官邸の毒針<本澤二郎の「日本の風景」(3895)

<陰湿・野蛮な公安・警備のドンを引きずり出す好機>

 伊藤詩織さん、前川喜平元文科事務次官、最近は望月記者までが、官邸の毒針に刺されたことが発覚した。官邸の毒針リストは、与野党議員から霞が関、言論界、教団へと、途方もなく広がっているという。

 今回は日本学術会議事件で、主犯の官房副長官で、公安・警備のドンによる違法・越権乱用が、昨日の辻元清美質問で判明した。国政調査権で、国権の最高機関である国会に引きずり出す好機である。

 

 案の定、菅の「防護服」ゆえに、国会での追及に自民党もおびえている。野党の国会対策委員・予算委員会の理事らの死闘いかんで決まる。「野党が政府・与党のペットかどうかが問われる大一番」と外野席は注視している。

 

 伊藤・前川・望月トリオが院外で行動する場面でもあろう。官邸の毒針退治をしないと、この国の支配層は、恐怖と委縮でもって、言論表現の自由が消えてしまい、社会そのものが縮んでしまうだろう。声を上げる時である。

 

<日本学術会議6人斬り犯人は官房副長官の杉田和博>

 昨日の衆院予算委員会で、ベテランの辻元清美質問がさく裂したようだ。その場面を見なかったのだが、報道で確認できた。官房副長官による日本会議6人斬りの犯人が特定したことになる。菅は官邸警察官僚の言いなりのロボットかペットであることが、改めて証明された。

 

 彼女の追及に、菅も官房副長官・杉田和博からの報告を認めた。真実を隠すことは、なかなか出来ないものである。安倍犯罪のもみ消し人である、菅の自白がいつ飛び出すのか、回顧録まで待たなければならないのか。

 

 バイデンではないが、日本も民主主義を取り戻す時にしなければならない。主権者から、税金泥棒といわれない国会議員の死闘を期待したい。

 

<お見事・日本共産党委員長の志位和夫に答弁出来ない菅義偉>

 昨日は、久しぶりの秋晴れである。午後に家庭菜園で、ラッキョウの移植をして早めに居間に戻り、ラジオをかけてみた。米大統領選挙のことや、国会の様子を知ろうとしたのだが、なんと見事な野党質問の最中だった。

 今朝ほど質問者の日本共産党委員長の略歴を調べてみて、大いに納得した。彼は、法学部ではなく工学部出身である。理詰めで、迫力のある質問を、間髪を入れずに、菅の嘘答弁に噛みついてゆくのが、聞いていて小気味よい。

 たまに菅は、すり替え答弁といっても、杉田が用意した文章を繰り返すだけである。杉田の指示に従ったものだろう。あわてて官房長官の、安倍家のお庭番・加藤勝信が答弁席に飛び出して、これまた妙な屁理屈でごまかそうとするが、相手が悪い。

 

 菅は答弁など出来ない。まるで漫画のような世界が、最高機関で繰り広げられるのである。恥さらしというか、惨めな時間に耐えるだけの菅である。

 

 その気になれば、いつでも解散に追い込めるという事実を、国民に見せつけていた。ぜひ動画配信で菅と志位の、能力の大きな落差を知るといいだろう。久しぶりに、野党質問の真髄に触れた気分である。数十年ぶりか。

 

<恐怖政治から寛容の政治に急ぎ移行しないと危うい日本>

 岸信介内閣の警職法改悪や60年安保の強権・恐怖政治の後誕生した池田勇人内閣は、政権の政治姿勢として寛容と忍耐でもって、政治を正常化した。今回も、安倍強権・恐怖政治の後の菅内閣は、反対にそっくり継承した。そこで日本学術会議問題が表面化したのは、偶然ではない。

 

 政府与党から言論、さらには野党を国民向けのガス抜き機関として事実上、抑え込んで、さらに引き続き安倍犯罪を封じ込めるために法務検察を、完璧に防護服にしている。

 

 国民は、寛容の政治を求めている。その一環として林真琴検事総長罷免の運動を、勇気と正義を求める市民グループが開始したものである。市民の賛同を強く求めたい。

 

<杉田の素行調査は違法・違憲行為。直ちに止めよ!>

 公安・警備に詳しい事情通は「杉田の素行調査は違法・違憲行為である。破防法適用団体は限られている。いまの共産党は事実として埒外である」と断じている。

 「オウムや拉致を見逃す大失態をした公安警備担当者は、誰も責任を取っていない。それでいて、この8年、官僚・政界・言論界から学術界にまで手を広げての杉田の毒針は、直ちにやめさせなければならない」のである。

 

 国民の覚醒、覚醒でもって、寛容の政権を樹立したい。そこに日本の希望が生まれる! 

2020年11月5日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)