本澤二郎の「日本の風景」(5007)

<岸田はふらついて目の前が見えない?>

池田勇人が創設した自民党きっての名門派閥・護憲リベラルの宏池会の現会長・岸田文雄首相が、内閣支持率低迷でいつ総辞職するか、伝家の宝刀を抜くのか?永田町は疑心暗鬼の状態だ。そこに降ってわいた二発の巨大な地雷の処理に、彼は途方に暮れている。森喜朗の4兆円五輪賭博疑惑の再燃と、もう一つが安倍・森のA級戦犯の岸信介や笹川ギャンブル財団・清和会の裏金政治。共に震源地は清和会の心臓をついた重大事件である。

 

後者を東京地検特捜部は、初めて本格的な捜査を開始した。自民党崩壊も予感させる。事態の深刻さに極右・闇の日本会議が支援する女が、岸田の後釜を狙い始め、一部右翼マスコミに売り込んで岸田を揺さぶっている。清和会に深い亀裂も入った。

党の主は「当面の集金パーティーの自粛」を呼び掛けた、と周辺が明らかにした。「10人のうち一人か二人の支持しかない死に体に、正常な判断を失った」ようだ。本来、細川護熙内閣が「政治改革」と称して小選挙区比例代表制を強行した際、国民に対して「政党助成金を出す代わりに金集めはしない」と約束したのだが。

 

<国民は政党助成金を認める代わりに金集めしない約束反故>

「派閥解消は金集めをしなければ消滅する」との嘘もマスコミが大宣伝したのだが。

小選挙区制は、A級戦犯の岸信介の憲法改悪に向けた策略だった。民意を反映しない最悪の選挙制度を導入すれば、少数の支持で改憲を可能にできる。当時の首相の細川や自民党総裁の河野洋平、現役組の小沢一郎はよくよく承知している。しっかりと猛省し、国民に理解させる責務がある。

結果は、岸の狙い通りとなった。孫の安倍晋三がどれほど改憲論を口にしたか。今を生きるNHK記者や国民も知っている。加藤紘一の宏池会を事実上、崩壊させた岸・安倍の清和会が、戦争法制を強行した遠因だ。岸・笹川の野望を闇の推進勢力・日本会議に、財閥が資金と作戦を企てていると見て間違いない。主体は財閥のほか戦前の国家神道そのものといえる神社本庁や靖国神社の戦争勢力も深く加担している。安倍の未亡人は、安倍が亡くなると即座に政治団体を継承し、2億円を無税で手にしたと一部で報じられているが、実際はその数十、数百倍と見られている。恐ろしい事態が安倍家でも起きている。安倍家の素早い対応に対して、岸田はふらついて目の前のことが理解できない。「金集めパーティーの自粛」に納得するはずもない。

 

<派閥や政党の金集めするなら血税投入は禁止>

小選挙区制下、自民党と公明党の連携によって、日本政治は清和会の極右片肺内閣が続いてきた。政党助成金だけでも自民党は200億円も懐に入れる。幹事長権力の象徴である。他方で、政府は無尽蔵とされる官房機密費を、国民のための施策のためではなく、政権延命策に活用している。政党助成金+派閥の金集め+官房機密費を総合すると、まさに政府与党はカネの宝庫だ。そして財閥の裏金もふんだんに流れている。アベノミクスによるまやかしのゼロ金利と円激安のための「異次元金融緩和」で、株高も操って財閥の内部留保は500兆円か600兆円、いやそれ以上かもしれない。財閥のカネの流れが判明できれば、日本の腐敗地獄は途方もない。細田博之さえも財閥の一角を明らかにしていたではないか。

 

<小選挙区制廃止が天の声!>

日本の国会議員は、アメリカの議員よりも高給を懐に入れている。自民党から共産党まで。永田町では太った豚のような輩がブーブー叫んで腐臭を放っている?コロナ禍でも高給を食んで、国民の懐に見向きもしなかった。この点で与野党とも失格であろう。いま政治を安定させる秘策は、民意の反映する中選挙区制か大選挙区制にするしかない。30年余の実績が示している。とんでもない非常識な人物までが、独裁者の好みで金バッジを着けていることも判明した。国民のための代表者がいない。やくざ系の悪しき政治屋ばかりしか目につかないような永田町の惨状である。油断すると、戦争さえも起こす極右の死の商人さえも目につく。小選挙区制を廃止せよ!これが天の声である。岸田よ、目覚よ!野党も声を挙げる機会である。

2023年12月7日記(政治評論家)