菅も恐怖政治継続<本澤二郎の「日本の風景」(3875)

<元警察庁警備局長の杉田暴政に与野党打つ手なし?>

 都落ちしたジャーナリストの鈍感さを、連日教えられて頷く日々を過ごしている。自民党本部で国際局などに所属、日々警察の公安や、不気味な内調と連携して働いてきた友人の、内閣官房副長官の杉田暴政を告発する内容に驚愕するばかりだ。

 

 今回の日本学術会議の推薦委員排除事件の主犯として浮上、野党もようやく追及する機会を手にしたのだが。他方、自民党は安倍の側近、下村が政調会長の特権を武器に、日本学術会議にメスを入れ始めた。これに河野洋平の倅までが、行革の対象にするという。政府と党を挙げて、学問の頂点に君臨する学術会議を、この際とばかり政府の尻に敷こうとしている。これまた、杉田暴政を裏付けている。

 

 電通支配の右翼紙誌も、学問の自由に斬り込んで、大事なモリカケTBS強姦魔・桜や1・5億円事件隠しに、必死の様子を見て取れる。

 

 警察庁警備局長というと、破防法なる時代ががった悪法で、共産党やカルト教団、左翼や右翼を内偵していると思いきや、実際は霞が関の官僚のみならず、永田町の要人にまでも大きく手を伸ばして、尾行その他内偵している。外国特派員や外務省など、海外と接触する人物にも目を光らせているということらしい。安倍・恐怖政治の元凶なのだったが、それが今回の事件発覚で、菅内閣もそれを継続させていたことになる。

 

 頷くほかない。山尾志桜里の醜聞や前川問題、岸田文雄や菅とやくざの写真とか、記憶をたどると、思い当たることがいくつも出てくる。言論界にも被害者が多いだろう。

 

<79歳の元警察官僚監視に震え上がる霞が関・議会・言論界>

 いうなれば、官邸の支配者は杉田の越権的・違法行為によって、議会から三権のすべてと言論界、経済界にまでも、その内偵は行われている可能性が高い、というのである。個人情報形無しだ。

 

 ワシントンのFBICIA顔負けとの指摘もあるらしい。ヒトラーのゲシュタボは名前しか知らないが、告発人は「杉田はゲシュタボそのもの」と断じたほどである。「杉田の暴走で、安倍内閣7年8か月の長期政権が実現した」との指摘も、あながち的外れではないだろう。

 いかなる要人も、まず弱点がある。その弱点を握ることに杉田は奔走、そのことで安倍と菅の信頼を勝ち得たといえる。えらい人物が官邸に巣食っていたものである。

 

 冷静に判断すると、言論界の凋落には、電通の金支配と杉田サイドによる新聞テレビ幹部の醜聞掌握という二重の縛りでもって、抑圧しているのだろう。

 

<破防法を超越して上級国民・議会・司法などすべて素行調査>

 今の若者は破防法を知らない。戦前から戦後の米ソ冷戦時代の時代がかった代物であるが、それでも警察はオウム事件や拉致事件を解決できなかった。その結果についても、誰も責任を取らなかった。

 

 拉致事件は、田中内閣が日朝正常化を実現していれば、起こりえない事件だった。せめて三木内閣や福田内閣が処理するべきだったが、そうしなかった。あげて日本政府の政治責任といえる。

 

 ついでに言うと、小泉内閣はせっかくの機会をつぶしてしまったが、犯人は官房副長官の安倍晋三である。自ら政権を担当しても、口先ばかりで、全くその気はなく、対決外交を貫いた。その代わりに、被害者家族に金を握らせてやり過ごした。

 

 公安警察は杉田体制の下で、何をしたかというと、政敵のみならず、霞が関や議会などの、初めて使用する言葉だが、上級国民の素行調査に専念して、恐怖政治の元凶となった。頷くほかないだろう。

 79歳の老人に手玉に取られ、戦々恐々の上級国民というのも哀れであろう。

 

<ヒトラー統治を熟知した手口を知る前川喜平元文科事務次官>

 被害者はいっぱいいるに違いない。官邸サイドからの「脅し」に屈してしまう人間は少なくない。政治屋を押しつぶすのは簡単であろう。

 

 山尾志桜里の動向が気になる。急に改憲議員を名乗って、政府に媚びを売っている。裏で何があったのか?彼女も気付いているはずだ。むろん、最大の被害者として、一躍有名人になった前川喜平は、屈せずに抵抗を続けて、国民の喝さいを浴びている。

 

 ヒトラー研究者は、ワシントンやロンドンにも多いと聞くが、日本では杉田が最有力候補ではないだろうか。麻生太郎はどうか?

 

<戦争三法強行の官邸守護人の越権・違法行為>

 今回のことで、杉田が戦争三法推進派の安倍の黒幕だったことが判明した。そのために彼は、これらの憲法違反法に反対した、正義の政党・議員・言論人・学者文化人を徹底して調査内偵していたのだ。

 

 したがって、今回学術会議会員から外した6人は、彼がマークしていた黒リスト名簿に入っていた、と断言できるだろう。

 

 官邸の守護人にとって、破防法を度外視して、誰もが破防法適用人物だったことになる。憲法違反の悪法を叩き潰すという、真っ当な正義の士を、杉田は逆に「非国民」と決めつけて、自らの黒リストに載せていたのであろう。

 

 これこそが、自民党本部職員として内調と公安と意思疎通してきた人物の、鋭い内部告発の内容なのである。

 

<日本学術会議事件発覚で表面化>

 外野席から見てきた凡人ジャーナリストの知る官邸人物というと、首相と官房長官ぐらいで、後は今井とかいう秘書官程度だった。杉田のすの字も知らなかったのだが、なぜこれほどの悪党が、正確に報道されなかったのか?

 

 官邸の記者会が御用ヒラメ記者だとしても、週刊誌に情報を流すなど方法はあったはずである。あるいは日刊ゲンダイに流すとか?

 

 日本学術会議事件が発覚しなければ、見過ごしてしまったであろうことに猛省するばかりだ。

 

 思い出すと、田中内閣官房副長官の川島廣守も、警備からのし上がった人物だったが、彼は田中好みの明るい性格の陽性人間で、亡くなる寸前まで年賀状のやり取りをしてきた。晩年はよく「もっと頑張れ」とお尻を叩いてくれた。杉田とは真逆の人物だった。

 

 国粋主義にかぶれる杉田は、まともな民主主義の国の官僚ではない。変な人間なのであろう。

2020年10月15日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)