ひも付き援助利権<本澤二郎の「日本の風景」(3418)

<75回渡航=60兆円バラマキ=第二の官邸金庫>

 外務省のHPによると、2012年暮れから二度目に首相に就任した安倍晋三の海外渡航歴は、これまで75回という。この間にばらまいた日本の血税は、実に60兆円という。その多くがひも付き援助だとすると、官邸に入るリベートは莫大な金額に上ることになろう。

 「第二の官邸金庫」と揶揄する向きもある。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2019/08/post-12867.php

 

<韓国8億ドル援助で判明した利権の構造>

 1965年の日韓基本条約締結で、日本は韓国に対して有償無償含めての8億ドル援助をした。先ごろ韓国のテレビ局は、この援助の全貌を明らかにして、国際社会に衝撃を与えている。

 

 ソウル地下鉄と浦項製鉄所が建設されたのだが、これの受注企業は日本財閥。戦前の植民地支配をした財閥が、戦後の賠償でも主導権を握り、利益を独占していた。戦前戦後も財閥主導の政治だった。

 植民地支配の場面では、徴用工として当時、朝鮮の男女を奴隷のように働かせて、暴利を手にした。負けじと軍閥は、成年男子を戦場に狩り出し、若い女性を従軍慰安婦として性奴隷を強いた。

 この屈辱的悲劇は、永遠に歴史に刻まれることになる。国際社会で共有されている。いわんや、韓国や北朝鮮、中国のみならず、フィリピンやインドネシアの東南アジア諸国、はては欧州のオランダの女性にも及んでいた。

 

 性奴隷を強いられた女性は、二度と故郷に戻れない。人権意識の高いオランダ人女性も、オーストラリアの地で生涯を送った。戦争中に多くの慰安婦は、重い性病などで命を落としている。そんな悲惨すぎる彼女らに、戦後74年経っても、真摯な反省と謝罪をしない日本政府に対して、国際社会の信頼と尊敬は無縁である。これをドイツの対応と比較すると、もうお話にならない。

 

 そこで、韓国やフィリピン、インドネシアなどに戦争賠償をしたのだが、その実態は、日本財閥のビジネスとして、日本企業が利益を独占した。あまつさえ、政界や官邸にも還流<キックバック>させていたのだから、血税を支払った国民も哀れを通り越している。

 そのことを韓国への8億ドル援助が証明してくれたのだが、この腐敗を仕切っていたのが、安倍が尊敬する祖父で、戦争責任者の一人だった岸信介である。安倍が、どう釈明するのか注目される。岸の御殿場の豪邸や莫大な遺産を相続した安倍家にも、疑惑が波及することになろう。

 

JICA(国際協力機構)は腐敗の温床か>

 そこで新たな注目を集めているのが、60兆円の安倍バラマキ援助の疑惑と解明責任である。モリカケ事件のレベルではない。誰でも認識できる事柄だ。

 

 実際に、現地で日本援助の詳細を仕切っているのが、表向きは立派なJICA・ジャイカであるが、ひも付き援助が日本政府のお家芸だから、当然のことながら、60兆円そのものを処理する疑惑が生じる。

 「ジャイカは腐敗の温床」という指摘は、昔からだが、いよいよメスを入れなければならない時期を迎えている。

 

<小沢一郎は知っている!>

 いうところの国策利権である。この点について詳しい人物は、中曽根康弘であろうが、彼の頭の方が心配なので、現役では小沢一郎ということになる。彼は、幸運にも議席は野党である。

 

 安倍とこのことで正面対決すれば、戦後政治史に残る言論戦となろう。彼は公明党の奥の事情にも明るい。

 志位・枝野らは、三顧の礼でもって小沢を迎えて、腐敗利権の構造を学んで対応すれば、国民の評価が上がるはずである。

 

 安倍一強対策は、その実、公明党創価学会対策に尽きることも、彼は承知している。創価学会の政治無知のお年寄りを覚醒させる、池田大作裏切り執行部を追及すれば、総崩れする。先の参院選と埼玉知事選で証明されている。

 できれば小選挙区制という民意を反映できない、犬猫議員ばかりの議員集団の議会を改革する時期でもあろう。

 

<国民の代表であれば徹底的に洗う責任がある>

 いま議会に、国民の代表であると胸を張れる国会議員がいるであろうか。たとえいても、数はわずかで少ない。政府与党内にもせいぜい一人だ。公明党も腐敗政党に堕落してしまって、もはや信頼できない。

 維新は極右・安倍の別動隊で危うい。ややまともな政党は、日本共産党と社民党と、今回政党として認知されたれいわ新選組。問題は二つの民主党だが、内部に財閥労組にしがみついている輩は信用できない。

 ともあれ60兆円を洗う責任が、議会人にある。

2019年8月28日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)