悪徳産廃業者<本澤二郎の「日本の風景」(4713)

<木更津のワコーテックスを青木泰氏が暴く=森友ゴミのプロ>

 千葉県袖ヶ浦市林地区の水源地での悪徳業者による産廃の不法投棄と、そこに核のゴミを埋設した疑惑問題に新たな展開が生まれた。森友事件で話題を集めた偽りのごみ処理問題を暴いて注目された環境ジャーナリストの青木泰氏が現地入りし、問題のワコーテックスの正体を暴いたうえで、次なる地元被害住民の、産廃業者を管理監督する市と県に対して、無責任無能行政を厳しく追及する鋭い矢を用意したのだ。

 

 水源地の広大な山林に、法外な産廃を埋め立てるというヤクザまがいの不法投棄をする悪徳業者は、全国的に問題になって地域住民と激突している。住民を誤魔化そうとして、太陽光パネルを設置する手口も全国的だ。大半が違法行為の連続で有害な産廃を投棄し、その上に土などをかぶせてしまい、法外な利益を手にしている。

 林地区の不法投棄も同じ手口を用いているようだ。2013年の時点で目くらましの土砂をダンプで運び入れていた。翌年にはソーラーパネル設置工事、同4月30日に約1・5平方の山林を地権者5人から購入、その際、地元の林・高谷地区の区長立ち合いで「覚書」を交わした。違約すれば原状回復も約束した。結果は、売買契約を無視し、土地の転売をし、同意なしに水源地の広大な谷あいを埋め立てた。まんまと地権者・地元の住民を騙したのだ。このことを放置してきた袖ヶ浦市と悪徳業者との関係に疑惑の目が注がれている。

 

<100億から200億を稼ぎまくった悪徳業者+核のゴミ?=空前の利益>

 環境ジャーナリストは「実態は50万立方メートルを埋め立て、産廃埋立地に利用」したことから、実に「約100億円から200億円の利益を上げた」と指摘した。物凄い利益は、最近木更津市内に建設された巨大な建造物が裏付けている。

 そこに何が埋設されたのか?有害な産廃だと地下水を汚染し、君津・木更津・袖ヶ浦の水田・畑から、飲料水をくみ上げている小櫃川をも汚染し、さらに東京湾の海苔栽培にも影響を与えることになる。

 

<核のゴミ(放射能汚染物資)の埋設が事実だとすると房総半島は人が住めない・生きられない!>

 既に君津市ではフクシマの核のゴミ(放射能汚染物資)が1万トン以上も産廃場に投棄されている。「小櫃川を守る会」が徹底抗戦しているが、君津市長がここにきて原子力ムラに屈したと報じられている。房総半島に人間も生き物も安全に暮らすことが出来なくなるだろう。

 核のゴミはほぼ半永久的に消滅しない。問題の水源地に住む11世帯のうち7軒から癌患者も出て、住民に不安を煽っている。因果関係があるのかないのか!肝心の袖ヶ浦市が逃げているだけではなく、千葉県もだ。

 目下、住民の代表である自民党と公明党の市議は、追及するどころか逃げまくって、地元住民の顰蹙を買っている。共産党が動くかどうか?新聞テレビは朝日を含めて逃げている。言論界は電通と原子力ムラに屈服して恥じない。

 

<廃棄物処理法=懲役5年・1000万円罰金、売却返済と原状回復>

 埋め立て処分場でないところに廃棄物を埋め立てる違法行為は、廃棄物処理法第15条違反。第16条の不法投棄違反、および罰則規定違反第25条第6項および第8項違反(懲役5年から1000万円の罰金)の可能性が高い。

 さらに覚書違反(売却額返済と原状回復)も。

 専門家の鋭い分析結果である。

 

<住民運動に大きな弾み=ちらし広報が決め手=袖ヶ浦市追及>

 これまでの地元住民の監視記録が幸いしている。

 2014年5月からだ。8年の住民監視には頭が下がるが、目の前での大掛かりな森林伐採と広大な埋め立て、ダンプの騒音と噴煙とは無関係ではなかった。埋設物にはアスベストの可能性も指摘されている。

 水田や河川に流れる汚染水も判明している。その都度、袖ヶ浦市は住民の意向に反してきたが、もはや許されるはずもない。住民の怒りは頂点に達してきている。

 森林法違反の訴えに千葉県中部林業事務所が現地を確認したのが、2021年6月だから、これは悪徳業者の工作のすごさを裏付けている。袖ヶ浦市の環境部長が腰を上げたのが同月、同8月に林地区が要望書を提出して同9月に粕谷市長が初めて現地視察と、当局のいい加減な対応が見て取れる。

 そして昨年の2022年7月28日に、改めて林地区が要望書を提出したが、市長が地元住民との懇談に応じたのは、暮れの12月27日。ここでも住民軽視の市政と、住民を抑え込もうとしているかが分かる。

 

 市民活動家の要請を受けて2月1日、青木・環境ジャーナリストが現地を訪れてワコーテックスの正体を整理・分析した。日本の住民運動の弱点は広報宣伝の弱さにある。当局はこの点に注目しているのであろうが、ようやくエンジンがかかるだろう。核のゴミが埋設されているのであれば、たとえそうでなくても原状回復が不可欠だ。それは君津市の1万トンの核のゴミ埋設にも言える。

2023年2月13日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)