NHK会長は派閥財閥人事<本澤二郎の「日本の風景」(4710)

<公共放送と無縁の政府与党広報放送=「料金を払うな」は正論>

 安倍晋三と菅義偉の大罪の一つは、NHKの会長人事を手にしたことである。NHKは公共放送のはずだが、実際は財閥と政府与党のための放送によって、本格的で決定的な世論操作機関に変質した。

 筆者はNHKを見ないために、沖縄の廃品業者に提供してストレス解消をはかっている。涙ぐましい努力をしないとNHKから解放されない。覚悟が必要なのである。

 悔しいことは、NHK労組のぶざま過ぎる対応である。政府与党と財閥による会長人事に対して沈黙している。同じく国会も沈黙している。現役時代に仕事をしないNHK記者が、国会を徘徊し、特に電波を担当する郵政族議員の部屋に毎日のように張り付いていた。彼らの高額な給与は国民が負担している。

 安倍長期政権の秘訣は、NHKを配下に抱え込んだことである。お分かりだろうか。市民の覚醒を強く求めたい。

 

<安倍長期政権維持の主役=弱すぎる安倍・統一教会報道>

 「NHKの女」のことを知るまで大分時間がかかったが、彼女は安倍の自宅近くに転居したことは、よく知られている。安倍と本人の意向をNHKは配慮して数十年安倍担当記者にした。一大スキャンダルであるが、どこも報道しない。

 余談だが、先日、日刊ゲンダイが筆者の近況を載せてくれた。なんと札幌から沖縄、高知、青森などから連絡が飛び込んできた。ブロック紙をはるかに超えて、全国紙に相当する影響力を知って度肝を抜かれた。幸いなことにこの日本で有数の夕刊紙は、いまでは外国特派員協会から地方のオピニオンまで読者層を広げている反骨新聞である。

 部数激減の読売や朝日に匹敵するかもしれない。

 

 したがって映像で茶の間に流れるNHKの影響力は、新聞を圧倒する。民放も歯が立たない。NHKは日本の世論操作の雄であるが、政府与党財閥の広報に徹している!

 安倍と清和会・日本会議(神社本庁)と笹川ギャンブル財団が支援している統一教会国際勝共連合などカルト勢力への追及報道はゼロに近い。見方によれば、岸信介と笹川良一が育成した文鮮明のカルト教団が、自民党から野党の選挙にも手を出してLGBTなど差別の政策を岸田内閣にまで押し付けて暴走している。「日本の終わりの始まり」と言われる確たる事実である。

 昨年の7・8安倍銃撃事件から大分経つが、文科省はずるずると先延ばしして、統一教会に解散命令を出すどころか延命装置をつけている。同協会の顧問弁護士を今も継続しているのか?安倍が自民党副総裁に起用した高村正彦という極右政治屋は、今も自民党本部に机があると知らされた。その莫大な利益で息子を後継者にしている。統一教会様様な自民党関係者はいたるところにいる。

 

<安倍国葬反対世論封じや戦争準備43兆円批判をしない「公共放送」>

 もしもNHKが公共放送であれば、安倍国葬は即座に闇に葬られたであろう。史上最低最悪の安倍晋三を評価する日本人は、極右のカルト教団の一部の信者か神社本庁のカルトしかいないのだから。

 いうなればNHKのお陰で安倍国葬は強行され、これからも人々の反安倍の事由となり続けるだろう。

 思い出すまでもなく、NHKはやたらと安倍の改憲論を報道して国民を偏狭なナショナリズムの渦に巻き込んだ。「岩田の貢献」との指摘もある。無能な憲法知らずの安倍は、立憲主義も無視した。非戦の憲法9条も蹴飛ばした。もうそれだけで内閣は終わりだが、NHKのお陰で生き延びた。

 岸田内閣の43兆円という途方もない超軍拡計画は安倍の遺志であるが、この信じられない戦争国家体制計画に対してNHKは批判さえしない。いま国会では、それが組み込まれた予算案を審議している。自公による戦争国家体制を極右の維新と国民民主が支援して、21世紀の翼賛議会を内外にSOSを発信して審議はスイスイである。

 

NHKは自公内閣の広報機関=国民のための放送ゼロ>

 以下にNHK会長人事の概要がネットに出ていたので、一部抜粋して貼り付ける。どろどろ試合そのものであるが、国民の声はゼロだ。岸田と菅の攻防戦で前者が勝った。公共放送ではない。NHKは解体したらよい。

2023年2月10日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)

 

人選は経済界を中心に進められ、数人の候補が浮上したが、前田氏の出身母体である、みずほフィナンシャルグループと親密な関係にあり、(しかも)経済団体などで親交のあった丸紅の朝田氏に白羽の矢が立ったと伝えた。ところが、これが大誤報(!?)となる。経営委員会は125日、日本銀行元理事の稲葉延雄氏(72)を会長に任命することを決めた。「本人もやる気満々だった」(丸紅関係者)といわれた朝田氏はなぜ敗れたのか?

岸田官邸が朝田案を阻止

「週刊現代」(221224日号)は「NHK『トップ人事』をめぐる『岸田VS菅』壮絶バトルの内幕」を報じた。そもそもNHKの会長人事は、放送行政を牛耳るドン・菅義偉前総理の意向が働いてきた。「菅氏は前田会長を支配下に置き、機構改革や番組内容にも影響力を及ぼしてきたと言われます」(NHK幹部)。前田氏は菅氏の威を借り続投を希望していたが、ある事件により道を断たれた。「菅さんと近い板野裕爾(専務理事)を再任しない人事案を出し、菅さんの怒りを買った」(別のNHK幹部)のである前田氏の代わりに菅氏が目をつけたのが朝田氏だった、朝田氏は前田氏に頭が上がらないため、菅氏は間接的に朝田氏をコントロールできると踏んだ、と伝わる。

ところが、菅氏のNHKへの影響力を削ぎたい岸田官邸が横槍を入れた。「岸田総理のいとこの宮沢洋一自民党税調会長が『日銀の元プリンスでいいのがいる』と稲葉氏を推した。それに総理が乗っかった」(NHK関係者)。岸田総理は菅氏に「稲葉会長案」を直談判。菅氏は難色を示したが「麻生(太郎自民党副総裁)さんが『会長はお飾りだ。実務者の副会長を取れよ』と菅さんをなだめて呑ませた」(自民党閣僚経験者)