護論を受け入れてはいないだろうと信じたいのだが。

 

<安倍は保守ではない。A級戦犯・岸信介の亜流の極右>

最近の朝日分析の中に「安倍は保守」と決めつける向きを見つけた。改憲軍拡によって、この国を危うくさせ、挙句の果てに日本の内外政を破綻させた安倍政府、それを支援してきたNHK!こう総括できるだろう。

1972年から自民党派閥政治を、それこそNHK元記者のように見聞してきた反骨ジャーナリストの目には、安倍内閣をA級戦犯の岸信介亜流政権と断じることができる。保守の保守、すなわち戦争体制構築の極右である。

極右片肺内閣が安倍晋三内閣の心臓である。

 

<宏池会の護憲リベラルが健全な進歩的保守>

非戦の平和憲法を擁護し、尊重する義務が公僕である公務員に課せられている。これこそが健全な保守である。これに進歩的寛容さを備えた護憲リベラルこそが、日本丸の安全航海を約束するものである。いうまでもなく集団的自衛権行使という安倍自民党と公明党創価学会の立場は、護憲リベラルを大きく逸脱している。極右政党である。

ヒロシマやナガサキなど、さらにフクシマの教訓を放棄した岸内閣以来の核利用の原子力発電所は、ドイツのように直ちに廃炉する必要がある。原子力マフィアが存在するような現在の政府は、保守的ではない。危険すぎる極右勢力であって、A級戦犯の岸信介の亜流そのものである。

以前から左翼陣営が反動と厳しく指摘している理由は、極右の自民党に対する対抗軸として位置づけてきた。田中・大平内閣の72年の日中国交正常化に反発したのは、岸・福田の清和会勢力と配下の右翼暴力団の街宣車のみだった。

護憲リベラルの大事な理念は、寛容であるという点である。権力主義や暴力を否定する。根底に人間性・ヒューマニズムが存在する。対決主義は否定する。

 

<ナベツネは左翼から右翼に転向=恩師・宇都宮徳馬は「忘恩の徒」と断じて岸同様に批判し妥協しなかった>

極右は国家主義者である。日本では偏狭な国家主義者として知られる。彼らは「強い国」「軍国主義」にあこがれる。国際紛争に軍事力を利用することにためらわない。財閥とカルト教団と軍閥がまとわりついて、戦前の日本はそれによって破綻した。300万人の若者が亡くなった。二度と繰り返さないために、非戦の憲法が誕生したものである。

 

国民の代表者としては、改憲論者は基本的に否定される存在である。民主主義を否定する「緊急事態条項」を憲法に押し込もうとする現在の自民・維新は、平和主義に違反する勢力といえるだろう。左翼から右翼に転向した有名な人物は、読売新聞グループを統括する渡辺恒雄。彼は恩師の宇都宮徳馬を裏切って、岸・中曽根康弘や右翼暴力団の児玉誉士夫に食らいついて、今日の地位を築いた。

 

平和軍縮派の巨頭・戦闘的リベラリストの宇都宮は、何度もナベツネを「忘恩の徒」と断じて、岸同様に批判し、許さなかった。

自民党を支える神道カルト教団「神社本庁」とカルト統一教会に公明党創価学会、さらには笹川ギャンブル財団と軍国主義にまとわりついている財閥が、憲法の平和主義に襲い掛かっている今日である。しかし、民衆は戦争を断固として拒絶する。改憲などは論外である。

そして今「雌鶏が鳴くと国滅ぶ」という故事も、永田町に吹き荒れていることに留意したい。検察の正義が本物であることを、今は信じたい。

2013年12月26日記(政治評論家)