因縁の対決<本澤二郎の「日本の風景」(3849)

<安倍・菅の防護服=上川陽子再登板は悪魔の使い?>

 「安倍犯罪事件封じ法相の切り札は稲田朋美」との大方の予想に反して、死刑執行人で有名になった上川陽子。以前、彼女との宏池会パーティー会場での立ち話で、福田康夫内閣の公文書書管理で成果を上げたという説明に「まじめな女性宏池会議員」との印象をもっていたのだが?

 

 彼女の経歴を見て別の思いを持った。それは「安倍と菅の期待の星」だった。カトリック教徒・三菱総研・神道政治連盟・改憲派からだと、やさしい思いやりのある女性ではなく、リベラルの福田系というよりも、極右の安倍好みで、しかも実行力がすごい。

 

 法務大臣になると、一番つらい判断が死刑執行であるが、歴代の多くは延期して逃げ出す。しかし、彼女は全く違った。オウムの麻原彰晃ら大量死刑執行に対して安倍は、よほどうれしかったと見えて、台風直撃も忘れてどんちゃん騒ぎに明け暮れたほどである。

 

 2018年には、法務省刑事局長の林真琴の事務次官昇格を蹴飛ばして、名古屋高検に追いやった。そうして問題の安倍の防護服・黒川弘務の検事総長路線を敷いた上川だった。

 安倍、菅の意向を100%実行する期待の星なのであるが、とはいえそれは前首相犯罪のもみ消しだから、林検察とは攻守所を変えての攻防戦となる。

 

<林真琴検事総長の「正義の剣」を破ることが出来るか>

 正義の剣は、林真琴の手に握られている。上川の薙刀は、いうなれば悪魔の魔剣である。一部で発覚した検察不祥事に絡めて、野党質問を武器にして、林を辞任に追い込む作戦もある、との予想も出ている。

 

 魔剣が正義の剣を破壊する使命を帯びているというのだが、それが実現すれば日本国民が怒り出すだろう。上川の一挙手一投足を観察、反撃の機会を狙っている法曹界関係者・市民運動家は少なくない。

 

 モリカケ・TBS強姦魔事件から、桜事件、カジノ事件、河井1・5億円事件と検察の攻める材料は、いくらでもそろっている。万一、林検察がこれに手を付けないとすると、それは上川の魔剣に敗れたことになる。

 

 法曹関係者や市民運動家は、そこを注視している。検察が国民の期待を裏切るようであれば、市民は結束して伝家の宝刀「検察官適格審査会」発動で、容赦なく叩き潰すことになろう。そのための準備も徐々に進行しているようだ。

 

 正義の剣は、腐敗退治のため前進する宿命を帯びている。ホテルニューオータニ、安倍事務所、自民党本部の家宅捜索をすれば、事件の証拠は山ほど集まるだろう。これを阻止するのが、上川の法相就任の目的である。

 前任者の森雅子は、郷土の大先輩の宏池会・伊東正義を裏切った。上川はクリスチャン宰相の大平正芳を裏切ることになる。本来は、彼女に小さな良心さえあれば、拒絶すべきポストだったのだ。上川人事もまた、安倍と菅の宏池会分裂作戦の一つなのだ。

 

<安倍が辞めてジャパンライフの山口逮捕、検察に好機>

 昨日、詐欺商法で多くの年寄りたちを泣かせた「ジャパンライフ」の、この時期最大の詐欺師・山口という悪党が、ようやく逮捕された。急に警視庁が動いたのだ。どうしてかというと、安倍が辞任したため、ようやく決着に向けて本格的捜査が始まったものだ。

 

 事情通によると、問題の詐欺師は清和会の関係者1本にまとわりついてきた。森喜朗以来、小泉、安倍など清和会政権が続いてきた関係で、警視庁は手を出せず動けなかった。これもひどい話である。

 同じような事態は、千葉県警にもいえる。四街道市の徳洲会病院の医療事故や「木更津レイプ殺人事件」のやくざ捜査から、今も逃亡している、と見られている。政府・政権に配慮する日本警察には、正義の観念がまるでないのだ。

 ともあれ、ジャパンライフが動き出した。詐欺資金の多くが、清和会議員に流れている。これは林検察にとってプラス材料である。

 

<「安倍二代、加藤勝信義父、森喜朗はずぶずぶ」と清和会OB

 悪は、必ず献金リストを作成、保存している。捜査当局がこれを手にすれば、森喜朗から安倍父子、加藤勝信の義父などへの莫大な献金額が判明する、と見られているからだ。

 

 「安倍晋太郎と晋三、それに加藤六月と森喜朗はずぶずぶの関係だ」と清和会関係者が、以前から打ち明けていた。しかも、清和会の岸信介人脈に集中しているようだ。

 林検察の新たな武器となる。昨日の加藤官房長官のそっけないコメントが、事態の深刻さを裏付けている。

2020年9月19日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)